2024/04/29 のログ
ご案内:「聖バティスタ派騎士修道会ファルズフ大聖堂」にアコニツムさんが現れました。
アコニツム >  
神聖都市ヤルダバオートの一角に構えしファルズフ大聖堂。
ノーシス教の一派である聖バティスタ騎士修道会の総本山。
宗教一派の勢力らしく、大聖堂に広がる妙な神々しさがそれっぽい説得力を醸し出している。
揺れる蝋燭明かりに差し込むステンドグラスからの月光。
夜の礼拝、一部の熱心な信者たちの祈りの時間だ。
誰も彼もが、静かに自らの信じるものに頭を垂れ、黙々と祈りを捧げる。

「……ふわぁ。」

そう、余りにも。余りにも退屈な光景だ。
夜間警備として大聖堂に駐屯する聖騎士、アコニツムはなんともやる気のない顔をしていた。
生憎と、彼女は信仰心とはかけ離れた女であり、神に祈る心など持ち合わせていない。
出来ることなら今すぐにでも出ていってやるが、一応仕事。
自らが所属する組織には、一応表向きにでも従ってやるものだ。

「それにしても、毎日毎日飽きないわね……。
 何がそんなに楽しいのかしら?やっぱり"アレ"目当て?」

寝ぼけ眼な血色をぱちくり、はふぅと一息。
どうせコイツ等も聖女様(ハリボテおんな)共が配る"薬"のために熱心に決まっている。
つくづく、人間っていうのは快楽に弱いなと思った。
いつまで祈っているのやら。女は退屈そうに、柱を背もたれにしながらただ見守っていた。

アコニツム >  
…そもそもこんな真夜中に真面目に祈りを捧げている奴などいるのだろうか。
そんな疑問が脳裏を横切った。人間、生理現象は抗えないものだ。
そう考えた途端にニヤリと口元が歪むのは悪戯心。
自分は一応夜間警備のみ。ゆぅらゆら。拘束着の皮を揺らして信者たちの周りをゆっくりと歩いていく。

「…………。」

黙祈、黙祈、黙祈────…。
目を閉じ、一言も発さず、微動だにせず、狂気的な迄に熱心だ。
誰一人として眠りこけるものはいない。
盲目という意味では、全員同じかもしれないが、よくもまあ此処まで熱心になれるものだ。
ただ、面白半分に所属した身としては、いつ見ても気持ちが悪い。
有象無象、こんな時代だからこそ偶像くらいには縋りたいのか。
或いはただ、一時の"粒"の為にそこまで尻尾を振れるのか。
自らが狂人である自覚はあるが、信者共(コイツら)も大概だ。
思わず肩を竦めて、うげーっと舌を出す。

なんて面白くもない連中。近くにいるだけ損だ、損。
そそくさと離れて、再び柱へと背を預けた。

アコニツム >  
さて、そうこうしている内にもう終わりの時間のようだ。
信者たちは皆目を開け、関係者各位に一礼し去っていく。
この仕事ももう終わりか。そう思った矢先、聖騎士から耳打ち。
何よ全く、と訝しげな顔をしたのもつかの間。ニヤリと悪意に歪む口元。

「……んふふ、そういう仕事ならお任せ♪
 じゃ、警備交代ってコトで、早速行ってくるから後はヨロシク~♪」

女は楽しそうに笑みを浮かべたまま、はらりと聖堂の闇へと消えていく。
……後日、"粒"欲しさに暴徒と成りかけた数名は立派な"信者"へと"更生"を果たした。
如何に腐った世界といえど、埃が出るのは困るというもの。
そう、此処は飽くまで清廉潔白な宗教である。その一日、女は酷くご機嫌だったとか────。

ご案内:「聖バティスタ派騎士修道会ファルズフ大聖堂」からアコニツムさんが去りました。