2024/02/16 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 夕刻の聖都、その中心部にほど近い所。
荘厳な建物から出てきた銀髪の男は、げんなりした表情を隠そうともしない。
「昼には終わるんじゃなかったのかよ会議……」
踊る、されど進まず。
出張の成果報告として午前中にダイラスから飛竜便に乗ってやって来た。
王都への飛竜便を使って今日中には帰るつもりだったが、今に至る。夜目が効く竜種はごく一部、竜使いは更に一部。
他組織の台頭著しいノーシス主教内で、神殿騎士団への予算は減る一方。こんなことで自腹を切るのはごめんだ。
どこかに泊まって、明日の朝発つことを強制させられるのは不本意だが、やむを得ない。
渋い表情をしながら宿屋を探す。10年ほど前まではここを本拠としていたが、当時入り浸っていた店がまだあるとは限らない。
己の過去を鑑みる限り、長居したくない所だ。男を恨んでいる者はそれなりにいる。
夫や父、友人・恋人や同僚を奪った張本人。死者が1人や2人なら、その関係者も限られるだろう。文字通り桁が違う。
当時と今の姿を一致させることができる者がどれだけいるかはさすがにわからないが……。
ひとまず、行政区画に近しい現在地から繁華街方面へと歩き出す。地下の売春宿で一部屋借りるのも手か。
そこいらの教会で身分を明らかにして夜露を凌ぐこともできるが、それはあまりしたくない。
■ヴァン > 「ひとまず、面談ができた点はよかったかな……」
出張期間中を思い返すが、最初に脳裏をよぎるのは仕事以外のこと。
その内容は百点満点という訳にはいかなかったが、及第点には達したつもりでいる。
王都に戻ったら早速その報告をしようと考えつつ、街を歩む。
「……このあたりで宿がとれればいいんだが」
聖都であっても繁華街はあるし、そこに集う者達がいる。
何軒かの酒場兼宿屋を巡るがどこも満室らしい。いよいよ娼宿やらを宿代わりにしないといけないかと覚悟しはじめたところで、
ようやく空室ありの表記。ただ一つだけ、問題があった。
「相部屋の可能性かぁ……」
二人分の料金を払えばいいのだが、それなら会議が終わった時点で飛竜便で夜間運賃を払うのと大差がない。
半刻ほどぶらついていたせいで、今帰ろうとするともっと出費が嵩む。
相部屋は盗難のリスクがある。普段ならともかく、出張最終日ともなるといい加減身体にガタがきていた。
結論は出ているようなものだが、顎に手をあてて考える。