2023/09/03 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 酒場」にシスター・パッサーさんが現れました。
シスター・パッサー >  
 ヤルダバオート
 様々な宗教 宗派が入り混じる、清涼な空気よりも混沌が似合う
 地に着ける足元では、今日も王都と変わらない程度の反吐が染みついている場所。

 しかしそんな場所でも、都市という規模を持つ。
 激化するアスピダ タナール
 周辺都市である港湾都市もピリついた空気は拭えず、戦人を送り出す王都もまた平和とは言えない。
 クシフォス・ガウルスを貶めた報いだと、平民が一揆を起こしてももう不思議ではない。
 平和を祈るだけの両手が鍬と鎌を携えないことを、非現実的に祈るばかりである。


   「こんにちは、マスター。」


 頭巾を首元に下げた修道服
 羊毛色のややゆるく描くロングヘアを見せたシスターは、馴染顔の店主に声を掛ける。
 悪びれもしなければ、開き直りでもない 来て当たり前のような空気。

 コツコツコツと踵の音を鳴らし、両手を腹部で重ねて静々とカウンター席
 マスターの目の前に座れば、“キラー・ビー”がもう蜂蜜をざっくりと混ぜた状態で置かれた。
 懐から、二等葉で巻かれた黒茶けた煙草を咥えて火をつける金無垢のジッポライター。
 カキンと音を鳴らした 彫刻 歯車 火石 綿 の金のかかった火付けを用いて先端を焦がすのなら
 やや甘ったるい紫煙を フゥッ と目の前のマスターにかからないよう
 左側へ 細く そしてあたりに広がっていく煙を見つめる。


   『また浮かない貌だ。』


 いつもの仕事と礼拝を終わらせ、一杯早々と呑みにきた修道女の貌ではない
 店主はそう言って、綺麗に磨いた樽ジョッキを逆さに並べていく
 手を拭き上げる頃には、灰が落ちる前に木製の灰皿を目の前にトンと差し出した。


   「王都方面の荒々しさのせいで、貴族の妻娘の類
    それらがこちらに避難名目で、増えているでしょう。」


 現実的な話、いつまでも他人面できなくなった者らが、一時の場所を求めてマシな都市に少し居を変える
 そんな出来事が最近増え始めている故に、でかい顔をした者らが増えている。
 それが少し、この都市の居心地を悪くしている。

  

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 酒場」からシスター・パッサーさんが去りました。