2025/03/17 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にミラさんが現れました。
■ミラ > 嘲笑。
バフートの奴隷市場へと向かう通りをゆったりとした余裕のある足取りで歩きながら、内心を反映して浮かべる表情は見下す笑み。
路上で調教の実演をしているのは、商品の売り込みを兼ねているのだろう。
この場合の商品は、調教に使われている淫具や媚薬。調教師に奴隷と、演者の全て。
爛れた欲望をそのまま具現化したような光景に、人の愚かしさよと嘲りつつも目に映る光景を愉しむ。
背徳の奴隷都市をひとりで歩く少女。隙あらば、襲ってしまおうという欲望の目線を向けられるのも愉悦。
そのような欲望の目線を向けられるほどに、己の価値を認められていると自尊心も満たされる。
「雑魚で遊ぶのもいいけれど……」
襲ってきた不逞の輩を玩具にして遊ぶのもいいが、ここは奴隷市場都市。
己に手を出してきた馬鹿を引き渡した末路の見物が本日の本題。
ちょっとばかり有能な冒険者ではあったようだが、誰の手のものだったかも興味はない。
先ほどのとは違う路上調教の光景に足を止めて、見物する観衆の人垣に加わる。
動物じみた雌の鳴き声をあげ。色々な体液をまき散らしながらイキ狂う無様な痴態。
必死にチン媚びしながら許しを乞い。ご褒美だかお仕置きだかの凌辱的責めを受けて、またイキ狂う。
その惨めな姿に随分と調教されたものだと、感心し。同時に、どのように調教されたのかと想像を巡らして仄暗く退廃的な情欲の熱を胎の内に疼かせる。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にバゼムスさんが現れました。
■バゼムス > 「――お気に召していただけましたかな。」
丁度、少女の斜め後ろから囁くように紡ぐ声。
それは"馬鹿"の引き渡し先たる、奴隷商の主。
突然現われたのではなく少女が人垣に加わり、気配など隠す素振りもみせぬまま、"成果"を見ている間は声を掛けずに佇んでいた。
それが崩れたのは十分な鑑賞時間があったからか――或いは、少女の身に燻り帯びた淫欲の香りを察したからか否か。
末端ではあるが貴族位を持つ男だが、今の身なりを見ればこの都市にどこでもいるような商人風情のそれ。
文字通り、今は少女と取引をした奴隷商としての顔。
軽く目礼するかのように頭を下げ、少女の顔を見ぬままにしているけれども男の、牡としての色欲のそれは隠そうとはしていないのは、目の前の少女がそれだけ極上な牝であると分かっているためであろう。
「未だ、買い手は付いてませんが……いかが致しましょうか?」
引き取るのも、このまま放置するのも望むがままに。
言外にそう紡いでみせた。
■ミラ > 「ええ、引き渡してからの時間を考えれば予想以上の仕上がりね」
引き渡した彼女に元よりそういう素養があったのか。あるいは、奴隷商の抱える調教師の腕が想定以上であったのか。
どちらにせよ、目にすることができた光景には興奮を煽られ、十分な満足を得ている。
かけられた声に応じて目線を向けて、ほぅと熱のこもった吐息を漏らしながら頷く仕草には情欲の色がうっすらと乗り。
感情移入したのが、調教する側かされる側かはともかくとして。雌が雌として嬲られ、躾けられてさらす惨めな痴態に興奮していることを示している。
そして、奴隷商の男が向けてくる牡の欲望を感じ取りながらもそれに嫌悪や忌避感を示すことも無く艶然と微笑み。
「そうね。わたしにとっては、買い取るほどの価値もないわね。買い手がつくまで、あなたの方で飼っていてくれるかしら?」
浮かべる微笑に。語り掛ける声音に乗る悪意が、言外に「買い手がつくまでの間。しっかりと、牝として。奴隷として調教し続けてね」と意味を含める。
そういうのは、得意でしょうと。目の前の男にまつわる噂話などを思い浮かべながら囁きかける。
■バゼムス > 「そのような過分なお言葉を頂けるとは。
望外の喜びでございます。」
返答があれば僅かに下げていた頭を上げて、少女の姿を視界に収める。
王国広しといえど、これほど見事な黒髪と汚れを知らぬ白磁の肌、豊満な乳房と細い腰とは違って肉付きの良い尻肉のそれら全ては――牡であれば欲情せずにはいられぬほどのそれ。
そこで無様にイキ狂っている女とて上等ではあったが、目の前の少女と比べれば塵芥である。
無論、それは己とて同じであろう。
故に、そのような存在が――その唇から漏れる熱っぽい吐息を零させた事に瞳を細めて笑ってみせつつも、その吐息の欲の熱に煽られるように、男からも劣情の気配が立ち上る。
吐息からではなく、男の股間からなのに気付くか否か。
「承知しました。ではそのように――――して、本日はこのままお帰りに?
言ってくだされば席を設けさせていただいたものを。」
言外の言葉に諾と告げ、早々に話を切替えるのは既に躾けられた"奴隷"の顛末など己にとっても大した興味はないためか。
尤も、目の前の女性以上に惹かれることなどあるだろうか。
言葉に、表情に、気配に無礼はない。
けれどもその裏に潜む淫欲は少女に向けるには――不遜なもの。
穢し、狂わせ、貶める――今、路上で四つん這いになっている"奴隷"のように。
自身の破滅を呼んだとしても構わぬ程の牡としての欲が滲み燻りを帯びていて。
■ミラ > 「適当に壊したりするだけなら、わたしでも簡単ではあるけど……ね?」
じっくりと堕とす。奴隷として調教する。そういうノウハウは、やはり本職の方が得意でしょうと言葉を向ける。
己が異能や権能をもってすれば洗脳して人形にするのも、廃人にするのも簡単な話ではあるが。
所有するその手の調教の設備や道具はともかく。実践となると、プロにはやはり劣るというのが自己評価。
目の前の男を有象無象の格下と見下してはいても、使える人材と評価している台詞。
「そうね。このまま帰ってもいいのだけど。
急ぐ用事があるわけでもなし。誘いのお言葉に甘えようかしら」
男から感じ取れる劣情。向けられる欲望の熱量に、面白そうに目を細め。
どこまでその劣情を隠して取り繕うのか。どのようにその劣情を発露させるのか。
路上の公開調教の現場から完全に意識を目の前の男へと、意識を切り替えて向き直る。
その仕草に合わせて、柔らかく重たげにたゆんと揺れる胸の双球。愉し気に見定めるように向けられる双眸。
ふわりと風に乗って香る甘い少女の肌の匂い。雄を煽って誘っているかのような挑発的な雰囲気。
小首を傾げて、相応に楽しませてくれるのでしょうねと微笑みかける。
■バゼムス > 向けられる言葉には言葉を発することなく、僅かに目礼をするのみ。
いずれにせよ、任されたのであれば、"商人"としては応えるだけではあるが――そこに利を求めるのもまた商人としても振る舞っているせいか。
尤もそれは此方の誘いに乗るような台詞で果たされているようなもの。
己が滲ませる欲情も、下心も――初めて応対したときから見透かされているような気がしている。
それでも尚、言葉を重ね、こうして誘いを受けようとするのだから、男の中の淫欲が昂ぶりを覚えてしまう。
「それはそれは……。
ならばその期待に応えねばなりますまい。」
肩越しに背後にいる配下の男へと一瞥を投げかけ、その場を早々に離れるのは――"場"を整えるためだろう。
そうして視線を戻して、揺れる乳房と甘く香るそれは先ほどから昂ぶって仕方の無い淫欲が煽られ続けている男の表情は変わらないけれども――股間の布地が張り詰めさせる程に劣情を覚えている様子については隠そうとはしない。
挑発され、涎を垂らす――牡の臭いを滲ませながら、男は手を恭しく差しのばす。
さながらエスコートするかのよう。
■ミラ > 目の前の男は手練れの商人ではあるが、ただの人間に過ぎない。
多少の策を弄したり、罠を張ったところで実力で踏みつぶしてしまえるという認識は、余裕に満ちた態度として表れる。
同時に、劣情を向けられていることを愉しんでいる気配は、相手を劣等と見下している傲慢さであり。劣等存在に淫欲のままに蹂躙される事を期待し妄想する被虐性。
滲み出るのは、雄の獣性を煽り立てるマゾ牝の気配。
「どれくらい、わたしの期待に応えてくれるのか。期待しているわ」
甘く蠱惑的な声で、囁きかけるように声を小さく潜めて応じ。
男から滲む牡の匂いに、牝としての本能を刺激され。ちらりと、目線を落として確認した男の股間の様子に、悪戯めいた笑みを浮かべ。
劣情を隠そうともしない態度に、実に面白い人間だと見下しながらも評価して。エスコートを受けるように差しのばされた手を取る。
胸の内には、どのように自分を愉しませてくれるのかという期待を抱き。
■バゼムス > 己を見る少女のそれは上位者のそれ。
身分だけでなく、存在や格も伴った――見た目通りの少女ではないという直感を覚えてしまう。
それは生物としての危機感も覚えると同時に、生存欲をも掻き立てる。
生物として正しい反応のそれは副次的な効果をもたらす。
詰まるところは種の保存。目の前に極上の牝がいれば尚のこと、その昂ぶりも欲望も抑えることなどできやしない。
仮に己が分別の付かぬ、理性無き獣であったなら今この場で牝との交尾に興じかねない程。
「そうですな。
折角この都市に足を運んできたのですから……ミラ嬢の好みに合わせるようにしましょうぞ。」
そう囁き返しながら、その場を離れ――己が持つ奴隷商店の一つへと歩み、招き入れる。
それは少女が"玩具"を引き渡した商店。
それは偶然ではなく――意図したもの。ある種のメッセージを含むそれ。
賓客を遇するための部屋は通り過ぎ、奥へと進む。
進む度に、床に、壁に、天井に――染みついた獣欲の臭いが強まる。濃くなる。深くなる。
辿り着くは最奥の部屋。
重厚な扉は内側の音を遮るほどに厚い。それが男の魔力に反応して開かれる。
室内から"奴隷"と成り果てた牝たちの悲嘆と悦びに満ちた怨念染みたそれが、咽せるような臭気となって少女の鼻腔を擽る。
室内にあるのは様々な淫具と責め具。
その中央にあるのは天井から吊された鎖と枷。
前日までの間、今路上で並べられた"奴隷"が繋がれてたそれが、主を求めるように ぶらり、ぶらりと揺れていて。
「このような催しはいかがですかな?」
少女の色香とその内に潜む、劣等存在に向けられたに被虐のそれを掴んではいないものの、その片鱗は感じ取っているのだろう――つい先ほどまで鑑賞していた"成果"へのそれを見る目をした者を見た事がないわけではない。
それがミラという少女に付けいる"隙"となるか否か探るように、言葉を投げかけた。
■ミラ > ただの人間には天変地異の災厄とも同義な高位の人外。
存在の格差は、意識せずとも表れる見下す高慢な態度として滲み出る。
社会的地位にしても、高貴なる王族。王女という地位は支配する側のもの。
権力には相応に財力も伴い。裏面の人外の上位者という抜きにしても、上下関係を発生させるには十分。
故に、少女が男を見下すのはある意味では正しい態度であり。当人はそれを意識することすらしていない。
それは、生れついての上位存在としてただの人間に対するものとしては、当人にとっては当たり前の当然だった。
そして、生まれ持った被虐性が。マゾの素質が、見下している劣等から情欲を向けられることに興奮してしまう。
「あら? わたしの好みなんていつの間に調べたのかしら」
せっかくこの都市に足を運んだのだから、と前置きをするのだから。この都市らしいもてなしで愉しませてくれるのだろう。
揶揄するように言葉を返しながら、それはどんなものなのか。脳裏にちらりと浮かんだ予感は、己が玩具を引き渡した奴隷商店へと招かれたことで次第に強くなっていき。
ゾクリとした興奮が、背筋を駆け抜けてふるりと肌を震わせる。
招かれた店内の奥へと。奥へと、案内されるにつれて濃く、深くなる獣欲の臭い。
この店内でどのようなことが、どれほど行われてきたのか。床に壁に天井に。
店内の内装に染みつくほどに行われてきたのだと、染みついた臭気が物語る。
人外の魔性たる少女の雌肉の内に潜むマゾ雌本能が、無意識に嗅ぎ取って子宮を疼かせ。膣内の媚粘膜を雌蜜で潤ませる。
最奥の部屋。その部屋の扉が開かれ、室内にこもっていた奴隷へと堕とされた雌たちの残した悲嘆と悦び。怨念じみた咽るような臭気が鼻腔を満たせば、その濃厚さにくらりと意識が揺れる。
「……あら、素敵♡ このわたしを、そんな風にもてなそうだなんて。
そんな事をして、無事で済むと思っているかしら。
それとも、わたしを満足させるだけの自信があるという事かしら?」
無礼者と。不遜だと、叩きのめすのは簡単。
しかし、少女の視線は吸い寄せられるように雌を責め嬲り。奴隷へと調教するためにある淫具や責め具へと向かい。
そこに繋がれるべき雌を待ちわびるように、ぶらりぶらりと揺れる鎖と枷を注視してしまい。
不躾な男だと非難するような台詞を口にしながらも、瞳は情欲に濡れ。言葉を紡ぐ声は、しっとりと艶を帯びて誘うように甘く響き。
湧きおこる劣情を抑えるように己が身を抱きすくめる仕草は、豊かな乳房を腕で寄せて集めて強調し。深い胸の谷間を刻んで見せつけてしまう。
脳内に思い浮かべてしまうのは、拘束され調教される雌としての自分。
なまじ、その手の知識があるからこそ。詳細に、リアルに思い浮かべてしまう。
そこには、口する言葉とは裏腹に被虐の快楽を求め。惨めで無様に雌として調教される己を思い描いて興奮している雌の気配が濃く。
ミラという少女が被虐嗜好を持つことを。極上の美少女が、極上のマゾ牝の素質を持つことを窺わせる。
■バゼムス > 「調べるなどと恐れ多い。
――敢えて言うなら、そう……牡としての直感、という奴でしょうな。」
上位者たる少女の物言いに、生物としては畏れ――けれどもそれ以上に劣情と淫欲に焚き付けられながら紡ぐ声に淀みはない。
"奴隷"へと向けていた目や態度、そしてこの部屋に訪れるまでの少女の機微。
それら全てを総括し――そう結論づけたが故に、賓客を遇する部屋などではなく、この部屋へと招き入れた。
例えお忍びであろうとも、王族の係累を招くには適さぬ部屋。
けれども少女の声音は決して機嫌を損なったものではなく、寧ろ楽しげで――どこか期待感を含まれているようなそれに暗に込められたメッセージは確りと少女へと伝わったらしい。
言葉も、態度も、含む少女の意識を察せられるほどに揺れている様子に、瞳を細める。
エスコートのために握られてた手は離れ、少女の視線が主無き手枷へと向く最中――静かに少女の背後へと立ち、抱きしめるように腰へと腕を回す。
堪えるように抱きすくめながらもまるで己を誘うようかのように歪む豊満な乳房とその谷間を肩越しから眺め見つつ、
「はは、流石に儂もそこまで耄碌はしておりませんな。」
ただで済むはずはない。
己のみの首で済めばいいが、自分以外の一族も連座になることは必至だろう。
言葉一つ誤ればこの場で処断される――その危機感もあるのだろう、少女の尻肉へと押し当てられる勃起した男根は、ズボン越しだというのに固く、異様なほどに熱を帯びていることを知らしめる。
柔らかな尻肉。
その感触に触れるだけでも心地よく、少女の耳朶を擽る吐息は不遜にも淫欲が含む。
「ただそうですな。
仮に満足でもさせたなら――ミラ嬢の時間を頂ければと。」
道中で疼いた子宮を、下腹越しになぞるように指の腹で撫で回す。
尻肉に押しつけた男根が僅かに膨らみを帯びる。
胎に胤を撒く――そんな浅ましい交尾欲も混じった劣情を囁いた。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からバゼムスさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からミラさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート・裏酒場」にザリアナさんが現れました。
■ザリアナ >
バフートの小さな裏酒場。
夜も更けた時間にも賑々しいこの酒場は、実質的にとある盗賊団に貸し切られていた。
店からすれば、盗賊団のアジトで使い潰す安奴隷を買付けに時折訪れることがあるたび、こうして飲み騒いでいる迷惑な連中である。
無論、逆らえば何をされるかわかってものではなく、それなりに金も落とすためこうして渋々ながら、馬鹿騒ぎを赦しているのだ。
そんなむさ苦しい盗賊男達が飲みに歌いにと騒いでいる中。
「だから謝礼は弾むと言ってるでだろう?」
少し雰囲気が違う空間、丸テーブルを挟み、過剰に肌を露出した華美な女と、この町の奴隷商らしき男が何やら商談をしているようだった。
「一人二人でいいんだ。戦えるヤツをよこしなさい?
私らが鍛えてやればそれなりに仕上がる。お前が主として名貸しをすれば素性が表に出ることもない。
互いに損もない、リスクも少ないいい話だと思うけどねえ」
長い脚を組み上げる煽情的な女は妙に高圧的に言葉を投げかけ、承認といえば言葉を返すのに困るように縮こまっていた。
──やがて、しばし時間をくれ、と言葉を返し、そそくさと男は盗賊達の占拠する酒場から逃げるように出ていった。
「──ふん。ヴィクター、…あの男、適当な路地で始末しておきな」
己の思惑通りに動かなかった男、と烙印を押された奴隷商の後を、頷いた屈強な盗賊の一人が追うようにして酒場を出ていった。
「バカな男。言う通りにしておけば良かったのにねえ」
嘲笑を浮かべながら、赤褐色のラム酒の注がれたタンブラーを手に、傾ける。
夜のバフート、場末の酒場には賑々しくもそんな異様な雰囲気が漂っていた。
■ザリアナ >
「奴隷なんかを商品として扱ってると、命と金勘定の感覚がおかしくなるのかしらねえ」
クスクスと意地の悪そうな笑みを浮かべる女は、この盗賊団の首領。
屈強な男達を束ねる妖艶淫靡な女ボス──アンフィスバエナの蛇魅の女帝として冒険者や賞金稼ぎの間では実に悪名高い。
「アンタ達、騒ぐのは構いやしないけど、肝心の商品は仕入れてあるんでしょうね?」
アジトでの酒盛りとはまた違う、酒場での酒宴に男達は羽目を外し騒いでいる。
それを一喝するかのような女の声に、一旦場は静まり、少し頭の回りそうな大男が一人、前へと歩み出る。
「男2人に女6人? …そんなに要る?」
手渡された羊皮紙に記された奴隷売買証、一枚一枚を確認すれば女は怪訝に眉を顰める。
「アンタ達用の奴隷じゃないか。1人2人でいいだろう?
まったく、女が欲しけりゃ山奥の集落でも襲って連れ去ってくればいいだろうに…」
図星をつかれた数人の男はバツが悪そうに視線を外し、酒を飲み始める。
「臨時収入があったからって浮かれて浪費してるんじゃ世話がないね、まったく…」
数日前に襲った旅商の馬車には舶来物の高級な品々が積み込まれていた。
故にこの盗賊団は最近やたらと羽振りが良いのであった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート・裏酒場」にラッツィオさんが現れました。
■ラッツィオ >
『うぎゃァッ!』
太く短い悲鳴が、酒場の奥から聞こえてきた。
暫くすると、酒場を出ていった手下の首根っこを捕まえたまま、トレンチコートを着た男が裏口側から入ってくる。
酒場を占拠している面々を見回すと、むさ苦しい男のなかで明らかに浮いている、まるで薄っすらと光を帯びているかのように白い肌をした、妖しい美貌の女に目を留めた。
「――イイ女の言うことを黙って聞くのは、ベッドの中だけにしとくんだぜ、"ヴィクター"。
ちったァ自分の頭を使って考えることもしねェとな」
掴んでいた男をその場へぞんざいに転がすと、手下の射殺すような視線をものともせず、真っ直ぐ女の座るテーブルに近づいていき。
彼女と話している最中だった大男を押し退け、断る前に椅子を引いてどっかりと腰掛け。
場所が場所なら娼婦と見間違えそうな女の美貌を正面から見据えて。
「アンタにとっちゃ用済みの男だったかもしれねェが、こっちには大事な情報源でな。
悪ィが邪魔させてもらった。
小金欲しさに助平心で近づくな、二度とアンタらの匂いがする仕事に関わるんじゃねえ――
そうキツく言っといたから、勘弁してくれねェか。これで」
もう片方の手に提げていた酒瓶をテーブルに乗せる。
この店で提供されるものとしては、特上に分類されるものだ。
■ザリアナ >
奴隷商の男を追いかけた盗賊の一人。
ヴィクターと呼ばれた男が床へと転がされる。
当然、それを手向けた男…ラッツィオは屈強な盗賊達に囲まれることとなる。
それをどこ吹く風、物怖じすらも見せず女首領の前に座り込み、
どうやら奴隷商の男をこの闖入者が助けたらしいという話が語られる。
「はぁん…で、お前は? 傭兵か何か?」
部下が転がされようが顔色一つ変えず、
無遠慮にテーブルの向こうへと座り込んだ男に鋭い紅の視線が向けられる。
「何か勘違いをしてないか?
あの男は用済みじゃない。アタシらと組もうとした上で尻を捲った、敵なのさ。
アタシらのやり方を知った以上は殺す。何処ぞの馬の骨の情報源だろうが、知ったことじゃない」
女はそう言うと、細い顎を示す様に動かせば、酒場の入口から今度は二人、三人と盗賊が転がされたヴィクターを連れて出てゆく。
「それをわざわざ律儀にこんな場所にまでやってきて…命が惜しくないのかねえ?」
悠然と脚を組み上げたままの女の合図を待つかのように、周囲を取り囲む盗賊達からは男に向け、殺気が向けられる──。