2025/01/13 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にフェブラリアさんが現れました。
■フェブラリア >
タナール砦への"出兵"から早数日。
竜令嬢は自らの公務を終え、その帰路の最中に奴隷市場都市バフートへと足を運んでいた。
ダイラスの丁度手前に位置するここは、"休養"として立ち寄るにはちょうどいい。
なにせダイラスはフェブルアーリアの主たる活動地であり、なによりここには時折、興味深いものがある。
もちろん竜令嬢が口にする其れは、言葉通りの"もの"ではないことは明白だが。
「はてさて…目を惹くものが今回は在りますかね」
多少、疲労の色を浮かばせながらも竜令嬢は目を細めながら街を練り歩く。
見せもの小屋やらそれらしい店が並ぶ通りを、貴族らしさを隠すこともなくどこか優美に。
数日間、暴れに暴れた自分への褒美として、何かしら持ち帰ってしまおうと竜令嬢は密やかに企んでいた。
■フェブラリア >
……とはいえ、目ぼしいものが見つかるかどうかは話が別である。
普通の奴隷を買うだけならば、わざわざこんな場所まで足を運ばずとも良い。
折角の奴隷市場都市なのだから、相応の品を見繕いたいのが当然だ。
趣味から選ぶなら男娼や、魔力的視点ならミレー族。
そういう専門店を見て回るべきだろうか?などと思考を巡らせつつ練り歩く。
まあ見つからないなら見つからないでもそれでよし。
どういう奴隷が売られているか、需要が高いか。それを知るだけも益になる。
人身売買は本業ではないが、海運で取り扱わないわけでも無し。
多少の”相場”を仕入れるだけでも、今後の商売に活かせるだろう。
……と、竜令嬢はそんな思考で奴隷市場の店々を見て回る。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からフェブラリアさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にフェブラリアさんが現れました。
■フェブラリア >
そして翌日、竜令嬢がバフートへ訪れて二日目。
結局、先日は目ぼしいものは見つけられず、竜令嬢は適当な宿を借り一夜を過ごした。
元よりと軽い休養と視察を兼ねた一時的な滞在だったのもあって、そこまでの執着はなかったのだ。
朝に軽く食事を済ませ、竜令嬢は奴隷市場へと再び足を運んでいた。
昨日と変わらず賑わっている通りを歩き、店々を見て回る。
しかしやはり目に留まるものはなく……いや、あるにはあるがどれもこれもがパッとしない。
やはりこの程度の品では満足できないなと、竜令嬢は内心でため息を吐いた。
「とはいえ、手持ち無沙汰で帰るのも味気ないですしね」
何かしらを土産に買って行くのも一興か、と竜令嬢は適当に店を見て回る。
■フェブラリア >
こういう時、まず足を運ぶのは最も大きな市場であろう。
少なくとも最低限の規模は確保できており、基礎的な品揃えも豊富。
掘り出し物や特化した商品となれば流石に専門店に分があるが、それでも品数の豊富さは群を抜いているのが常。
多少の目利きが可能ならば、まずハズレを引かないのがこうした市場だ。
ともあれ、とりあえずはと竜令嬢はその大きな市場へと足を運んだ。
店内にすら見世物小屋めいた小さな店が並び、客引きの声も騒がしい。
竜令嬢は軽く見渡して目星を付けていた店をいくつか回り、その商品を吟味する。
珍しい種族を買うもよし、魔力がありそうな者を買うもよし。
”趣味”の為に穢れを知らぬ身分の者を敢えて買うのも一興だろうか、と。
ハードルをある程度さげてみて回れば、今度はついつい目移りする。
それくらいには、確かな品ぞろえであることに、竜令嬢は舌を巻いていた。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」に莎花公主さんが現れました。
■莎花公主 > 「さてさて、こういう者も売られているのですねえ……王国は。」
そんな竜令嬢の進む先からちょっと不思議な装束の少女が現れた。
仄かに鼻に心地よい香りを漂わせ、その様相からは今にも奴隷商人につかまって売り物にされてい舞いそうなほどに嫋やかだけれど、
特に何もされず、何も起こらずにしゃなりしゃなりと歩いている。
奴隷を見ているが、買う気があるのかないのかはわからない程の雰囲気。
ただ、確かなのはこういう場を楽しんでいるということ。
そして、程なく近づいた竜令嬢に気が付けば、つい、と半歩道を譲るように動いてから
「ごきげんよう、お買い物ですか?」
穏やかな笑顔を向けて紡ぐ挨拶。
礼法にも長けた様相故に、身分の良い家の出だろう、位は推測できるやもしれない。
■フェブラリア >
そうした品定めの最中、ふと視線の先にシェンヤン風の装束の女性が見えた。
自らと同じこの市場の顧客なのだろうか。
少なからず相応の身分であろう雰囲気と、それ相応の威厳のようなものを感じさせる佇まい。
容姿だけを見れば嫋やかだが、それ以上に惹かれる様な妖美な何かを感じさせた。
「ええ、折角ここに立ち寄りましたので。
そういう貴女も、お買い物でしょうか?」
その衣装や容姿を真っすぐに受け取るなら、恐らくはシェンヤンから来た異邦人だろうか。
少なくとも王国では見ぬ衣装に、竜令嬢はそうあたりをつけた。
ともあれ、声を掛けられたからにはこちらも挨拶を返す。
優美なカーテシーと共に一礼と、純粋な問いを帰した。
■莎花公主 > 「それはそれは。ならば是非、より檻に近い方はお譲りいたしますわ。
私は……そう、世にいう社会勉強のようなもので。
王国には先日参りましたもので、物珍しく色々なものを見歩いておりましたの。」
王国には先日、と言う言葉で竜令嬢のあたりがより信ぴょう性が増すことだろう。
そして、そんな会話の最中で、竜令嬢のパーソナルスペースぎりぎりまで近づき、
これ以上近づくと気味が悪いと感じる距離ジャスト手前で立ち止まる。
「どのようなものがお好みですの?
とても可愛らしく、お美しいのに、その奥にはとても深い情念が見えるかのよう。」
語り口も声の大きさも先ほどと変わらないのに、何かが少しおかしいようにも思える。
それは、明らかに踏み込んだ言葉であり、この言葉を耳にすれば行きかう者達が何事かと振り返りそうなものなのに、
誰も全く意に介さない様子故。
恐らくは、このシェンヤン風の女性の言葉は、竜令嬢にしか届いていないのだろう。
逆がどうかは、竜令嬢が言葉を紡いでみないと分からないが、
きわどい会話を振ってきたのだから、恐らくはお互いの会話をほかの者には聞かれないようにした、とミルのが自然かもしれない。
■フェブラリア >
彼女の言葉を軽い頷きを返しながら拝聴する。
やはり異国の、相応の身分のあるもので恐らくは間違いがないのであろう。
「ははぁ、なるほど社会勉強……その衣装ですし、シェンヤンから、でしょうか?」
一応の確認を取る様に問いかけつつ、言葉の続きに耳を傾けていれば…
ぐっと、かなりの距離を詰めて来た彼女に対して、ほんの僅かに瞳を丸める。
パーソナルスペースが近いのか、或いはそうした文化なのか。
それとも何かしら、目的があって距離を詰めたのか。
幾らかの選択肢が過るが、竜令嬢はいずれにしろまだ害意を懸念するには早いと判断する。
流石に無警戒というわけではないが、その判断を下すのに多少なりとも時間と材料を必要としたからだ。
「しかし好み、と来ましたか。
何を基準とするかにもよりますが……」
思案する様子を見せつつ、目線が周囲を一瞥する。
言葉にされた単語や今の自分たちの様子からして、誰かしらは此方を伺っていそうなものであったが…
そうした様子が欠片もないことに、竜令嬢は違和を持つ。
好意的な推測をするならば、踏み込んだ問いをしたことに対する気遣いの認識阻害の類だろうが…
果たしていきなりに此方の内心を多少なりとも読み、踏み込んできた彼女をどこまで信用してよいのか。
仄かに警戒度を高めながらも、しかして返答することに瑕瑾もなし。
「そうですね、より”壊し甲斐”のあるものを、探しては居りましたよ」
口元を隠しつつ、恐らくは知りたかったであろう『深い情念』の一部を竜令嬢は答えとした。
■莎花公主 > 「あら。まぁ……流石に昨今、王国にも増えておりますのでお分かりになりますか。」
シェンヤンから、と問われれば、こちらも特に隠す風もなく返事を返していく。
その後で、両手を胸の前で合わせ……とはいえ、ダボッとした袖でどのように合わせたかまでは見えないが……
小さく頭を下げる礼を向けてから
「名乗りが遅れましたが、莎花(しゃぁふぅぁ)と申します。お見知りおきを。」
異国の発音故に聞き取ったり発したりするのは難しそうだが、名を名乗って。
その後に、竜令嬢が警戒しているのを知ってか知らずか気安い調子で言葉を続ける。
「ええ、好み。人を買うとなれば、色々な好みがあるでしょう?
美醜、性格、体格に能力。あらゆるものが価値になるのが人。
貴女がどこに価値を見出すのか、気になります……あら。」
そんな言葉を紡いでいれば、返ってきた返答。
それに少しだけ驚いたような表情を浮かべてから、手にしていた扇を小さく開き、口元を隠せば鈴が鳴るような音で笑ってから
「それはそれは、なかなかよろしい趣味をしていらっしゃる。
壊しがい、と来ましたか。
物理的に?精神的に?壊し方も色々ありましょう?」
そして、さらに踏み込んだ問いを向けていく。
ただ、流石に警戒している様子を察したのか、瞳がより笑み深め細まって。
「そこまで他意はございませんわ。
この場にあまりそぐわぬように見える可愛らしいお姿なのに、至極熱心に奴隷を見やっているのですもの。
興味の虫がうずうずと疼いたまでにございますの。
私の個人的な興味にすぎませんので、答える必要はなし、と切っていただいてもよろしいのに、
お答えいただけたものですから、もう少し、と欲を出してしまっているまでにございますわ。」
どこまで本当でどこまで嘘か、何も保証するものがないものではあるが、少なくとも何かがいしようとしているわけではないと伝えるつもりのようではあった。
■フェブラリア >
「莎花さま、ですね。私はフェブラリア=フェブルリア=フェブルアーリアと申します。
どうかフェブラリア、と気楽に呼んでくださいな。堅苦しいのは、肩が凝りますので」
名乗りを返し、再びの簡素なカーテシーを返す。
海での交易をしている故か、聞き取りや発音に関してはあまり問題は無いようであった。
無論、流石に完全に現地の言葉となれば、竜令嬢も聞き分けるのは難しいだろうが。
「ええ、ええ。それは実に確かな事。
人の趣味嗜好は実にそれぞれ、だからこそ多様な市場が此処でも産まれているのですしね。
無論、私にもいくらかの、”価値”を見出す要素はございますが……」
その中でも”秘めたる本質”からくる価値観の一つがそれである、と暗に答える。
現状では、それを答えたところで不利益はない筈だ。
多少は引かれる事もある事柄だが、引かれたとて、という相手でもあり。
だからこそ何故に?と、そうした疑問を彼女に対して抱いていた。
とはいえ、純粋な興味本位だという彼女の言葉に頷けるのも確かな事。
答えない理由もないと考えなおせば、竜令嬢はさらりと答えた。
「そうですね、精神的にも物理的にも…壊すのであればどちらでも。
心が強ければ精神を、身体が頑強ならば身体を…と言ったとこでしょうか?」
■莎花公主 > 「ふふっ、フェブラリアさま、ですね。
名乗ったからとは言え、我ながらいかにも怪しい者にもお名乗りくださいましてありがとうございます。」
半分冗談、半分本気で自分が怪しいことを理解した上で向けた言葉。
半分冗談ゆえに、言葉の最後に笑いが混じる。
そして、彼女の「価値」がなかなかに「良い趣味」とも取れるものと知れれば、より笑みの気配が強まって。
「まぁ、まぁ。
当人の強いものを壊したい。
精神的に嬲りたいわけでもなく、身体的に嬲りたいわけでもなく。
ただただ何かを壊したい。そう仰られるのですね。」
竜令嬢の言葉の真意を確認するかのように繰り返した言葉。
その後でぱちん、と奥義を閉じれば、その下にあった口は楽し気な弧が描かれていた。
「そのように答えられるのですもの。
フェブラリアさまは、お強い方なのですね。
私など、常々あらゆるものに庇護されてばかり。
そのようなお強さはうらやましくも思いますわ。
そんなフェブラリア様のお目に留まった奴隷はおりまして?」
これが最後の興味だ、と言うかのように向けた問い。
ここまでと特に雰囲気が変わることもなく、ただの興味として向ける問い、なのだろう。きっと。
■フェブラリア >
「あらまぁ、自分でそれを言っちゃうんです?」
くつくつと、自らを怪しいと称したそれに苦笑する。
自覚があったのか、という思いが半分。
なるほど、そうした返答をするのかという感心が半分。
自らも扱う対応であるからこそ、なるほどと頷けてしまったのだ。
「ともあれそうですねぇ、ただただ壊したい…は事実その通りなのでしょう」
否定はしない。竜令嬢の根底にあるものは事実そういうもの。
それを今はありのままに彼女へ返す。
「確かに私は相応に強かではありますが、さりとて若輩者であるのも確か。
庇護される身ではいられなかっただけ、と言うのが実際のところですよ」
そうした思案を密やかに交えながらも、その問いへは淡々と。
余計な思想なんかを交えずに、素の返答を続けていく。
「して…そのご質問ですが──今はまだ、とだけ」
■莎花公主 > 「ええ、ええ。言っちゃいますよ。
自分でも怪しいと思いますもの。
奴隷市で、背景もわからぬ異国の小娘に声をかけられて、
奴隷の好みや扱いの好みを根掘り葉掘り問われるのですもの。
怪しい以外の何物でもありませんわ。」
苦笑浮かべる竜令嬢に向けて、
かさにかかって自分の怪しさを次々と並べ立てていく。
多少軽くなった空気の中、ただただ壊したいの確認へは諾意。
「なるほど、それがフェブラリア様のありようなのですね。興味深いことです。」
普通の令嬢であればどう見てもただ鼻白み、引くようなことなれど、
ありのままに返ってきたものを受け止めた。受け止めて見せた。
「いえ、それを強さと言うのですよ。
庇護される身でいられなかった、と言ってのける心根こそが、強さなのでしょうね。」
そして、最後の質問に対しては、まだ、との答え。
それには残念そうな様子を見せてから
「それはとても残念なことです。
フェブラリア様のように愛らしい方が、どのように奴隷を壊すのかにも興味はあったのですが。
とて、いまだ見つからざるものは致し方ありませんね。」
小さく息をついてそのような言葉を紡いでいれば、市の奥の方から多数の人間が駆けてくる。
公主、公主、とかかる声に肩をすくめて。
「あらあら、まぁまぁ。
どうにも頃合いがよろしくないようです。」
そう言葉を紡いでから、懐から一枚の四角い紙を手に取れば、軽く自分の唇に触れさせた後にそっと竜令嬢に差し出して
「もし、またどこかで他愛もない言葉遊びや、ちょっとしたお茶、もしくはお好みなれば……」
口元が、少女にふさわしくない程に妖艶な笑みに歪み、自らの胸元に髪を持たぬ手を置いて
「面白味もなく怪しさしか持たぬ小娘の内に何があるのか壊してみたいなどの興味をお持ちになりましたら、お受け取りを。
暫くは王国内にはおりますので。この符がフェブラリア様の御意を伝えてくれましょう。」
小さく小首をかしげて向けた言葉。
受け取るにせよ、受け取らぬにせよ、奥からかけてきた一団が目の前の少女の所まで至れば、程なく連れられて行くことだろう。
一体いつ抜け出したのかとか、この街は危険だから一人で歩くなだとか、たくさんの小言を、恭しい高貴な相手に向けるかのような言葉を浴びせられながら。
ただ、最後今一度視線が合えば、悪戯めいて片目をつぶって見せ、どこかの宿へと強制的に帰らされていったのだった。
■フェブラリア >
公主…というその単語の意味合いを探り、
それが皇帝の娘を指すものであることに思い至ると、あぁと納得する。
なるほど、守られる立場であり、礼装の行き届いた立場である筈だ、と。
その会話を他者から防いでいたのも、それが理由のひとつなのだろうと。
そして彼女が残念だと口にしたのにも、微かな納得の気持ちが浮かぶ。
自らがそうであるように、彼女も”趣味”があるのだろう。
恐らくはきっと、自分とは違う方向性で、されどもある意味同類に。
「こればかりは巡りあわせ、致し方のない事ですよ。
……して、ふむ。なるほど通信の類の力のある符、ですか」
なれば受け取らぬ理由もなし。
実際にはどうするにせよ、純粋に興味は抱いた。
差し出されたそれを受け取り、竜令嬢は懐へと仕舞い込む。
「なればそうですね。また、互いの機が巡った頃に」
暗に返答を返すであろうと、そう仄めかし。
恐らくは目利きであろう一団に引き連れられていく彼女を、目を細めながら見送るのであった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」から莎花公主さんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からフェブラリアさんが去りました。