2024/05/10 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」に八蛟さんが現れました。
八蛟 >  
 奴隷都市バフート
 冬の厳しい環境を乗り越え春と夏の間にまでなっている季節。
 賭博 売買 拉致誘拐
 色々な理由で冬場から今に至るまでの奴隷が、活きの良い者から壊れた者まで集まっている。
 何時来たって此処の地獄が色褪せることが無いから、鬼は気に入っている。


   「―――んぐっ  んぐっ   ぶはァッ。」


 奴隷の売買は路上から店内まで幅広い
 特に気温という物を気にしなくなった今では天幕どころか茣蓙を敷いて叩き売る
 言わば経費を掛けずに売り払う輩までいる。
 貴族や商人など金持ちに限れば競売だろうが、ここでは奴隷は石を投げれば当たりそうだ。
 そんな憩いの場の一角で、息絶えたか気を失っているだけかもわからない
 複数の骸が重なったそれを“腰かけ”に使い、大きな丸みを帯びる素焼きの徳利壺
 中の醸した澄む穀物酒を直に煽っているのは、その鬼だ。

 顎から滴り首を濡らす酒の雫。
 それはどれほどうまいのか 底辺冒険者が毎日飲む最底辺の酒の何倍もするのは確かなこと。
 それを、水のように飲み干しては未だ揺らせば波打つ音を立てる大徳利壺。
 足元に置き、旨そうに手首で口元を拭う姿。
 喧嘩の後の一服か、その貌は堪らないと言った具合だった。


   「鬼退治じゃなく、攫おうとするからそうなんのさ。
    少しは期待した私が馬鹿らしいよ。」


 大火口の手綱煙管を抜けば、銀一色の手綱仕立ての煙管。
 刻みを雑に押し込んでから指に挟んだ火打ち金。
 叩きつけ、火花で点るホクチ
 古風な火のつけ方の後、葉巻のように口の中で泳がせた煙がその口元から波打ち出ていくか。

  

ご案内:「」に八蛟さんが現れました。