2024/03/14 のログ
サウロ > (道行く先、夜の帳を撃ち抜くかのように響く銃声に眉を寄せた。
 ここから然程離れてもいない場所からだと分かる。
 こういう場所柄、そういうこともあるだろう。
 とは言え、無差別的な猟奇殺人であれば、看過することは出来ない。
 深くフードを被ったまま路地へと入り、そこには二人の人物がいる。
 壁際に追いやられているのは奴隷階級らしき男。銃口を突き付けているのは、中性的な人物。
 背丈やフォルムから、男性か女性かの判別は付けにくい。)

「────そこまでだ。」

(静かに、冷静に、仲裁の声を発する。
 相手方から見れば路地の角からフードを被った青年が見えるだろう。
 ローブの内側には剣、その柄に手も添えてある。
 目深に被ったフードの下から、怜悧な碧い双眸が二人を、武器を持つ人物を見据えていた。)

「あまり口を挟むべきことではないが、バフートの奴隷を無暗に傷つけるものじゃない。」

(あくまでも、この都市のルールとして、告げる。
 それでどう出るか、様子を伺いながらも男に行け、と顎で促す。)

クルル > (許して。
 そう動こうとした唇に、
 特に感情動かされる事の無い様子で、
 コツ、とまた一歩進んだ。
 絶望、と書いてあるかのような男の顔に銃口が迫った―――。

 …が)

「……おやおや、お人好しもいるもんだなァ。」

(ふわりとウェーブのかかった前髪を揺らして、愉快そうに笑う。
 そして新たに表れた青年を見やる。
 剣の柄に手を添えている様子を見て、心底楽し気な笑みを浮かべた)

「…何、じゃあ、アンタが相手してくれンの?」

(此奴の代わりにさ。
 つ、と色合いだけは優し気な紫の瞳がへたり込んだ男を見やる)

「口を挟むことじゃねぇってわかってンなら、
 アンタが引っ込むべきってこともわかるよなァ…?」

(悪戯っ子のような笑みを浮かべたままに問う。
 そして銃口をゆっくりと青年へと向けた。
 その間に、先ほどまで銃口を向けられていた男は礼もそこそこ逃げ出すことだろう)

「…あーあ。今晩の獲物が…。」

(さして残念そうに聞こえない声で呟いた)

サウロ > (お人好し、と言われれば否定も出来ない。
 馴染めないこの都市の空気が苦手だが、割り切ってやってきた。
 それでも目の前で人が殺されそうになるというのなら止めるだろう。
 それを見て見ぬ振りができる質でもない。
 愉快そうに笑う美人の顔を見据える。
 顔を隠すでもなく、不敵に笑う姿はこの都市の"強者"に分類される立場か。
 奴隷を買う側、身綺麗な様子を見ても、それなりに融通の利く立場に居そうではあるが。)

「────……。」

(おしゃべりが好きらしい語り口で言葉を紡ぐのを黙って見据えている。
 向けられる銃口は、おそらく魔導具の類だろう。
 魔力を弾丸にするタイプか、あるいは魔石か。あるいは海賊が使う鉛玉か。
 何にせよ、こちらに注意が向く間に逃げる奴隷を視線だけで追った後は、
 剣を引き抜きながら魔法鞄から盾を取り出し、左腕に携える。)

「さて、このまま引っ込ませてくれるなら、大人しく去るが」

(ここはある種の無法地帯。治外法権の都市。
 殺人未遂として捉えたところで己が介入できる手段はない。
 このままお互い引くなら互いに無事に済むだろうが、
 そうでないならどちらかはさっきの男と同じ奴隷階級になるかもしれない。
 ここはそう言う場所だ。
 こちらから斬りかかることはないが、こと防御・防衛に関しては並外れた耐久を持つ男だ。
 相手の出方を伺いながら、"次の手"を講じ始める。)

クルル > (途中、転びそうになっているのを止めもせず。
 男が逃げ出していくのをぼんやりと眺めていた。
 だが、途中でさも楽し気に、クックック、と笑みを浮かべ)

「あーあー……。」

(どうしたもんか。
 そう言いたげな声)

「どうしてくれンの。」

(引っ込ませて―――やるわけねぇだろと。
 そう言いたげに紫の瞳が細められて…)

「おかげで俺、今夜一文無しなんだけど。」

(そう言って肩を竦めて見せた。
 そこまで多くない持ち物の中、
 鞄からも金銭の鳴る音は聞こえない)

「スリを追いかけてきたらこの様、あーあ、神様はいないのかね。」

(此処まで言えばわかるだろうか。
 青年が守った男はスリで、こちらはそれを追いかけてきた被害者だと。
 青年にはただただ、“悲し気”な目線を向けた)

「…ま、仕方ないか。
 掏られた方が悪い、分かってるよ。
 此処は運悪く逃げられた俺が悪い、そう思わなきゃ。」

(ねェ?
 次の瞬間には笑顔を作り、青年に向けた)

サウロ > (どこか演技めいた口ぶりと視線。
 そこから告げられる"真実"のような言葉。
 普通であれば信じるかもしれない内容だが、しかして銃口を向けながら、肩をすくめ、笑う様子は。
 無条件に信じられる内容でもない。)

「奴隷が君の金を奪って逃げたなら、奴隷の主人に問い合わせるべきだ。
 勝手に傷つけて殺しでもすれば、その分の請求が君に行くだけだ。
 一文無しから奴隷堕ち。この都市では珍しくない」

(果たしてこの状況で、その言葉を真に受ける相手がいるのだろうかと純粋な疑問。
 奴隷が犯した罪ならば、しかるべきところに問い合わせれば真実はつまびらかになるだろう。
 見た目だけでいえば物見遊山な貴族、とも見えなくはないから、狙われたという線もあるが。
 どちらにしても、スリを追いかけてきて逃がして「今晩の獲物が」なんて台詞が、出るはずもない。
 仮にスられたのが真実だとして、"そう言う遊びをしている"と捉えられても不思議ではない。)

「君が何者で、どういう目的でここを訪れたかは俺には関わりのないことだ。
 痛い目を見たと思うなら、早々にこの都市から離れた方が良い。」

(ころころと表情を変える姿を静かに見据える。
 舞台俳優や演劇の方面に進んだら、それなりに見栄えもあるし売れるのでは、というのは飲み込んだ。
 淡々とした様子で告げれば、目線は逸らさないまま一歩下がる。)

クルル > (やれやれ仕方ない。
 そう言わんばかりに銃口を背け、
 銃は自分の腰に戻す。
 そして一歩、二歩、と、青年に向けて歩き出し)

「あいにく、俺自身があんまりこの街じゃ信用無くてね。
 だから自力で追いかけてきたまでだが…ま、今夜は仕方なし。
 襲われる覚悟で一人寂しく夜を過ごすしかない。」

(元海賊という立場、まぁこれは青年の知ったことじゃないが。
 そんな立場上、この街では評判は悪くなるものでしかなかった。
 つまりはまともにこの街の組織がこの少女一人に動くものじゃないと自分でも悟っているのだろう)

「そんなことができる銭が俺にあるとでも?
 本当ならあの奴隷を一晩でも買って一夜過ごすつもりだったけど、
 それもかなわなくなったからねぇ…。
 これでも一応用事が無きゃこの街には来ないさ。
 痛い目を見るのは弱いからだ、それを今更嘆く理由は無いだろ。」

(俺が弱いから食われるだけよ。
 そう告げると、青年には背中を向ける。
 その言葉に嘘は無いのだろう、肩を竦めるその一仕草には諦めにも似たものがあった。
 事実食われ続けたところから無理やり這い上がってきたのだ)

「お兄さんが下がるなら俺はあいつを追いかけていくさ。
 …ま、可能性はゼロに等しいだろうけどね。」

(また食われる側になるかはそれ次第)

サウロ > (信用とは人からの評価に繋がる。
 自身で信用がないとわかっていながら、この都市にいるのには何らかの事情があるのだろう。
 けれどその事情に首を突っ込む気にならないのは、根本的に、相手の"言"が信用ならないからだ。
 答えを返すその言葉に、それ以上の押し問答を自分としたところで意味はないと言うように、言葉を噤む。
 やがて武器をしまい、踵を返すその背中を静かに見据える。)

「…………」

(目を伏せて踵を返す。
 あの背中にかける言葉を持ち合わせていない。
 この治外法権の都市で、弱者は奪われ、強者が支配するこのバフートで、
 彼が、または彼女がどういう命運を辿るかはあずかり知らぬことになるだろう。
 「ああ、だからここは、嫌いなんだ」と呟く声は誰の耳にも届かぬほど小さく、夜の静寂に掻き消えていく。

 自己嫌悪と苦い夜の味を潮風が流すように、冷たい夜風の中帰路へとついた──。)

クルル > (他人からの評価、そんなものに何の意味があるのか。
 むしろそれにすらも意味を見出せないから、食って食われての立場が性に合ってるのかもしれない)

「あ、一応、社交辞令として。
 お兄さんも気を付けてね、おやすみなさい。」

(クックック、と喉の奥で笑いながら片手を上げた。
 本当に社交辞令でしかないのだろう、
 少女は振り向くこともせずに、ただただ歩いて行く。
 次の日は寝不足になっていることだろうが、
 それもまた誰もあずかり知らぬことで…)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からクルルさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からサウロさんが去りました。