2024/01/06 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート 野外市場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 「っくしっ!」

とくしゃみをしたのは半刻ほども前だったろうか。
公主の護衛のアルバイトは、今回は王都からここまで出張料付きでなかなか実入りは良いものの、いつも通り退屈な道中。
来る時は先に偵察に行って来るとかなんとか言って走って戻ってきたりして何とかひまつぶしをしたものの、都市に入ってから公主が『お買い物』―――といっても『商品』のほうが向こうからくる―――― している間は本当にすることが無い。

(傍に突っ立ッて目を配るってもなァ―――)

もともとソレ向きの従者はいることだし、走ってちょっと汗をかいたせいか身体が冷えてくしゃみは出たところで『公主に伝染しては申し訳ない』とか何とか言って、滞在先をでて都市をうろうろしている。

ヒトの流れに何となく乗って進んで行った先の広場は奴隷都市ならではの露店があるようで、暇つぶしには丁度良さそうだ。

(すこしお腹も減ったし)

100%物見遊山。騒動に出くわして喧嘩相手が捕まえられたら見つけもの。
細い目を瞬かせると、スキップにも近い足取りで屋台の間を往くヒトに紛れ込んだ。

ホアジャオ > 『いらっしゃい』
『見て行ってよ』
『安くするよ!』
『お買い得だよ!』

などなど。
飛び交う言葉は故郷でもきいていたものと変わりない。
しかしそれが差す商品がイキモノ(大概ヒト)であることが大きな違いだ。
公主が部屋に招いた商人が連れてきたような、小奇麗な類の者は殆どいない。中には生きているのか死んでいるのか解らないのや、一度死んで生き返ったようなのやらがいて、冬晴れの陽がさんさんと降り注ぐ中で呆然とたちつくしたり座り込んだりしている。

そうやってヒトを商う隣には大概装飾品を商う露店があって、奴隷たちむけ、もとい、奴隷の主人向けの商売に余念がない。

(しっかりしてンね―)

自分には商売はサッパリだが、故郷で親戚か父親の部下だかが似たような商売をしていると聞いた気がする。
ヒトが商われていることに今更感慨はわかないが、文化が違う中で同じような商売が成り立っている事には何となく思う所がある。

ホアジャオ > とりあえず、市場を真ん中に走っている通りを端から端まで往った所でぺたんこのお腹がくぅと鳴く。耳にしてしまうと弱い。スキップの足取りが止まって、ツリ目の端を心持ち下げてお腹をさする。

戻ればお昼の用意があるかもしれない。なくても、公主にと用意された果物が山と積まれていたはずだ。

(桃、あったかなー)

女は後頭部の三つ編みをひらりと舞わせて踵をかえすと、ヒトがごったがえす市場を迂回するようにして、元の路を駆け足で辿って行った。

ご案内:「奴隷市場都市バフート 野外市場」からホアジャオさんが去りました。