2023/11/10 のログ
■ムーチョ > 納得する様に呟く相手に頷く男。
モデルを探しに来たとしても、それが奴隷で有る必要性はない。
じっと見つめていれば有珠蒼の瞳も見つめながら自身の言葉に困惑し、呆気に取られた様子の相手。
男の緑眼はそんな相手を楽しむ様に見つめ。
正しい答えを求めて言葉尻を鈍らせる相手の前に立てば長身の男は自然と相手を見下ろす形に。
「うんうん。 その困った表情も良いね…。 君は他にどんな表情を見せてくれるだろうか…? あぁ、もちろんただとは言わないよ? どうかな? 冒険者さん。」
気付けば男の瞳に映る熱は増していく。
芸術に狂う男、答えを待ちながらも手を伸ばし人形めいた顔に触れようとつい、手を伸ばしてしまう。
相手が混乱のまま固まっていれば、その頬に触れ掌で包み込んでしまうだろう。
■ユーゴ > 更にと詰められる距離に、無意識の内に足を引く。
間があった内には、視線だけで相手の眼を追えていたのが、視線を合わそうとすれば詰められた分だけ顎先が上へと反れるのだろう。
ともすれば、増した熱にも気付く。
向けられ慣れぬ質の視線に、困惑から抜け切れない儘でいたものの、不意、耳を打つ言葉に思考が戻った。
伸ばされる手をあからさまに避けはせず、然し、触れられる寸前、頬と相手の掌の間に己の手を柔らかく差し込み。
「報酬は、金銭よりも情報や物――だとかの方が助かるのだけど。
貴方にその伝手はあるのかな、芸術家さん。」
己が求めて、ここへと訪れた理由がそれであるとは、言外にも伝わるだろうか。
頭を浅く傾ければ、悪戯気な色を声に乗せる事で希求に焦れる内心を隠し、相手の言葉をなぞって問い返す。
■ムーチョ > ついと、詰めれば無意識のうちに脚を引き僅かに距離を離れようとする相手。
長身の男が相手の前に立てば自然と顎先が上へと向かい自然と伸びる首筋。
触れようと伸ばした手は差し込まれた手に遮られるが、それはそれとして男の手は相手の手を柔らかく握る。
困惑していた瞳、向けられるのは悪戯気な色を帯びた声と僅かに揺れる瞳。
「情報や物…。 さて、それなりに長く生きているからね。 その分様々な付き合いもあるのは確かだ。」
己の手の中に有る相手の指先に自身の指先をすり合わせながら言葉を紡ぐ男、相手の欲しがる物へつながる可能性をちらりと見せるに留め。
「さて、冒険者さんは何を求めてこんな混沌とした闇の中に来たのかな?」
クツリと笑いながら問いかける男、指先を触れ合わせた手を握り、自身の方へと軽く引きながら問いかける。
普通の品ではないのであろう事は容易く想像できる。
相手を誘う男の低い声、どこか甘く毒を孕み相手の心を妖しく刺激していく。
■ユーゴ > 紡がれる台詞に反応してか、握られた指先が微かに跳ねた。
期待と、それを抑えようと努めるのに、結局抑えきれず、引き寄せられる力に抗わずに一歩足を踏み出した。
何処か甘やかな声色が、鼓膜にじわじわと染み渡り、脳を揺らがせる。
「……強力な、解呪の術。もしくは、それに類するスクロールや魔導具。
こんな生業だからね、万全を期しておくに損はないだろう?」
誘われるように、仄かに浮ついた声色で告げた次の瞬間には、自身の揺らぎに気付いて取り繕う。
「まあ――今持っていなくっても、情報や物が手に入ったら必ず私に融通してくれる、と言うのでも構わないのだけど……どうかな。」
常と変わらぬ穏やかな表情を浮かべ、おどけるようにも嘯いて求める物への希求を覆い隠した。
無論、それが彼に通用するのかは、判然がつかないのだが。
■ムーチョ > ピクリと跳ねた手が相手の心の内をありありと男に見せつけてくる。
その動きを感じながら相手の瞳を見詰めていれば相手の唇から溢れてくる言葉。
深く求めているのは解除の術やスクロールに魔道具。
揺らぎを取り繕おうと穏やかな表情を浮かべおどける様子も、
何よりも情報や物が後払いでも良いというのも浮ついた相手にとって、どれほどそれが必要なのかをむしろ際立たせている。
「どれも、高位な貴族や裕福な商人が喉から欲してやまないものだね…。 そして、強力な物ともなれば…自然とその対象も細分化されていく…。」
確かにこんな場所の裏に来なければ手に入らない物であろう。
目を細め、小さく頷き応え。
「そして、それらは金銭だけを持っていても決して手に入れる事が能わない…。 その価値は冒険者さんが一番知っているね…。」
価値の共有。それがどれほど貴重な物なのかを確認する様に呟く男。
相手の手からするりと男の手を離すと代わりに相手の横顔に顔を近づけていく。
「冒険者さんも聞いた事はあるかな?美しい芸術作品には時折呪いがかけられている事もあるし、呪いをかける事もある…。」
男の唇は妖しく弧を描き、小さな笑みを零し長耳をひそめた声と吐息で擽り耳打ちをしていく。
■ユーゴ > 「――――――。」
言葉に詰まる、と言うよりは、押し黙る。
相手の台詞は至極尤もで、それ故に、己も方々に手を尽くして探しているものだ。
金銭よりも余程価値がある。
だからこそ、彼の告げた”報酬”に、情報だけでも手に入れば、と挙げたのだ。
己の算段は見透かされていたらしい、と思えば、苦いものが口の中に広がったような気がして、眉間に浅く皺を刻む。
沈黙を肯定に変えながら、今度は詰められる距離を避けず――耳殻を掠める呼気が、音の振動が、神経を擽った。
「――――……何が、言いたいのかな?」
小さく息を呑むのに体を震わせ、それから、漸く絞り出した声は取り繕い切れずに擦れて。
■ムーチョ > 押し黙る相手。
男の言葉が相手の眉間に浅い皺を刻む。
言葉一つで相手の心に浮かぶ揺らめきを男の囁きがより大きく揺らしたかのように震える体。
搾り出された声は擦れていて。
「さて、君が欲しいものへつながるモノか、解く物か、軽くするモノや手段そのものを私が持っているのは確かだ…。 後は君が何をどれだけ欲しているのか私に伝える覚悟を、そして何をもって払うのか…。 よく考えて訪ねてきなさい。」
最後にクスリと男は小さく笑ってから、揺れる長耳の先を唇で揺らすように口づけを落としてから顔を離し、近づいた距離を離す様に一歩体を引く。
相手の見ている前でスーツの内ポケットに手を差し込み取り出す一枚のカード。
王都の男のアトリエの住所と名前だけが書かれたそれを相手に差し出す。
其れを取るも取らないも相手の選択。
そして、男のアトリエを訪ねるかも…。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からムーチョさんが去りました。
■ユーゴ > 目の前に餌をちらつかせられている獣の気持ちが良く分かる。
極上の餌なのか、身体を蝕む毒なのかも分からず、然し、手を出さねば何も得られないのだろう事だけは確かだ。
得られるか分からぬ望みの物と、己が、己の意志で提示せねばならない対価。
思わず喉が絞られ、呻きともつかぬ音を響かせ――過敏な耳へと触れた、掠め触れた柔い感触に、肩が大きく跳ねた。
「……ッ!」
反射に引き上げた片手で耳を覆い、何処となく、恨めし気な視線が這うのだろう。
離れた距離に、その分、冷えた空気に刹那の内に上がった温度が落ち着きを取り戻す。
差し出されるカードを取るか如何か、迷ったのは瞬きの合間だった。
「――――貴方、商売人の方が向いてると思うよ。」
悔し紛れに告げて、それでも、失くさぬようにと腰に提げた魔法鞄へとしまい込む。
その仕草が、己の意志を告げたようなもの。
落としていたフードを被り直し、彼の横を抜けて行く足は、路地裏ではなく、大通りへ。
やがて、人混みに紛れていくのだろう――――。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からユーゴさんが去りました。