2023/08/14 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にラディエルさんが現れました。
■ラディエル > この街に宿を取り滞在し始めてから、早くも二週間ほど経過していた。
少女の姿で出歩くには、王都以上に向いていない街だが、
目当ての人物がここに居るのだから仕方なかった。
以前から、薬や護身用の道具などやり取りがある老商人。
彼に己があの『男』だと理解して貰うだけで、随分苦労したのだが―――――
どうにかこうにか事情を説明し、とある丸薬を処方されて、数日。
肉体干渉系の術の効力を抑えてくれる、という触れ込みで、
しかしどう見ても、効いている、とは思えず。
駄目じゃねぇかどうなってんだ爺、と怒鳴り込んだところ、
紹介されたのが、明らかに怪しげな診療所だった。
今、『少女』は昼下がりの裏通りを、ドレスの上から日よけ代わりの薄物を羽織り、
手にした紙片の簡素すぎる地図を頼りに、その、診療所とやらを目指している。
何しろ懐も心許無くなりつつあるので、そろそろ、現状打破を図りたい。
そのためなら、まあ―――――多少危ない橋でも、渡っても構わない、という心地。
それにしてもこの界隈は、うら寂しげな廃屋同然の家が並んでいて、
営業中の店舗が在るとは思えないのだが―――――。
■ラディエル > 「あ、………」
ようやく、目印だと言われた立て看板を見つけた。
表面がほとんど完全に煤けて、しかも、
ひび割れて元の半分ほどになっていると思しきそれを、
看板、と称して良いのなら、ではあるが。
ともかく、あれが看板ならば目的地ははっきりしている。
ひとつ頷いて、『少女』は小走りに近づいて行く。
紙片を握り締め、看板が示す路地へ飛び込んで―――――。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からラディエルさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にマロゥさんが現れました。
■マロゥ > 奴隷市場都市バフートの中心部に程近い雑然とした市場通り。
一歩誤れば次の瞬間には自分自身が奴隷として売られる身となっていても可笑しくないそんな危険と隣り合わせの場所を、
少年はまるで近くを散歩するかのような軽快な足取りで、鼻歌混じりに歩んで行く。
檻の中から濁った視線を投げ掛ける、恐らく自分とそう歳も離れていないであろう『商品』たちには目もくれず、
少年の興味はそのすぐ隣に軒を構える道具店へと向けられる。
「わぁ………凄いや。流石にこんなのは、兄さんや姉さんの部屋でも見た事が無いなぁ。」
その瞳を愉しそうに輝かせながら興味津々といった様子で見つめる先に陳列されるのは、
夜の営みや奴隷の調教などに用いられる事を目的としたであろう、如何わしい道具の数々。
店奥のカウンターで店主が怪訝そうに見遣るのも気に留めず、店先に並ぶそれらを少年はひとり食い入るように眺め続けていた。
■マロゥ > そのような時間が小一時間程過ぎ去った頃、少年はよし!と意気込んでから一人店の中へと足を踏み入れて行く。
怪訝そうに此方を見遣る店主の視線をものともせずに、歳相応のにこやかな笑みで話し掛けるだろう。
それから先は『奇妙な子供とそれを訝しむ店主』では無く、一人の客と商売人として取引を始めるのだった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からマロゥさんが去りました。