2025/04/19 のログ
ティアフェル > 「……ん……割とあかんかった……」

 ははは、と情けなさそうに空笑いしてはどうにかして回復させると滲んでいた汗を拭って、ふ~……と息を吐きだし。
 それから改めて、少しは調子を取り戻した様子で、っはは、と笑い。

「あーね……わたしの生き様ったら下手するとモンクの様相よねえ。
 そうなんだ。じゃあ回復必要でない? ほら、わたしみたいな!なんて……ま、死ななきゃどうにかなるもの。
 今回は……無茶をした訳じゃないのよ? 情報がねえ……ちょっと……大分ねえ……」

 不測の事態、と嘆息交じりにごにょごにょし。
 亥の一番に首をすっ飛ばされた前衛を思うと頭が痛くなってくる。
 今日顔を合わせたばかりの口だけの剣士で無駄に偉そうで好きになれないタイプではあり、気の毒とは思うものの自業自得の面もあって悲しみのような感情は湧かないが……後始末は少々骨が折れる。
 あっちの方に生首が…と思うとどこまで回収したものか悩みの種。
 遺品を持ち帰って報告する程度が精々か。
 
 使わなかったポーションを返却するとお気持ちはありがたく頭を下げ。
 そして上着を貸してくれるという何とも紳士的な神対応に。
 目を丸めてから、きらきらさせて。

「あなたが神か……!
 うっそ、なに、かっこいいんですけど……! 男前が過ぎる!
 やっさし! ありがとうー! 超うれしー!」

 親切極まれる。心優しいぞ、この黒豹紳士。見上げる様に仰いで両手を組み合わせて拝む勢いで。

「後、純粋にかっこいい! 黒豹? 黒豹よね? すっごく素敵だね!
 気高い!」

 動物好きにして猫好き、猫科好き。獣相の強い長躯を神話に出て来る神様みたいだときららかな目で見上げた。
 なんというか、推したい。

ヴェスタ > 薬の方は要らずとも、間に合わせとは言え服の方は喜んでくれる様子に、うむ、と目を細めて頷いて。
重鎧なら脱ぎ着するだけでもひと手間かかるのだが、元よりこの男にとっての鎧とは自身の肉体そのものであり。人の文化に合わせて着ているようなところもあるから、動きやすく脱ぎ着もしやすい布鎧なのであった。
例えるなら冬用の厚手のコートのような感覚で、器用に黒い布鎧を外せば。脱いでもまだ黒いままの、毛皮のおかげで上半身裸と言うほどの印象もなく。
白い飾り布も垂れているおかげで上側部分だけでも、自身より小柄な女性が羽織ればまさにコートのような役割を果たしてくれるだろうものを、差し出して。

「おう、よく黒豹だとわかったな。獣人だと本物とはそれなりに違って見えるし、名乗る時は通りすがりの猫のおじさんだ、と言うし……その通り、黒豹の血が一番濃いはずだ。あとは獅子とか――ずっと先祖の方には少し、魔族なんかも混じってるらしいがな」

ある程度詳しくなければ、猫、と言う印象は抱いても、黒豹、と言う発想はなかなか出ないものだ、と感心している様子で。
やたらと感謝され褒められるのを、こそばゆくも思うのか、目の端は笑っているような表情になっていた。

「そういうわけで、おじさんは並以上に頑丈ではあるから、単独でも戦えはするのだがね。かと言って意味もなく独りにこだわるわけでもない。お嬢ちゃんのようにヒーラーが居るならその方がもちろん、有り難いさ。
 俺より先に敵に突っ込んで行かれても、それはそれで困りはするがね!」

わはは、と笑う。まるで、徒党を組んでいても真っ先にヒーラーが突っ込んでいく様相を見越しているかのように。

「ま、大方……情報、ってやつの見通しが甘すぎたか適当すぎたか、って所だろうさ。
 少し先の方からまだもう一つ、やたら血の臭いがしてるしなぁ……察するに、ありゃあ手遅れだろうなぁ」

別のところにもう一人、既にもう一つ、と数えるべきではあるのだろうが。それも獣人の鼻ゆえか、概ね何がどうなっているのか予測はつくようなのだ。

ティアフェル >  本当に上着、貸してくれた……!
 何と云いますか軽く感動。
 優し!やっさし!とやたらきゃーきゃーはしゃいで、よいしょ、と少し緩慢に立ち上がると差し出してもらった上着を大事そうに受け取って。

「ほんとに借りていいの? ありがとう。
 わー。ぶっかぶか!」

 もう着るまでもなく袖丈も肩幅も大分余る。いそいそと羽織って見て。手が袖口から出てこずに垂れる様子に笑って。
 それから袖口を折り返しながら前を留め。
 着た様子を見下ろして、オーバーサイズのコートを着込んでいるような態にふくふくと笑った。

「えー、分かるよ。猫にしては耳の形も少し丸っこいし、鼻もほら犬程じゃないけど長くて出っ張ってて………猫のおじさん…か、かわ。
 ふーん、なるほど、ミレー族とも違うわけだ。毛…毛……あ、あのぅ……その…ちょ、と…えと、変な、意味じゃなくって……そのぅ……すこぉし、触っても……いい…?」

 遠慮がちに折り返した袖口から手をそろりと伸ばして。
 性的な意味じゃなくってもふ的な意味での好奇心。少しごわっとしてそうな毛並みに…ちょっと触ってみたい。
 許されるなら結構撫でまわしてみたい。猫的な意味で。

「確かにソロでも十分対応できそうな感じね。――あらっ、お役に立てそうならいつでも使ってやってちょうだい。癒すぜ~。
 ……………うふ?」

 なんか……初っ端から何かを看破されている。何故だろう。おかしいな。この人勘がいいな。鼻が利くのかしら?
 ちょっと冷や汗交じりに誤魔化した。うふ。

「そー……まっさかこんな厄介なのだとは聞いてなくって。前衛後衛、回復と居たら充分だろって読みが大外れで……死傷者を出す大事故です……。
 ……ん、回復じゃなくって蘇生術でもないと無理ね……前衛らしく先陣切って……手も足も出せずに……化けて出ないで~……わたしのせいではないから~……」

 獣人の鼻も判断している。首が吹っ飛んだのだからどうやったってもう無理だ。
 うっ、うっ、と嘆くも心痛と云う程でもない。面識の薄さのせいか。
 冒険者が下手打ってロストするなんて毎日起こることではある。自分が助かったのは単純に運だ。
 

ヴェスタ > 「着ておけ、着ておけ。そもそも俺が着込んでいるのは、街中で素っ裸では面倒なことになるから、と言う意味合いがほとんどだからな。無い方がむしろ動きやすい」

言葉には出さないが、自領であれば立場上きちんと身なりを整えておくのも、示し、と言うものではあるのだが。着ていない方が動きやすいと言うのはそのまま本音であって、王都内では人の文化に合わせて着ていると言うのも半分本当であったから、貸すこと自体にためらいはほぼ、ないのである。

「ぶかぶかの黒の布鎧……だと、ヒーラーと言うよりどこぞの悪の魔道士っぽくなるな?」

自分で着ていれば当然そのまま布鎧姿だが、被さっている、と言うように見えるシルエットだと、なかなか面白い見た目になるものなのだな、と少し楽しそうに見ていた。
袖から手すら出ていないな、と見ていれば、それは捲っているようで、やがて伸びてくる手。

「ん?ああ、触っても構わんぞ。実際よく、子供たちには群がられて慣れている。あいつらは俺みたいにでかくても、怖がらん奴は本当に平然と寄ってくるからな」

おそらく、かわいい、と言いかけたのであろう一瞬も、時折そう言ってくる者がやはり居るのだろう、気にしているような様子もなく。
つつくでも撫で回すでも、好きに触れぃ、とばかりに腰に手を当てたまま平然と迎えていて。
戦いに耐えるような身体の体毛だから、ふわふわだったりは全くしないのだが、がちがちに固いわけでもなく、概ね、まさしくちょっとごわごわしたような、少し固めの絨毯のような手触りであるのだろう。

「ちゃんと後ろから回復してくれ、な?杖で殴りに行くものじゃあないんだぞヒーラーは。まぁ、それこそ僧兵です!って言って槍でも構えて突っ込むならそれはそれで諦めるし……
 ある意味、守りながら戦うよりは安心な場合もあるのかもしれんが、無茶でない前提だからなぁ。
 ひとまずは、気が済むまで毛並みをいじくり回してから、片付けるべき所を片付けて、安全な所へ帰還、かね」

回復魔法はできないが、死にたてなら衝撃で殴り起こすのは逆にできるかもしれない。とは言え首が飛んでいるのは流石に無理なわけで、おそらく殉職者の処置ぐらいは手伝う必要があるのだろう、と。
自分の方の仕事は終えた後で、もう自由の身だったが、この場で魔物やら別の誰かやらの死体と共にゆったりしている、と言うのもまだ危険であろう。

ティアフェル > 「ん-。ありがとうー。せっかくだしお借りしまーす。
 あ、んじゃ街に着くまでには返さないとだねえ……わたしに貸してくれてるせいで面倒になっても居たたまれぬ……」

 これだけ助力いただいていてご迷惑をかけるとか恩仇はとてもできない。
 取り敢えず、しばし拝借して頃合いを見て返却しよう。

「うん、まあ、さっき魔物の頸椎ぶっ潰してからのですしね。さもありなん……目が合ったらデバフ食らいそうな感じ?」

 悪かぁ……悪の華、咲かせちゃうかなあ、と益体もない妄想を繰り広げては、妄言。
 結構折らなければ手の先も出ないくらいの袖丈。これでは悪の魔導士といえど形無しであろう。

「えっ…い、いいの…? ほんとに? わ、わあっ……
 じゃ、じゃあ、えっと、ど、どうしよ……あ、手、手とかどうなってるのかな? さすがに肉球とかないだろうけど……あ……わっ、やっぱり少し硬い、感じ……ぅわあ~…すごーい、毛が思ったより太いんだ……本物の豹もこんな感じなのかなー」

 好奇心全開。興味津々で許可をもらってはおそるおそると少し遠慮がちに手を伸ばし、手首の上にそっと触れてみて。
 触り心地に、ほほう、と感心の態。
 そして、手はどうなってるんだろうと手首を持ち上げて掌を覗き見るようにして。

「ういっす。そりゃあもう。きちんと回復はするよ。隙あらば……突進しないでもないですけども。
 いや諦めるんかい。……武器は装備できないので、極力控えますわ。
 ………耳タコ。わたしだってね。無茶しようって構えで行ってる訳じゃないのよ? ただ、時に身体がね? 勝手にね? そういうことってあるじゃない?
 はーぁい、そうね、暢気にしてる場合じゃなかったわ。せめて弔ってはやらないと……数時間の関係とは云え仲間ではあった訳だし……
 ごめんね、すっかりお世話になってしまって……ギルドに戻ったらお礼とかできると思う。お時間大丈夫なら付き合って貰えると助かります」

 さすがにここまで手間をかけてしまっては、殊勝にもなり。
 乗りかかった船、という気構えでいるような彼に深々と頭を下げて。
 それからまずは黙祷してから、遺体から身分が分かる物や貴重そうな品を選別して回収するところから始めよう。
 うぅぅ…首ぃ~……ときれいに胴体とすっぱり泣き別れている惨状に半泣きになりつつ。

ヴェスタ > 上は貸したものの、下は履いているわけだから、半裸で力仕事している面々と格好自体はさほど変わらない。ゆえに、現状それほどこちらの方も心配するほどの状態ではないのである。
早めに返そうか、と言うのを軽く首を振ってやり。

「全裸なわけじゃあないからな。それこそ貴族連中の居る辺りにでも行かない限りはどうと言う事もあるまい。
 宿まで戻れば換えもあるし、何なら新調したって良いわけだしな。気にせず後で落ち着いてから、頃合い見て返せばいいだろうさ。途中で返したら、お嬢ちゃんの方が面倒事に巻き込まれそうだろう。血まみれ半裸よりは悪の魔導士スタイルの方が幾分かはマシじゃあないか?」

どっちにしろ、二人のうちどこかしらは怪しくなる。が、外から街へ戻って来る場合など、冒険者達などは特におおかたどれもそんなものだろう、とまた声を上げて笑っていて。
そんな間、毛並みを確かめているのをそのままにさせていて、手の方を気にしているのを見れば、ふむ、と少しすまなそうな表情を見せ。

「よく残念がられるがね、手や足などはほぼ人に近いな。肉球ないのかぁ、なんてわりと言われるものだよ。
 おそらく、二足歩行の生物として変化していく間に、やはり人間などと同じように道具を使ったりするために、同じような手になったのだろうな、と俺は考えているが。まぁ……真実は神のみぞ知ると言う奴だ」

爪は出し入れ出来るのだがな、などと言いつつ、触れられていない方の手を軽く挙げれば、にゅ、と爪を出したり引っ込めたり。甲の側は薄くともまだ毛皮らしい様子でも、内側はぐっと毛並みは薄く、爪の形こそ獣らしいが傍目にはほぼ人と変わらないような造形の手だ。

「いっそ、格闘主体の前衛化訓練をしてみる、と言うのもありなのかもしれんが……それはそれ、自分で選ぶ人生だからな。
 ――よし、お祈りなんぞは俺にはよく解らんが。荷物持ちはもちろん引き受けるぞ。首の袋詰なぞどうと言うこともなし」

獣人同士の弔い方は当然あるにせよ、人の方は人に任せた方が間違いなかろう、と所作は任せておきつつも。後は見慣れている方へ任せろ、と回収の方は請け負って。
他の連中は先に戻ってよし、と言ってあったから。この後の道中は一人分護ればよかろう、と帰路へと足を向け。

ティアフェル > 「そう? 大丈夫?
 それなら落ち着いてから洗濯して届けるからどこに持っていけばいいのか教えてね。
 ……血みどろではあるが、半裸ではない、断じてないっ」

 まあ、破けた衣服であんな王都の情勢で歩いていればそれなりに厄介ごとにはもつれ込みそうではあるが。
 ともかくそういう事ならありがたく厚意に甘えておこう。
 ていうか出会ってから甘えまくりな気はする。そろそろどうにかしたい。


「いや、ふーん……へえっ、残念ではないけど……こうなってるんだぁ。なるほどぉ……
 ――っわ、でも、爪は出て来るんだっ。すごい、いいなあ。面白ーい」

 多分街中でじゃれついてくる子供と大差ない状態。
 感心しきりで腕位ならよかろ、と肩から下、二の腕とか掌とかを珍しそうに毛並みに沿って触れて。
 独特に思える手指の形状も確認し、満足して手を放して。
 どうもありがとうと丁寧にお辞儀した。

「たまに云われるなー。でも中途半端になっちゃうだろうしね。わたしは結局回復するしか能がないし。
 あ、ありがとう、本当に申し訳ない、ご厄介おかけしますが……お願いします…!! でも、首、首は…首…持って帰らないとだめかな……ここ、マーキングしといてすぐ飛んでこれるようにして……ああっ、動物に食われるかあぁ……んんぅっ……も、持って帰り、ます……持ってくださいお願いします……あ、そういえば。
 申し遅れました、わたし、ティアフェル。云うまでもなく冒険者ヒーラーです。お見知りおきを」

 首を持ち帰ることに心底抵抗を覚えたが。やはり持ち帰るしかなく。
 大変申し訳ないながら血が滴り出ない様に切断部をぐるぐる巻きにして麻袋に丁重に収め。
 お願いしますと持ってもらった。本当に申し訳ない、申し訳ないとともにありがたい。
 諸事を済ませると王都へと向けて歩き出し、道中尻尾とかどうなってんの、もふっていい?と逆セクハラかましたかも知れなかった……。

ヴェスタ > 「わはは、人間の半裸の基準は良くわからん」

そんな事を言って笑っているが、実際本当に分かっていないのか茶化しているだけなのかは読み取りにくい。
笑っているあたり、たぶん、わざと茶化して面白がっているのだろう気はするのだが。

肉球式ではないのを残念がられることもあるものだから、そこはさほど気にしていない様子を見れば、ふむ、と何となく安心したような心持ちになり。

「爪が動かせるのは猫らしいよなぁ。どうやってるんだ、と言われると無意識にこう、としか言えんから難しいが。天然の隠し武器になって便利だぞ」

やがて満足した様子で離れるまで、静かに好きなようにさせていて。
それが終われば、あれこれ回収を手伝うのだ。

「傭兵稼業も長いからな、あまり良いものではないがまぁ、この辺の処理など日常茶飯事だ、気にするな。
 ――おお、そうか、名乗ってはいなかったなぁ。猫のおじさんだ……ではぐらかしても面白くはあるが。ヴェスタだ、ヴェスタ・クラウス。旅の傭兵だよ。
 よし、では戻るとしよう。戻った後のお礼は……そうだな、金でもらうよりも、心身共に元気な時に、気が向いたら一晩付き合ってもらう方が良いな」

名乗るのと共に一礼する、その瞬間は妙に引き締まった、貴族のような大仰さをほんのり醸し出すのだが。続く言葉はまた表情に笑みを含ませながら、からかうような内容なものだから全く締まらない。
尻尾?鎧の中に仕舞っているが細長いのがあるぞ、などとその辺りは案外平然ともふらせておいたりするのだろう。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からヴェスタさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からティアフェルさんが去りました。