2025/04/13 のログ
ティアリス > 洞窟内が暗かったら火種を作る必要あるかとも考えていたが、杞憂だったようだ。
ご丁寧にゴブリンが設えた炎のお陰で、奥へ奥へと2人は進んでいく。
罠の有無の確認は怠らない。時に頭上から吊り下げられた鳴子を避け、足元に張り巡らされた縄を壊し、
歩みを進めていれば前方より物音、声。

「………」

指示を見、壁際に身を潜めるティアリス。
連れ立ってやってきた三匹のゴブリンをやり過ごせば、動き出すのは同時。

ハーラが最後尾のゴブリンの首を落とす。
血を噴き出す死骸が地面に倒れ伏すより早く、ティアリスが二番目を歩いていたゴブリンの喉を掻き切った。
返す刃で先頭のゴブリンの首を刎ね落とし始末する。

ハーラ > 「あらら、取られちゃった」

ハーラは笑いながら己の愛刀の刃から血を拭き取る。
位置関係的には仕方のないことであるが。

「さて、と。進もうか」

その後も慎重に洞窟を進みながら、時折道を通るゴブリンを待ち伏せし、仕留めていく。
洞窟内はゴブリン達の手によっていくらか拡張されているらしく、
時折小部屋が作られていることもあった。
多くは貯蔵庫のようで、明らかに人間から奪った食料や財宝が、
酷い臭いの得体のしれないキノコや干し肉等と一緒に置いてある。
時折そこにいるゴブリンをも仕留めながら、先に進んでいく。

「……分かれ道だね」

そうしていると、ハーラ達の進む道は、二つに分かれていた。
太い道の先からは、ゴブリン達の下品な笑い声が聞こえてくる。
それも、複数。おそらくこちらが最奥部、ゴブリン達の拠点に繋がる道だ。

「……待った、静かに」

ハーラはもう片方、細い道の方に耳を澄ませる。すると、微かに聞こえる、ゴブリンではない者の声。
その悲し気な、助けを求める声が何を意味するのかは、明らかだった。

「まずは…こっちから行こうか?」

ハーラは細い道を進んでいく。

ティアリス > 「手間が省けただろ?」

悪びれず、地に伏して血を噴き出し続ける死骸を見下ろし肩を竦める。
気を取り直し、洞窟を更に奥へ。
途中、すれ違う形となるゴブリンは物陰で待ち伏せ始末する。
存外、数も減ってきているのではなかろうか。奥にゴブリンがどれだけ残っているかだが…

貯蔵庫の食料や財宝に手を出すことはしないが、
そこにゴブリンがいる場合もあるからすべての小部屋を覗いていく。

あらかた奥へ潜った、太い分かれ道。
ゴブリンの声が聞こえる側が、拠点。大部屋のような形になっているのかもしれない。
しかしハーラが耳を澄ませる先──
か細くも助けを求める声をティアリスも聴きとれば、彼女の言葉に頷いてそちらへ。

「……やれやれ。随分と手を広げてるみたいじゃないか連中は」

呆れめいたそんな言葉も漏れようもの。

ハーラ > たどり着いた小部屋を覗いてみれば、思っていた通りそこは人間の捕虜を集める部屋らしかった。
痛めつけられ、縛られた男女数人が怯えたり、泣いたりしている。
だが、まだ捕まったばかりという風だ。そういえば依頼に人間が捕まったなどという情報は書いていなかった。
つまり、運よく最悪の事態の前に救いの手を差し伸べられるようだ。

「はは、アイツら所詮ゴブリンだね、まったく気付く気配もない」

部屋にいるゴブリン達は、わいわい騒ぎながら捕虜達を下卑た瞳で品定めしている。
武器も壁に立てかけてあり、油断しきっている様子だ。
最も、自分達の巣の奥深くまで敵が来ることなど、想像も出来ないのだろう。

「じゃ…行きますか」

ハーラは部屋に一気に入り込むと、こちらに振り向く前にゴブリンの一匹の首を刎ね飛ばす。返す刀でもう一匹を袈裟斬りにし、声を出す前に更に一匹、首を切り裂く。

ティアリス > 案の定、人間の捕虜が数人集められた空間。
女だけかと思っていたが、男もどうやらいるようだ。奴隷の真似事でもさせるつもりだったのか、はたまたそれ以外か。

さておき、ゴブリン達は獲れたての獲物に夢中でこちらに気づく様子はない。

「見張りも置いてたし、まさかこんなところまで侵入されるとは思ってないんだろ」

探せば人並みの知能を有するゴブリンだっているのかもしれないが、ここを拠点とする奴らはせいぜい少し頭が切れる程度の連中らしい。

「あぁ」

ハーラと同時に部屋へ切り込んだティアリス。
彼女がゴブリン三匹を始末する間、まず奴隷の方を向いていたゴブリンの喉を切り裂いて始末。
それからもう一匹、此方を振り向いたその首を刎ね飛ばした。
そして遅ればせながら2人に気づき、慌てて武器を取ろうとしたゴブリンを一刀のもとに切り伏せる。

ハーラ > 「これで全部かな…っと!」

抵抗も出来ずに死体となったゴブリン六匹。
それで終わりかとハーラが一息ついた時、奥の方に蠢く影。
入口からは見えない位置にいた最後の生き残りは、今度は自分が助けを求め叫ぼうとした。
だが、慌てることなくハーラが懐から取り出し、投げつけたナイフが額を貫き一瞬で絶命させる。
そして、束の間の静寂が訪れる。

「…本当に全部みたいだね?あ、騒がないで、大丈夫大丈夫助けてあげるから♪」

ハーラは落ち着けるようににこにこ笑いながら、捕らえられた人間達を縛る縄を切っていく。
解放した人間達に、とりあえずゴブリンの持っていた武器を持たせながら、ハーラは言う。

「もう大丈夫。私達は残りのゴブリンを始末してくるから、
そしたら一緒に脱出しようか」

どうせ、残りは最奥部にいるゴブリン達だけだ。
そう時間はかかるまい。

「じゃ、行こうか」

ハーラ達は来た道を戻り、分かれ道のもう片方へと進む。

ティアリス > 「おっ」

ちょうど見えない位置に潜んでいたゴブリンが声を上げるより先、ハーラの投げたナイフが額に深々と突き刺さる。
これでこの部屋のゴブリンは全滅。

「流石だな。……さて、人助けといこうか」

ハーラがニコニコ笑っているので、ティアリスは特に愛想を振る舞うでもなく淡々と人質を縛る縄を解き、切っていく。
全て解放したところで、最後の大仕事。残ったゴブリン達の始末だ。

「ここまで全滅させてきたから無いとは思うが……万一生き残りのゴブリンに襲われたらすぐ呼んでくれ」

そこの武器を使うでもいいぞ、と壁に立てかけられている武器防具を示す。

そのままハーラと共に来た道を戻り、もう一本の道へと足を踏み入れて。
程なく、最後のゴブリン達がいる場所にたどり着くだろう。

ハーラ > 洞窟の終着点は、この手のゴブリンの巣にありがちなことに、ちょっとした広間のようになっていた。
その中に、軽く十を超えるゴブリンがひしめきながら、宴の最中なのだろう、
下品な笑い声を上げながら食べたり飲んだりしている。
上座にはちょっとばかし豪勢な椅子に、人間から奪い取ったのであろう武器と防具に身を固めた、大きな体格のゴブリンが座る。
あれが、おそらく群のリーダーなのだろう。

「さて、と…じゃあ、これを使おうか」

ハーラが懐から取り出したのは、導火線の付いた球型の爆弾のようなもの。
よくある代物だが、全体が白く塗られている。

「発煙弾だよ、こいつで驚かせて一気に突っ込もう」

火をつけ、投げ込み、耳を塞ぐ。
ゴブリン達が反応する前にそれは炸裂し、破片をまき散らし周囲の者を殺傷すると共に猛烈に白煙をまき散らした。

「さ、競争だよ!」

ハーラはシミターを片手に部屋に突入し、混乱するゴブリンを片っ端から切り捨て始めた。

ティアリス > ありがちな空間。ありがちなゴブリンの宴。
そしてありがちなリーダー格の大柄なゴブリンの姿。
おおよそゴブリンの群れと聞けば大体がこの組み合わせなのだろう。

「………用意がいいね」

ハーラがおもむろに取り出した球形の爆弾──目くらましにもなる発煙弾。
それを見てティアリスは笑う。

彼女がそれを投げ込むと同時、耳を塞ぐ2人。
白煙をまき散らすだけではなく、炸裂した破片が周囲を傷つける。
爆発音、ゴブリンの叫び声を聞くや否や、ハーラとティアリスは飛び出した。

「さっさと済ませよう!」

ティアリスも短刀を片手に、混乱し浮足立つゴブリンを片端から切り捨てる。
やや遠いところにいるゴブリンは、片手を翳し光弾を放ってその頭を吹き飛ばす。

白煙が消える頃。残るゴブリンはリーダー格の大柄な一匹のみになっているだろうか。

ハーラ > 突然の爆発と襲撃、視界を遮る白い煙に襲われたゴブリン達は慌てふためき、
ある者は武器を取ろうとし、またある者は逃げ出そうとした。
しかし、二人の冒険者はそれらを区別せず次々に倒していく。

「と、いたいた!」

ハーラはゴブリン達の合間を駆け巡り、切り裂きながら、煙の中に目当てのゴブリンを見つける。
この群でリーダーの次に危険な個体、魔術の使えるシャーマンだ。
ボロ布を見に纏いねじ曲がった杖を持ったそのゴブリンは、早速何らかの呪文を唱えようとしていた。
だが、遅い。

「残念、そうはさせないよ?」

ハーラは一気にゴブリンシャーマンの懐に踏み込み、その頭を刎ねる。
そして、残りの雑兵を片付ければ、煙が晴れる頃には残りはリーダー一匹のみ。

『ギシャアアアアア!!!!』

威嚇の咆哮を上げながら、ゴブリンのリーダーは武器を振りかざす。
人間から奪ったものであろう、両手剣だ。
しかし所詮はゴブリン、武器は良くても使いこなせない。
大振りのその攻撃を、ハーラは軽やかな足取りで避ける。

「よっ…と!」

身を屈め剣をかわしながら、ゴブリンの脚を切る。
ゴブリンリーダーは叫び声を上げ、一瞬攻撃の手が止まる。

ティアリス > 「流石」

シャーマンにはティアリスも気づいたが、ハーラの方が一歩早かった。
その首を刎ね飛ばしたのを確認すれば、改めてリーダーのゴブリンに向き直る。
残るはこの大物のみ。2人がかりだ。

「声も図体もデカいな。何喰ったらそうなるんだ?」

威嚇の声にも怯まず、慣れていない調子の両手剣を躱し懐へ潜り込んでいく。
ハーラが脚を切って動きが鈍ったのを見逃さず、立て続けに斬撃を浴びせるティアリス。
リーダーがよろめき、耐え切れず仰向けに倒れこむ。急所が無防備に晒されて──

「今だ!!」

声を上げると同時、その喉元に刃を叩き込んでいく。

ハーラ > ティアリスの一閃を受け、ゴブリンリーダーの首から血が噴き出る。
仰向けに倒れた大きなゴブリンはびくびくと痙攣を続けていたが、やがて動かなくなった。

「……終わった、かな?」

ハーラは手頃な槍を拾い、倒れているゴブリンに突き刺し生き残りがいないか確認していく。
死んだふりなどは、ゴブリンの得意技だ。最後まで気が抜けない。

「よし…全滅かな?後片付けはギルドに任せようか」

依頼の達成を報告すれば、ギルドは後始末に人を派遣してくれるだろう。
ゴブリンの死骸を餌に他の魔物が繁殖すれば元も子も無いからだ。
自分達で始末までする冒険者もいるが、既にかなりの悪臭を放っているゴブリンの棲家に、ハーラはこれ以上長居したくなかった。

「とりあえず、さっきの人たちを連れて一旦出ようか」

捕まっていた者達は近場の冒険者野営地にでも送れば大丈夫だろう。
街道であれば馬車も通り、比較的安全だ。ハーラは洞窟を、来た道を戻っていく。

ティアリス > ゴブリンリーダーも始末し、がらんとした広間に生きているゴブリンはいなくなった。
ということはつまり、この洞窟における討伐任務は完了ということで…

「……終わったな」

死んだふりしているかどうかのチェックも2人で終えれば、ようやく一息つく。
後片付けは面倒なのでギルドに任せよう。ハーラの言葉にティアリスは同意の頷きを返した。

「あぁ。適当な野営地にでも連れていけばあとは問題ないだろ」

幸い、この洞窟は街道からそう離れていない。
道を行く馬車を襲う為の拠点だからなのだろうが、こっちにとっても幸いだった。

ハーラと共に洞窟を戻り、捕虜たちを連れて外へ。
道中、特に妨害もなく帰還できるだろう。

ハーラ > 「ふぅ、空気が美味しいねぇ」

外に出て、ほっと一息。
巣を離れているゴブリン等もおそらくはいないか、いても少数。
仲間がいなければそう長くは生きられないことだろう。

「この人たちは野営地に送るとして…私達も泊まりかな。
今から日が落ちるまでに王都には戻れないしね」

夜通し歩かねばならないほど急いでいるわけでもない。
野宿をするよりは、設備の整った場所で眠りにつきたいものだ。
ハーラ達は方針を決めると、野営地に向け歩き出した――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 洞窟」からティアリスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 洞窟」からハーラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 冒険者は全ての責任を自身で担う個人事業主でありながら、
依頼を受ける際には一時的にせよ、継続的にせよ、徒党を組む事が多くある。
得意分野の役割分担による効率化に加え、単純に生存率の向上の恩恵が得られる為だ。
尤も、それは飽く迄、経験や才能が近しい者達が組んだ場合の結果となる。
熟練者が足手纏いの新米と組めば、当然、効率も生存率も、何のへったくれもありはしない。

そんな間柄でも徒党を組む際、不公平感を解消する唯一無二の方法が金、即ち、報酬の取り分だ。
他人の足を引っ張る半人前には、文字通り、分け前の半額の報酬しか支払われず、
熟練者や特殊技能持ちには二人前として、1.5倍から2倍以上の報酬を分捕る者も少なくない。
そして、半人前と同様に報酬の分け前を減らされる羽目が多いのが女性冒険者である。

これは性差別等ではなく、筋骨隆々ならば別だが、冒険の最中に怪我を負った際に、
自分を背負ってくれる男と、まともに担いで走れない女、
どちらと組みたいかと問われれば答えは圧倒的に前者であり、需要に差が付けば値も変わる。
勿論、個々人のスキルも評価に換算されるも、足手纏いになりかねない新米や女性を求める物好きは多くはない。
だが、そんな女冒険者でも等分の、或いは、それ以上の好条件の分け前を得る方法もあり――――。

「――――さて、飯も喰ったし、明日も早い。……そろそろ良いか?」

森の中、焚き火に当たりながら、革袋の酒を呷っていた中年冒険者が傍らの女に声を掛ける。
相手は高額報酬の魔物退治の依頼を受ける際に、破格の等分の分け前を約束して一時的に行動を共にした女性。
その条件には、冒険中、避けては通れないストレスや疲労を体で癒す事、
即ち肉体関係を結ぶ事に合意するという王都では極ありふれた内容が含まれていた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 洞窟」にシアンさんが現れました。
シアン > 鬱蒼と茂りに茂って天蓋のように木々の枝葉が空に蓋して昼日中でも薄暗い自然地帯。
まれびとの道から大きく外れて奥まるほどに暗く、濃く緑の匂いが強く、ともすればくらりと来る。
そこなとある道――道といっても整備されたものではない獣道だがその道には奇妙な痕跡があった。
踏み躙ったように強く残る足跡、手折れったように折れた太枝、印が刻まれた樹木……
明らかに何かが“ここを通ったぞ”と報せるためのものがそこかしこにあり辿っていけば

洞穴がある。

民家が2軒ほどは縦に並ぶ、程度に狭く、偶々出来ただけの、雨宿りには丁度いい塩梅の。

「あっち!」

そこに冒険者が居た。タープを張ってテントを建てて椅子と机を用意して焚火を起して。
沸いたお湯で作った珈琲を口にしたら冷ましたつもりだったが思ったより冷めてなくて。

「ぉおぉ……あっつぅ~……」

眉間に皺を寄せながら、不覚の出来栄えに眉間に皺を寄せている。

シアン > 踏み躙った足跡も、手折った太枝も、冒険者ギルドの印もどれも態と作ったもの。
痕跡に気付いた何者かが迂闊にも誘われてやってきたところをぱくりと――では、なくって。
暗くなってきたし、雨もすんげえし、迷った同業なり何なり居たら保護してやろうと思って。

「まぁお見苦しいのぁ勘弁して貰いてぇがね」

今のところ誰もやってくる気配がない土砂降りと暗がりに閉ざされた森林を見ながらぽつり。

現在、素っ裸である。
海中に漂うワカメのような有様になった髪を紐で括って、上から下まで何にも着ていないし履いていない。
普段髪を纏めているヘッドバンドから革の上着・ズボンに靴まで全部焚火の傍で即席物干し竿で乾かし中。
雨にやられてしまった訳だ。

「ん~」

自分も今更これから帰れやしないし今晩はここで野宿だろう。
自分と、後一人か二人なら、持ち込んだ食料と来る途中採ってきた木の実で十分賄える、足りなかったらもう一度採取と狩りに行けばいい。
ぐ、と背伸びをすれば、ぐ、と肌を盛り上げる筋肉が一層膨らみ、二つに区切られた胸板も広がる広背筋も撓りを上げるようだ。
はあ……。気の抜けた溜息やらストレッチやら、緊張感のない緩んだ表情やら、色々と油断している風にも見えるが……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 洞窟」からシアンさんが去りました。