2025/01/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にナランさんが現れました。
■ナラン > 吐く息が白く夜にけぶっていく。
黒く帳が下りた空には星が散らばり、その合間に見失いそうなほど頼りない月が昇っている。
風のない森の中はしんと静かで、遠くの沢の音が届く合間に時折夜鳥の鳴き声が聞こえる。
「… 雪が、降ればいいのに」
屈み込んだ女が樹々の合間から空を見上げてそう零すと、その言葉が煙のように夜空に消えていく。
冬の夜の狩りは色んな意味で分が悪い。けれども出なければいけない理由が女にはある。―――暖かい血が、必要だ。
獣の通り道の近くで待って、どれくらいになるだろうか。手指がかじかんでは狩りにならない。失敗するくらいなら、今宵は諦めた方がいいだろう。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にオズワルドさんが現れました。
■オズワルド > 夜の闇の中に、薄明かりが混ざった。
「もうちょい、マシな場所で休みたいな…」
小さく響く人の声。夜中の森の中、ランタンの明かりを頼りにけもの道を通る人影。
今回の冒険の成果を落とさぬよう、背負いカバンを背負いなおしながら、慎重な足取りで進んでいる。
ただ、慎重な足取りと言っても、駆け出し冒険者のモノ。冬の森になれた狩人であれば、捕捉するのは簡単だろう。
「ん、方角確認しないと。」
足を止めた。
片手に持つスタッフに魔力をこめて、星占いの魔法を行使しようと意識を集中させる。
木々に隠れて空が見えずとも、星の位置を見れる魔法。本来なら占いのためのモノだが、今はそれを方角確認のために使用した。
■ナラン > 風のものではない、葉擦れの音がした。
女は咄嗟に息を潜め、弓を手にした指に力を込める
―――――が
すぐにそれは緩められる。灯りと、その足取りと。
それは今宵女が求めているものではなかった。
相手の方が灯りを持っている。確認するのは簡単だ。
―――少年、こんな夜に森の中。
だが、迷っているようではなさそうだ。
何か探しものだろう。手伝ってあげても良いかもしれなかった、けれども いまは。
「―――……」
女は我知らず疼くように思う八重歯を舌で湿らせてから、静かに立ち上がると灯りから遠ざかるように森の暗がりへと下がって行った。少年が通った後だ、獲物も当分来ることは無いだろう。
女は夜の森の道なき道を、縫うように消えていった――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からナランさんが去りました。
■オズワルド > 誰かに見られていたなどと、知る由もなく。
魔法で探り当てた方角を確認すれば、よし、と一つうなずいて。
「もうちょい西に行けばもうちょい知ってる場所に出られるはず。」
寒い中かじかむ手でスタッフとランタンを握りなおしながら、いそいそと歩き去っていった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からオズワルドさんが去りました。