2024/05/31 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 川辺」にグリーンバグさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 川辺」にメアリさんが現れました。
グリーンバグ > どろり、どろり、どろり、どろり、どろり

夜空に浮かぶ眩い月の輝きを避けるように。
サラサラと乾いた大地を避けるように。
獣の息吹を鳥の囀りをあるいは己以外の存在を避けるように。

川辺の木の枝から枝へと。
枝から幹へ、幹から根へ、また根から幹へと上がり、まだ他の木へ、液化したエメラルドもかくやの透き通る深い緑色のゼリーが蠢いている。

それは誰が見てもスライム。
此処だけではなく無名遺跡でも九頭龍山脈でも何処ででも見掛けることができる最弱にして無尽に湧き存在するモンスターである。

火に弱く、水にすら弱く、氷に弱く、雷に弱く、いわば全ての魔物の餌であり、大地や木々の養分として朽ちる事すらあるスライムであるが、この個体はそのスライムのようでスライムに非ず、スライムとよく似た姿かたちをしているが、スライムよりも格段に危険なモンスターだった。

名称はグリーンバグ。
冒険者ギルドでは要注意のモンスターとされているが、魔物の鑑定士でもなければスライムと区別が全くつかない危険なモンスターである。

何が危険か。
それはモンスターとしての強度ではない。
魔法を使うわけでもスライムと弱点が違うわけでもない。
危険なのは繁殖方法、そしてその執拗さであった。

一度襲い掛かった獲物が繁殖に適していると判断するや否や、獣であれ何であれ、その体内にコアを産み付ける為に襲い掛かり、魔力と栄養を吸い上げて、己の分身を産ませるおぞましく旺盛な繁殖欲、産み落とすまで何度でも、その体内に執拗にコアを産み付ける行為を繰り返し、このグリーンバグの被害者は後を絶たない。

ギルドでは積極的に退治を依頼しているが、その繁殖力の強さと通常のスライムと区別が出来辛い事から駆逐に至らず、問題となっていた。

――幸いなことに寒さには弱く、寒い時期になるとピタと活動が見られなくなるのだが……残念ながら今は暑ささえ感じる時期、即ちグリーンバグの繁殖期・発情期である。

メアリ > 人の声も聞こえない程の深い森の中、まばゆい月の光を反射させている川の傍で、今日はこの辺りで
休もうかと女はゆっくりと荷を下ろす。

珍しくギルドから請け負った魔物の討伐を終えた帰り道に、顔見知りから頼まれていた薬草の収集も
ついでに済ませてしまおうとしたのがまずかった。
気付いた時には辺りはすっかり薄暗くなっており、知った場所であったとて闇の深い森の中は足元も
危ういような状況なのだから、とてもじゃないが今から森を抜けて王都まで帰れるわけもなく。
仕方ない、と今日の予定を変更し、この川辺へとたどり着いたところ。


開けたその場所には幸い魔獣の気配や痕跡もないように見える。
遠くで蠢く小さなモンスターの存在に気が付かず、その場にしゃがみ込めば、自身の荷物の中を
月光頼りにがさごそとあさり始める。

――ギルドを出る際にグリーンバグという危ういモンスターが出現している話は聞いていたのだから
その存在は知っていたものの、それが今、夜闇に紛れ蠢いているなど知る由もなく、女の意識は
手元へと注がれてどこか無防備な状態になっているかもしれない。

グリーンバグ > ――高度からの強襲。

最弱にして最も忌み嫌われるモンスター。
どこにでもいるモンスターに混ざり、それ以上の被害を及ぼす厄介なスライムは当然正面から獲物に襲い掛かれば返り討ちは必至。

故にスライムは獲物の死角となり易い高度から落下することで、相手の頭上より襲い掛かり、絡みつき、まとわりつき、その体温が身体が繁殖に適していなければ消化して栄養に、その体温と身体が繁殖に適していると判断すれば、コアを植付けるために蠢く。

つまり、スライムの1種であるグリーンバグ。
それが落下を始めたと言う事は獲物を見つけたという事だろう。

太い木の枝が一度だけ軋む。
ギシッとベッドのフレームが軋むような音が微かに響いた後に、それは、どろり、と垂れるようにして、地面に向けて落ちていく、そして落ちた先にある獲物に襲い掛かる。

無防備な背中に、油断した人影に、どろり、べちゃり、と。
生温かな体温とドロドロのヌメり、柔く作ったゼリー菓子のような弾力と存在感を持って、無防備な女の背中に少しだけずしりと重さを感じさせ、張り付き、じわっと身体にまとう何でもない、ただの粘液を女の着ている衣装に染み込ませながら、ひたりと張り付く。

――…こうして始まるグリーンバグの繁殖行動。
逃れられるか、否かは女次第であるが、グリーンバグはそう容易くは獲物を逃がさないだろう。

何せ繁殖期・発情期。
そこに不幸にも人がいるのだ。
こんな幸運を逃がすわけがなく……。

メアリ > 木の枝が軋む微かな音は、静かな夜の森では良く聞こえる。

其れに気が付いて荷物から意識を移し、頭上で蠢く何か……、そこから落ちてくる何かを反射的に
振り払おうと防衛反応が働いては、見た目以上の力を秘めた女の腕が自身の身体に落ちてくる
前にそれを振り払おうとするだろう。

しゃがんだまま、振り向きざまにその何かを殴りつけるように腕を振るう。
――が、その何かは女の力に吹き飛ばされることなく、べちゃ、と嫌な音と共に腕に絡みついて
気色の悪い感触を服越しに伝えながら背中へと落ちた。

殴りつけるのではなく、腰のナイフを引き抜いて切り裂いていれば服越しに染み込む粘液の感触を
感じずに済んだだろうが、後悔したとて遅い。
その覚えのある感触に、腕や背中に感じる粘液に、反射的にそれが最弱にして自身が何よりも
嫌うモンスターだと気付くと、表情は嫌悪と不快感で歪み、喉から引きつった様な声が洩れる。

「――――ッ!!
ぅ……っ、なんで上からスライムが……っ」

背中に張り付くスライムを引きはがそうと手を伸ばすが当然ぬめりのせいで上手く掴むことなど叶わず
スライムと指先の間にはぬとぉ、と粘液の糸が伸びる。
駆け出し冒険者ですらも討伐できるようなモンスターにも関わらず、触れているのがスライムという
存在と理解しただけで、女の中ではトラウマが呼び起こされどうにも冷静さを欠いてしまう。
不意打ちならば尚の事かもしれない。

服に滲む粘液の心地の悪さに思わず悪寒がして、心臓がドクドクと煩い程に早鐘を打ち始めてしまっている。

グリーンバグ > 振り払おうとすれば当然スライムの身体の一部は爆ぜて、跳ね除けられても、残りはべちゃりと嫌な音を響かせ、払うとした獲物の腕に残り、残ったその身体はヌチャと音を立て、ズルと音を鳴り響かせて、その腕を伝い肘からぬとーっと重たい糸を引いて地面へと落ちる――…それは飽くまでも一部、グリーンバグにとっては運が悪い事に身体の外側の部分でそれが単独で動かせない。

今は透明なコアの存在する本体はその獲物の背中へ。
獲物は当然抵抗してくるがグリーンバグは意に介さず。
引きはがそうとする手に指にまたヌトと糸を引く粘液を押し付けるだけで、はがれる状態には遠く、グリーンバグはそのまま、獲物に抵抗をさせたまま、これは『食い物である』か否かを探るために獲物の身体を這い始める。

己の存在がトラウマとなっている、珍しく優位性が取れる相手かも知れないが、最弱のスライムはそれを考える知性すら持たずに、襲い掛かったそれの体温と身体の形状を調べることを本能的に優先させていた。

じわ、じわ、じわ、と獲物と決めた人間が着込んでいる服の背中に粘液を染み込ませ、次第にその粘液に溶解性の毒素を混ぜて、食べるのにも調べるのにも邪魔な布を溶かしにかかる。

もし布が解けるなら辺りには少々焦げ臭い匂いが広がるか。
そうして尚も蠢くのを止めず、布を溶かすための粘液を塗り広げるためにも、ずる、ずる、ずる、と蠢く。

背中から肩口を這い上がり、その首元に絡みついて布を溶かし、そのままシルバーカラーの髪をぬちゃぬちゃと潜り抜けて、項を這い上がり、顎のラインを舐るように這い上がりながら、あご先を包み、唇にまで身体を寄せていく。

当然獲物の背中より身体を伸ばすグリーンバグは腰から腹部までにも身体を伸ばして、身体の形を調べるようにじっくりと衣服の上を覆っていくのだった。

その動きは緩慢なれど、掴むみ難く。
ゆっくりと獲物を包み込むように柔らかなゼリー状の身体を広げていくのである。

そうやって体温を身体の形状を調べて、グリーンバグは獲物をどうするか判断するのだ。

メアリ > 身に纏うのは何処にでもあるような普通の布。
それは毒素を含んだスライムの粘液によって溶かされ、周辺に焦げ臭い匂いを立ち込めさせると
同時に女の素肌は直に粘液に触れてゆくこととなるのだろう。
服の至る所に開いた穴は小さいものから次第に大きくなってゆき、外気とスライムの粘液に触れる
場所がゆっくりと広がってゆく。

「ぅ、く……っ」

引きはがそうと必死になって掴もうとする女の手に捕らえられることなく、背中から、肩を伝い
ずるずると唇までそのぬめついた身体を伸ばすスライム。
他よりも敏感で皮膚が薄い首筋に触れるそのぬめりとした感触に目を細めて不快感をあらわにしながら
トラウマで微かな震えさえ帯びる指先で背後のナイフを取ると、背中側にそれを回し、背中に大きく
広がり始めているスライムのみにその刃を突き立てようとするだろう。

突き立ててダメージを与えられずとも、どうにか背中からこのスライムを引きはがすことが
叶えばそれでも良いと、混乱によって正常に働かない思考の中で考える。

グリーンバグ > 布だけを溶解させる毒素は確実に獲物が身に着ける布を溶かし、溶けた布、溶解する際に焦げた布、それだけを飴を包むオブラートだけを舐るように、器用に啜り上げて喰らい、一枚一枚じわじわと剥がし飲み込んでいく。

襲い掛かった獲物の柔肌に背なの肉に接触したグリーンバグはその体温から獲物は『食べる』よりも『コアを育てる』方が向いていると徐々に知っていく、それはある種死よりおぞましい未来が獲物に近づいていくのと同じ。

ねちゃ

とその引き締まった背中を柔らかくヌルヌルとした身体で撫でる、撫でて、触れて、肉質を確認しながら、焦げて広がる穴の中へもズルズルズルと入り込み、より獲物の素肌とゼリー状の身体を密着させる範囲を広げて、形を調べにはいる。

当然、その衣服の中より湧くようにして、柔らかそうな双丘までニュルニュルニュルと這い上がり、丸み豊かな乳肉を側面から這い上がるようにして包み込み始めるのだった。

――…その身体にナイフが突き刺さろうとも、だ。

ナイフの切っ先は確かにグリーンバグの肉の一部を裂く。
ナイフにはゼリーを切り分けたときに似た感触が返る、が、其処まで、ナイフの切っ先は数ミリ食い込んだけで、弾力あるゼリー状の身体が押し返し、力を込めた分だけ反発し、刃先をあらぬ方向へと弾くだろう。

ぞる、ぞるぞる、ぞる

とその間に首筋から顎先まで包み込んだグリーンバグ。
その身体の先端を伸ばして、獲物の頬までを包み込み始めると、同時に耳裏から耳までもじわじわと包み込んでいく。
当然、ナイフを手にした腕も肩口から二の腕まで飲み込むようにグリーンバグは獲物の体を包み込んでいく。

緩慢な動作、されど一切止まることなく着実に。
透き通る緑色の被膜様に獲物の体に広がり続けた。

ほんのりと生温かい柔らかなゼリー。
その触感のおぞましさはトラウマを抱える女が一番よく知ることだろう、そしてそれは容易く止まらぬことも。

メアリ > 毒により溶かされた服の隙間から内側へと侵入してくるスライムの感触、その不快感にぞぞぞ、と悪寒が止まらない。
乳房の側面までも進入してくるスライムの存在に心臓が直で撫でられているかのような、そんな心地の悪さを
感じつつ、反射的に刃を突き立てるも手ごたえは感じられなかった。

「うぅ……っ、きもちわるい……っ」

ナイフの切り先でスライムを一部でも引きはがそうとするが、あらぬ方向に弾かれた刃では上手くもいかず
苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながらぽそりと言葉をつぶやきつつ、ナイフを引き抜いてその辺へと雑に放り投げた。

「ぅ……ッ」

スライムの身体の先端が耳元へ伸ばされ、そこに触れる生温かなゼリー状の感触にビクッ、と身体が
跳ねたかと思えば一瞬だけ力んでいた身体が緩みを見せる。
覚えのあるその悍ましい感触。
記憶から消し去りたいと思いながらも、身体は忘れる事が出来ない程に深く深く、恐怖と共に奥底へ刻み込まれたその感触。

ふーっ、ふーっ、と途端に荒くなり始める女の呼吸。
女は何かを必死に堪えるようにぐっと奥歯を強く噛みしめると、身体を地面の上に倒して、自らの身体の重みで
肩口や背中、腕に在るスライムの身体を圧し潰してしまおうとするだろう。