2024/02/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にマグゴブリンさんが現れました。
■マグゴブリン > 厳しい寒さの冬の合間、不意に訪れた穏やかな日の差し込む日。
冬眠し損ねた動物達は、実り乏しき森で一握の食糧を求めて徘徊し、
人々も、それに倣って冬支度から消耗した薪や水を求めて木々の間を分け入る。
喜びヶ原の近隣村落に住まう女子供達が、冬籠りの抑圧された息苦しい生活から抜け出して、
久方振りに味わう解放感に歓喜する声が森の中に反響する事だろう。
「――――……、」
だが、寒さが和らいでいると言っても、自然の脅威がなくなった訳では決してない。
気が緩み、油断した動物や人々を狙う亜人は息を潜めて獲物が訪れるのを待っている。
水汲み、薬草採取、旅の途中、何らかの理由で森に足を踏み入れた雌は、
彼らが冬籠りをする間、春に向けての繁殖の為の孕み袋に最適で――――。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にD・ミカエラさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からマグゴブリンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からD・ミカエラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > ――冒険者は今日も世界中を闊歩する。
秘境に廃墟に暗渠、平和な街にも過疎化した村にだって。
彼らはどこにでもいるし、ここにもいる。
そんな世界中に散らばる冒険者の一人。
血の気の多く特攻型なヒーラーという周囲に迷惑かけがちな冒険者女子19歳は森の奥で苦境に喘ぎ……というか叫んでいた。
「まーよったああぁぁぁぁ!」
シンプルに道に迷いました。地図を見間違ってしまい。コンパスも狂っています。方角も凡そにしか分かりません。
安くはない価格の正確で分かりやすい地図、これがあればこれをきちんと読んでいればまず迷うことはない――それが油断に繋がったと思う。
最初は順調に目的地を目指して進めていたし、目印も逐一確認できた。
よしよし、ばっちりだ。思ったより早く目的地に着けそう。
そんな油断が命取り。
少し入り組んだ分岐で方向をたった一度間違えてから総ての歯車は狂いだした。
気づいて戻ろうとした頃には手遅れで、現在地が分からなくなってしまって。当方に暮れる…哀しい今ココ。
「どー……しよう……こんな時に限ってソロだよ……変に存在アピって山賊とこんにちはするのも困るし……かと云ってこのまま遭難してロストはもっと御免だ……うぅ~ん……」
こうなったら最悪、山賊にでもいいから出くわして云うこと聞くふりをして場所を把握してから隙を見て逃げて……と大分場当たり的かつ短絡的思考を巡らせ。
もしも運が良ければ気のいい冒険者とか行軍中の騎士団とか善性の高い旅団に出逢って助けてもらえるかも知れない。
だから、肚を決めて救難信号を発射することにした。
「誰かッ……気づいてください……!!」
非常用に持っていた魔道具。救助を請う狼煙を焚ける細い木製のスティックを足元の地表に差して少し離れ。もくもくと上がる救難を知らせる赤い狼煙を祈るように両手を組み合わせて見守り、一か八かで救援を待つ、どきどきはらならなひと時。
ひしめき合うように生える森の木々の間から細く目立つ狼煙が真っ直ぐに天へと上がっていた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にカルムさんが現れました。
■カルム > 森の中と言うのは、農家……さらに言えば、木こり出身の冒険者であれば、良い感じの職場となる。
木を切って、拠点を作ったり、薪にして燃料を作ったり、そんな事ばかりしている冒険者。
今日も今日とて、愛用のバトルアクスを持って、森の中に入っていた所。
「……なんか?地縛霊の鼻歌が聞こえたような?」
森の中に響き渡る、と言うか、反響するような、大声。
木の洞に風の通った時聞こえてくるような何かだろうかと、音のする方に視線を向けるも。
夜の夜中に、赤い色の煙がもくもくと立ち上がって居るのが見える。
「山火事……じゃないよなぁ?」
多分あれは違う、と言うより覚えのあるモノだ。
救難信号と言う奴で、余りこの辺では見ない物でもある。
ぼさぼさの髪の毛の後頭部をカリカリ、と掻いてから、まじかぁ、と呟いて。
流石に救難信号が出ているので、それを見捨てるのは一寸心苦しい所もある。
煙の場所を確認しながら、冒険者は、足を運ぶ事にした。
とは言え、森の中を歩きなれているのもあり。
30分ほど進んでいけば、目的地の煙の出る地点の近くへと。
「おーい。おーい。
救難信号を見かけたけど、生きているかいー?」
冒険者男は、斧を両手に持って警戒をしながら。
木々の中に身を隠しながらも声を掛ける。
救難信号は、迷ったというだけで出すものではない、襲われている可能性だってある。
のほほんと、無防備に近づく事はしない程度には、ベテランの積り、だ。
■ティアフェル > 狼煙を焚いてからしばし待つ。まだ昼日中のその刻限。天気も上々空気は冷たいが澄んでいて風もなく、真っ直ぐに森の木々を貫いて天へ伸びる一条の赤い煙は遠目でもよく見えるはずだが。
「くあぁ~っ、そろそろ煙も切れるのに、誰も……来ない……っ」
詰んだ?詰む?詰みそう!
絶望感に頭を抱えて煙の上がる根元で苦悩の唸り。ああ~。自然を舐めてはいけないのだ……一見平和で豊かな森にも危険は満載だ。
迷いやすい森の奥で現在地を見失った冒険者の末路なんて半分以上が野垂れ死んでいる。
このまま野生動物の餌にでもなり下がるしかないのか……一瞬真っ暗な末路が見えて「先立つ不孝をお許しください」な一文が頭の中を過ぎったが。
「……………」
ひとまずもう少しその場で待機してみることにして、森の奥、少しばかり木々の群生が拓けた場所で倒木に腰かけて、救助が来なかった場合の今後について一見人畜無害そうなヒーラー女子がひとりぽつん、と思考を巡らせてたその時。
「………? ――!」
木々の向こうから声が聞こえた……男性の声?
弾かれたようにそちらを振り向くが。
しかし身を隠しているその姿は見えない。
空耳……とは思えないはっきりとした響きだったが……もしかして森の精霊が惑わしにでもでたのだろうか?
ともかく腰を下ろしていた倒木から立ち上がって、スタッフをぎゅっと握りしめながら周囲を見回し。
「誰…? 誰か、いるの?
あの、あの……っ、助けて欲しいの、道に迷って……お願い、わたし、なんにもしないし他に誰か待ち伏せしてたりもしないし……えと、あと、うーんと、む、無害、だから! わたしは無害ななまものだからっ! 見ての通りのか弱き乙女!です!」
無害なナマモノは逆になんだか怪しまれそうな自己主張を懸命に行い。
姿を隠している誰かへ向けて救助を請い、か弱き乙女、という一部虚偽な発言をかました。
■カルム > 声をかけてみた、反応があった。どうやら、道に迷った系の冒険者、らしい事が判る。
なんかすごい勢いで弁明しているのは、まあ何となくわかる、自分が懸念していることを理解しているようでもある。
周囲を確認するも、盗賊とかの気配もなさそうだし、地理的には、そう言った輩の縄張りでもなさそうだ。
「マグメールの冒険者、カルムと言う。
今から行くけれど、攻撃はしないように頼む。」
か弱いというのはあてにしていない、と言うよりも。
魔法使いだったらか弱いのは殆どだ、彼女の事を良く知らないからこその警戒。
とは言え、救援に来たのだから、と少しばかり大きな木の脇から、身を乗り出す。
コンポジットアーマーを身に付けた185センチの男、両手でバトルアクスを持っているのを見れば、戦士と判るだろう。
ぼさぼさの頭で、金髪の男冒険者。
バックパックには、弓だの、モーニングスターだの様々括りつけられていて、魔導式のカンテラが周囲を照らす。
昼間でも森は暗いので、その位は必要なのだ。
ゆっくりのっそり、周囲を警戒しながら、冒険者は彼女のいるあたりへ、倒木へと近づいて行く。
「改めて、救難信号を見て来たのだけど……大丈夫か?
遭難して、どの位の時間が経ったかわかるか?」
救助としても色々とある。
例えば、水や食料が早急に必要だとか、怪我をして動けない、とか。
スタッフを握る彼女、怪我はないだろうか、と、男は彼女の事を上から下まで確認するように視線を。
■ティアフェル > こんな森の奥でヒーラーの女がひとり。それは……囮な可能性大である。普通は。
単身、ソロで森をうろついている後衛職とかもう怪しさしかない。
自覚はある。故に、でもわたし怪しいナマモノではないのです、と全力で主張。
救難信号を見てようやく現れてくれた人物に見捨てられる訳にはいかないし、警戒させる訳にもいかない。
その甲斐もあってか、緑の木々の合間から現れてくれたその人。
救助しに来てくれた人の好い冒険者らしい……よっしゃアタリー!と内心ガッツポーズキメつつも、素直に表情は安どの色を浮かべ。
「カルム、さん? わたしも冒険者のティア……ティアフェル!
な……殴ったりしないわ……いや、うん、あなた相手にそんな無謀な真似に出るほどのバカではない……」
姿を見せてくれたのは……殴ったりしようものなら、いや、一撃でやられるわ…と云ったような。見た目の上でも完全に負け確な体格のいい冒険者男性。
いくらゴリラと汚名を着まくったボス猿女と云えども実力に差はあり過ぎ。
カウンターでロストすること請け合いだ。
鬱蒼とした緑闇を照らすカンテラの光に眩し気に目を細め、近づいてくる彼を胸の前でぎゅっとスタッフを握りしめつつ見上げ。
「だ……大丈夫。へーき……本格的に遭難しようとしていたのはこれからだから……
道に迷って拙い、と思ってすぐ狼煙を上げたの。
迷ってからまだ一時間くらいしか経ってないし……見ての通り、元気!」
まったく深刻性も緊急性もない状況。
深刻になる前に助けを求められるものなら求めるべし、とソロ活動中としては基本は抑えていた。
無傷だし脱水も起こしていない。見た目よりも魔法で容量を大分増やしてあるウェストバッグにはしっかりと装備が整えられてもいる。
だけど、大丈夫そうだから、これで!と云われても困るとそこら辺は伏せて。
「ここってどの辺りなのかな? 地図を見間違えちゃって……道が分かんないの。あなたは……カルムさんはどこへ向かってるところ?」
あわよくば同行させてもらって安全圏まで抜けたい。彼のように頼れそうな冒険者であれば山賊も寄ってはくまい。
自分都合な下心を隠しつつ碧い眸を見上げるようにして尋ね。
■カルム > 周囲を確認するも、其処に居るのは、か弱い少女一人だけだ。
ソロで動いているのはなぜだろうか、と思わなくもないが、置いて行かれたと考えるならまだわかりやすい。
うーん、と首を傾ぐもまあ、良いか、と考えてみる事にした。
「ティアフェルさんね、よろしく頼むよ。
無謀という訳でもないと思うけどね、魔法使いは、体格が全てじゃぁ、無いし。」
体格が全てではない、技術があれば、と思うのだけども、彼女の動きは戦士の動きでもなさそうだ。
とは言え、魔法使いは魔法で能力を増強して、と考えられるし、なんとも言えないなぁ、と。
眩しそうにする彼女に、取りあえず、カンテラのシャッターを閉めて光量を落とす。
「ああ、それは素敵な考えだな。
手遅れになってからじゃいけないしな、うん、動ける間に連絡くれて助かる。
じゃあ、水とか、食料は、まだ大丈夫ってところか。
それなら、安全な所に案内する、で問題ないかな。」
彼女の様子を確認し、危急ではないという事が知れて安堵する。
それなら、と思った所での質問に、目を瞬いて、地図を開く。
「今現在は、森の入り口から、中間に入るくらいの所だ。
少し行けば、森の道に出れるから、其処をまずは目指す。
俺?俺は、ギルドの依頼でこの辺りで適当に木を切って、休憩所の補強をするために来たんだ。
目的地となると、もう少し奥の辺りになるから、方角的には、逆だよ。」
彼女の質問に、自分の地図を見せながら、説明しよう。
地図を見ながら動けば、1時間程度でマグメールに通じる道に出れるだろう場所。
カルムの目的地は逆方向にもう30分言った所にある、休憩所。
冒険者達が夜営をしやすいように、コテージのような山小屋のような物がある。
其処のメンテナンスに行くところだ、と。
場合によっては、夜盗などが使っている可能性があるから、冒険者でもあるカルムが依頼を受けていくと説明。
■ティアフェル > 「ティア、でいーよ。呼ばれ慣れてるし。
いや……それもこの距離では詠唱のえの字でもうその斧振り被ってお終いじゃない?」
攻撃魔法どころか回復魔法以外はまったく使えない、という点に関しては今のところ伏せてその笑えない可能性を口にしては少々空笑いを浮かべて肩を竦め。
今のところ怪しまれていない……よしよしと内心で胸を撫で下ろし。
確かに見た目が総てではないのはこの国の特色でもある。小柄で華奢な少女が魔族や強化種族であって、大の男がぼこぼこにされたりなんていう冗談みたいなチートな現実もあり得るのだから、助けてもらいたい相手に不信感は極力抱かれないようにと気を遣い。
灯りが落とされると細めていた目をぱたりと瞬きさせて改めて相手を見つめて。
「でしょ? さすがに自分で勝手に迷って動けなくなった上、『担いで運んでちょうだい』なんてど厚かましいこと、わたしにはとても云えない。そうなる前に救助がきてくれる可能性に賭けたところ――わたしは勝った!
やったーっ、善良な冒険者だー! うれしー! もう、最悪山賊かなと想定していたわたしは今日超運いいと思う!」
案内してくれるというありがたいお言葉に、うんうんうん!と思い切り首を縦にして肯定。
ぜひ、ぜひともよろしくお願いします!と直角に腰を曲げてお辞儀して頼み込んだ。
森閑とした中でハイテンションの女。彼も変な奴を助けたもんである。
「ふむ! ふむふむ! 合点です!
どうぞよろしく。お世話になるばかりでは申し訳ないので、是非何かお礼させてね。義理を掻いたら世の中は腐る一方。……あ、もちろん出来る範囲で…わたしはカルムさんの良識を信じてる。
うあー……逆なのかー……それは申し訳ない……あ、良かったらそれ、少し何かお手伝いしようか?
送ってもらうのはそれからでも構わないわ。依頼の邪魔したくないし」
急務でもないだろうが、無駄に時間を浪費させるのも申し訳ない。
広げてもらった地図を覗き込んでふんふんと肯き。
その休憩所の修繕など手伝って一休みしてからでもこちらは間に合う、と取り敢えずこちらの状況や意見は伝えて。
その上でどうするかは彼の意見を伺って尊重するつもりで。
■カルム > 「では、ティアさん。
確かにこの距離なら、ね。でもさ……と、その辺りは言ってたら、キリがないか。」
魔法と言うのはでたらめだ、それこそ、無詠唱とかそんなのだったか、後は、時限式だったか。
色々な手法で魔法が出てくるものだから、男には覚えきれない、そう言った、近くでも何とかできるというのは多いと言いたかった。
でも、それを彼女と議論する場では無いし、そうする様子もなさそうだし、と、話題を終わらせることにした。
良くも悪くも、彼女の事は、今は警戒する相手ではなく、庇護する相手、と言うカテゴライズになっている。
「それも、状況次第じゃないかい?判断の遅い初心者なんて、今言った自分で迷って担いで戻ってと言うのがざらに出てくるし。
ま、冒険者はお互い様と言う所だと思うよ、助けて、助けられて、だ。
……その喜び方は、うん、なんかこう、面映ゆいな、普通、という積りなのだけども。」
全力で喜びを見せてくれている彼女に、悪い気もするが、そんな善良だとは自分では思えない。
取り合えず、助けられる人を見捨てるのは心苦しいし、じゃあ、行こうか、と入り口の方へと。
元気なうちに救助できたのだから、彼女の本心が出ているのだろうと、男は考える事にした。
元気な事は良い事だ、と。
「そんじゃ、そうだね……。誰かが困って居たら助けてあげて。
冒険者は、お互い様だしさ。その位でいいんじゃないかな。
また、今後会えるとは限らないし、さ。
お手伝いに関しては……うーん……ティアさんは、今、救難信号使ったでしょ
補充しておかないと、別の機会に使えないだろうし、無理をせずに戻った方が良いよ。
俺の方は、依頼としても、期限が今日明日、のような短いものでもないし、この程度の時間は誤差にもならんよ。」
邪魔とは言わないし、彼女が来たいなら来るのは構わないけれど。
救難信号使って居るのだし、念には念を、で、戻った方が良いと思う。
出会ったばかりの彼女、今現状が本調子かどうかも分からない。
手伝いの心は嬉しいけれど、だからこそ、彼女の心根に感謝を。
のそり、と入り口の方に案内する様に、歩き始める。
■ティアフェル > 「かわいくティアちゃんでもいいですが………冗談よ、冗談。笑うところ……いやマジでそう呼ばれても構わんのだけど。
たらればもでもしかも過剰になるとループしちゃうしね」
こんなところで堂々巡りをしても仕方がない。今はともかく双方攻撃の意志はなく。
こちらとしては有効な関係を結びたい限りなので、可能性の問題はそこまで。
今首を掻けるチャンスだったとしてもその必要は微塵もない。
「さすがに! わたしはそんな阿呆者にはなりたくありません! ただね!? か弱い乙女に同情してぜひ担いであげる、っていう申し出を断りはしないのは事実。
まー……カルムさんみたいな考えの冒険者ばっかりだといいんだけどさ。どちらかと云えば少数派じゃない? 誰だって自分が一番かわいいし、他人の面倒ごとなんて関わりたくないもの。対価を要求する方が普通と云えば普通よ。
あなたの普通は普通ではないッ。お人好し……いやごめん、今のなし……」
思わず力説しかけて……失礼になりかけて慌てて口をつぐんで前言撤回。
ごめんね、うそよ?とぱちぱちと過剰に瞬きして気まずい謝罪。
ひとまず入り口へ向けて送ってくれるという良識的でいて紳士的な彼に「神対応…!」とそれこそ拝むように両手を組み合わせてきらきらとした眼差しで見上げ。
「ペイフォワードか……ま、個人的にその考えは嫌いじゃないわ。むしろ好き。
誰しもがそうしていければ世の中は改善するんだろうけどね……。
せめてそんな考えを持つ人が踏みにじられることがないように祈るわ」
困った時はお互い様。善意を繋げて行ける世の中であれば今、争いごとは起こっていないだろう。
しかし、一人でもそんな考えを持っていれば少しずつでも世の中は良くなっていくに違いない。
今日は地獄に仏、という訳でありがたくご厚意に甘えることにして、こくり、と肯くと。
狼煙の予備はまだあったけれど、こちらの都合を汲んでくれるというならばそうしようと。
「それじゃあ、カルムさんの云うとおりにするわ。悪いような気もするけど……恩人に従います。
――わたし、ヒーラーなの。今後会えるとは限らないのはその通りだから、今持ってるポーションとかで良ければお礼できるけど」
なんだかそんなのも遠慮されそうではあるが、一応そう尋ねてみては案内する所作に従って歩き出せば、時折自分の持っている地図を広げて見せて彼に位置を「ここ?あってる?」確認しつつ。
■カルム > 「流石に、其処迄なれなれしくは出来ないさ、友人とか、それ以上の関係になったとしたら、ね。
今は初対面の冒険者だ、なので、これで勘弁。」
呼び方と言うのはそれなりに大事だと思う、信頼関係や、お互いの距離を測るための物だ。
こう、この町の大部分は距離の詰め方が、音速を超えてると思う、出会ってすぐ恋人、も、よくある話し。
その速度、距離感は未だに慣れない冒険者だ、冒険してないとも言うが其れは脇に置いておこう。
なので、ちゃん呼びは、また別の機会に、と、口角引いて言って見せる。
「ん?疲れているのか?体力が想像以上に損耗してるのかい?
それなら、背負う事は吝かでもないけども。
少数派、なのか……そうだったのか、普通の事をしてる、と思っていたんだけども。
ティアさんの言う通りではあるね、面倒事は関わりたくはないだろうし、それに関わるなら、と。
いや、一つ学びになったよ、有難う。」
知らぬは恥だ、それなら、失礼と思いつつも常識を伝えてくれるなら、それはありがたい。
農家の三男坊は、だからこそ、知ると言う事の大事を理解している、彼女の謝罪に対しては、感謝を。
身長差から見ると、大人と子供の二人、こう、年齢が近しいとは思えない彼女の活力に、元気な子だなぁ、と言う感想を再度。
「そこまで大したものじゃないよ、約束をして、護れる自信がないだけさ。
冒険者はいつ死ぬか判らない、その後を、何とかして残す、それだけだよ。
残念ながら、何時踏みにじられるかは、判らないし、ね。」
カルムは自分でもわかる、英雄では無いのだ、中堅の冒険者、それも、中の下程度だ。
彼女を助ける事で、一つ、自分の痕跡が残ればいいな、と言う程度でもある。
可愛らしく頷く様子、同意を得られたと判ったから、歩き始めるのだ。
「ヤバい、恩人と言う言葉が案外響く。嬉しいな。
そうだね、じゃあ……ポーションも安くないから、ちゃんと出口に付いたら、下級のポーション。
一つ融通してくれると助かる。」
感謝の心、屹度何某かで、渡したいのだろう、全て要らない、要らないでは、彼女の心意気を無下にする。
だから、自分も必要なもの、ポーションを一つ、それを感謝の心として受け取る事にして。
その後。
地図を見ながら、漏れ出でる太陽と、コンパスを使い、現在の場所の確認をしつつ。
冒険者二人は、森の脱出に成功した。
その後、でっかいのは、依頼を熟すために、森の中に還っていくのだった―――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からカルムさんが去りました。
■ティアフェル > 森の中で迷う――というよくあるが最大のポカをやらかしたのだが。
運よく気のいい冒険者に拾ってもらえて事なきを得た。
――この人の持ち味の良さは良く分かった。しかしそれがどうか失われないようにと祈るばかり。
世の中は優しくないことも多い。
せめてものお礼にと別れ際ポーションの小瓶をひとつ渡せば、それで何とか気持ちに整理はついた。
さすがに世話になってばかりでは気が引ける。
「――ありがとう! いつ死ぬかなんて云わないで元気でまた会いましょ。その時には地図の読み違えなんて初歩なミスしない成長した姿を見せつける所存!
じゃあさよならー、カルムさん」
大きく手を振って、再び森の中へ戻る背中を見送るとこちらはこちらで「よし」と気合を入れ直して地図をしっかりと確認しながら目的地を目指して一歩――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からティアフェルさんが去りました。