2024/01/03 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」にユーゴさんが現れました。
ユーゴ > 日も落ち始め、辺りは鮮やかな茜色に染まっていた。
この景色も、後もう暫くもすれば夜の暗色と焚火の仄灯りに変わるのだろうが。

焚火と簡易テントの設営を終え、改めて周囲を見渡す。
近すぎず、遠すぎない位置にそれぞれ設営している他の冒険者達やら傭兵達やらとは、後で不寝番の順番を取り決めなければいけないだろうが、平野にあるここは見渡しも良く、魔物の襲撃があったとしても直ぐに対応が出来そうだ。
何度か滞在している野営地であれば、勝手知ったる、気を張りすぎる必要はない。
頭に過らせる程度に算段をつけては焚火の前へと腰を下ろし。

「――――後で川の方も確認、しないとか。」

ふと、ここからそう遠くない位置に走る川の存在を思い出す。
今回受けた依頼の中には素材の採集も、『可能な限り』ではあるが含まれている。
水辺に植生している物もあったはず、だなんて思考を巡らせ。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」に夏虎さんが現れました。
夏虎 > 日が落ちるにつれ寒風はより肌に刺さる。
焚き火の傍にいても身震いするほどだ、故に、
川辺で好き好んで野営やまして採取を行う者も少ない。
採り放題。
水辺に生えるものから水中に潜むものまであれやこれやの植物を竹編の籠にいっぱいに詰め込んで成果は上々。
そのかわり、川水にたっぷりと浸された手足は氷のようだ。この時期の採取はこれが辛い。

「もう寒ぃんだか痛ぇんだか……」

手足は真っ赤で唇も紫掛かりはじめている。
溜息一つ、手足と竹籠から水を滴らせながらに野営地へ戻る途中。

「ぅん? ぁ。こんばんは~」

偶々、川の方へと目を向けている、女性? ……いや男性か? ……ぅん? ……いや?
ぱっと見では判別に困る、しかし格好からして冒険者とは予測できる若者と目が合って。
右手は籠を持ったまま左手をゆるりと上げてひらひら緩々とした仕草に振り、挨拶。

ユーゴ > 素手で取らねば純度が下がり、価値が低くなる植物もあれば、その逆で、魔法を使って取らねば純度と価値が下がる植物もある。
だからこそ、この季節は希少価値が上がる植物が多々存在している。
己が『可能な限り』と言添えられた植物もその類の物。
流石に、今から採取に出る訳も行かず、明日の朝イチか――と、考えていれば、
視線を向けていた方向から戻り来る人影が見えた。

瑞々しい植物の詰められた籠を抱える様子から察するに、丁度思考を巡らせていた川から戻ってきたのだろう、とは想像も出来る。
距離が縮まれが目が合うだろうか、揺らされる掌と紡がれる挨拶に数度双眸を瞬かせては、愛想良く柔らかな笑みを浮かべ。

「こんばんは。 ――――……君、大丈夫かい?」

どちらとも付かぬ声色は更に混乱を招きそうだったやも。
相手が判別に迷っているとは知らぬ由、穏やかに挨拶を返したのも束の間、相手の様相を目に、気遣うような物へと表情は変わる。
痛々しく赤に染まった手指に、褪めた血色の唇を見ればそれも当然で。

夏虎 > 苔に水草に黒黒とした石塊のようなものから川魚まで、
八分目ほどまで詰め込んだ竹籠は傍目にも解るほどずっしりと重い。
此等を仕分けしてから乾燥させて手間暇を加えていけば胃薬や解熱剤になっていく。魚は飯の種というか本日の晩飯であるが。焼くか、燻すか、刺身もいいな、酒が欲しい、云々とかく寒いのでせめて暖かな飯に期待を馳せていたのも今は一旦置いておき。表情の柔和さと声の質どれを取ってもやはり男女の区別が付きにくい相手に、首傾げかけたが、何とか元の位置をキープして怪訝な表情も浮かべないよう表情筋に活入れて笑顔を返した。

「大丈夫。……とは、言えないか、いやもう、寒いのなんの痛いのなんの。
 川の方見てたけれどあんまりお勧めしない。俺みたいになる」

これ、これ。と、手指や唇を指しては、肩を揺らして笑気を吐く。

「競争相手少ないから成果はいいし水も滴るいい男にゃなれるけどさぁ……
 親切心5割と下心5割で言うけど幾らか譲ろうか? お勉強しますよ~」

左手が下がる代わり右手と籠とを持ち上げては、おそらく彼? 彼女? も、採取に用があるのだろうと見て取って、
お安くしとくよ! なんて商売っ気を隠さずにそんなことを宣って。

ユーゴ > 「だよねえ……。」

大丈夫じゃない、との応えにも、己の目的がある場所への反応にも、二つの意味にかかる音は落胆の色を含む。
嘆息交じりに吐息を逃がせば、自然と肩も下がって些か脱力気味。
然し、続けられた言葉を耳にすれば緩々と薄青が開かれた。
謳うよに紡がれる台詞は整った顔立ちの相手では、嫌味のない音もあって、寧ろ様になってすらいる気がする。
ふ、と呼気に笑み音を乗せれば再び表情は常の穏やかな物へと戻り。

「とっても助かる。 ――ああ、良かったら。」

目の前にはそう大きくはないが焚火もある。
この気温と相手の冷え切った様子じゃ、暖を取るのは難しいかもしれないが、気休め程度にはなるだろう、と、己の傍らへと誘い。

夏虎 > さらっと言い放った自画自賛。に、ウケが良かったからって調子に乗って、これ見よがしに髪を掻き上げたり片足を爪先立ちにし腰に手を当てて決めポーズを取ってみたりとふざけた仕草を連発しては、またくつくつと喉を鳴らして笑った。
川水で冷やされて気化熱でさらに冷えてすっかり凍えた手指はあまり動きが良くなく、
一先ず籠を下ろしても籠から指を離すのにもう片方の手も使って何とか剥がしてから、

「ふふ、ありがと。それじゃあ、お言葉に甘えて」

手指を胸の前にもっていって立てる。派手な髪と瞳の色、王国人らしい顔付きながら、謝礼は異国式。
お誘いを有り難く受け入れては頷き一つ。彼。彼女。未だ解らないが傍へといっては腰を下ろして早速焚き火の前に手を翳してから、

「ぁっと、申し遅れた。夏虎(シァ・フゥ)いいます。こう見えて北の出。呼び難かったら適当に略して貰って。
 普段は王国の大通りで露店開いて薬屋やってるんで良かったら」

全然シェンヤン人ぽくないけれど実はそうなんだよなー。
なんて嘯きながらの自己紹介。

ユーゴ > 取ってくれるポージングも、分かりやすく、な仕草なものだから相手の笑う音に己の笑う音も重なるのだろう。
そうして、彼の手腕の挙動はこの国では余り見慣れぬもの。
ほんの一瞬だけ空いた間は、誘いを受けてくれたのを確認して傍らに置いた儘の収納鞄へと手を伸ばすのに断たれる。

「ええと、……しゃーふー?さん? はい、これも良かったら使って。」

耳慣れぬ発音は、案の定一度では上手く発音が出来ず、近しくも足りない舌の縺れ具合。
合ってるだろうか、と何処か不安げな表情で頭を傾けながら、
マジックバッグから取り出した厚手の毛布を相手へと差し出し。

「私の名前はユーゴと。見ての通り――一応、王国の出で、冒険者をやっている。
 露店の方はあまり行かなかったな……今度足を運ばせてもらうね。」

相手に倣って自己紹介。
一応、と紡ぐのは、まごう事無き王国出身ではあるものの、傍目からも分かる長耳の特徴があるからだ。

夏虎 > 「ふふっ。シア。シァ。(シァ)。言い難いよね~?解る。フーって気軽に呼んでちょーだい」

しゃーふー。
可愛らしい発音につい口角が持ち上がったまま降りてこない。
王国人には北方語というものはどうにも発音し難い言語だ、
自分の名前を初耳ですぱっと言える者にはそう出会った事がないから慣れたもの。
軽く発音講座なんかしてみたものの『フー』のほうが言い易そうなので、そちらで、と頷いて。

「ユーゴさんね。ご贔屓にぃ~。まあ露天なんであんまり品数は多くないけど……
 風邪薬とか胃薬とか湿布とか。後は、精力剤とかかね、一つぐらいご入用なもんはあるでしょ」

一応。の、言葉と仕草に、長耳の方へと一瞥はするが、
出自でどうこういえる身分でもなければ性分でもないため直ぐに視線を外して。

「ぁ。精力剤っていっても疲労回復とかそちらのほうね? 下のほうに効くのも処方できるけどそっちはユーゴさんの入用次第と、あとぁ体質とのご相談」

あれ実は結構デリケートな品だからパッと出せない云々。
厚手の毛布に謝礼でまた一度手を立ててから受け取れば、
ジャケットの上から肩に羽織らせながら商品説明をつらつらと。

ユーゴ > しあ、しゃー、しぁ――――と、講座を受けながら繰り返し紡ぐも、口の動きが難しくって音は定まり切らぬ儘。
ほんのり眉宇が寄って、彼の申し出に淡く眉尻が垂れて。
最終的には、何処となく悔し気な色を表情に乗せながらも、ありがたく頷いた。

毛布を手渡しつつ、上げられる商品を一つ一つ頭の中で思い浮かばせる。
確かに、店を構えての販売ではない分、少なくはあるがどれもあって困るものではないし、
必要になった時にパッと買えるのは露店の強みだろう。
風邪薬なんかは、己の回復魔法では及ばぬ症状だから尚更。
納得したような様子で相槌を打っていれば挟まれた補足に、また双眸が瞬いた。

「あるんだ。 ――――へえ、体質。」

入用ではないけれでも、思わず。
けれど、体質との相談、と聞こえれば分野外の知識に興味が湧いてしまうのは仕方がないだろう。
知的好奇心――興味の色を湛えた眼が、続きを促すように目配せを一つして。

夏虎 > うん? と首を傾げたのも束の間。セックスに対してではなく薬効の作用が云々の方へと興味深そうな目線と相槌に、シァの発音もそうだったが知識欲が結構な様相に、また一つ笑気を零したが茶化すでもなく真面目に答えていく。焚き火に翳していれば悴んだ手指も少しは動くようになってきた。人差し指を立てて見せれば、己のお臍辺りを指差してから、腹を辿っていって、胸の中央へと進んでいき、心臓付近を突いて。

「うん。勃起ってさ、血流によるわけよ、要が心臓にあるわけ。
 下に作用する精力剤ってのは強心剤の類っつーかほぼそのままっつーかでね」

心臓から、腹へと下って、臍へと下っていって。先の動きとは逆流していく身振り手振りと共に、

「こんなとこを薬効でどうこうしようってんなら結構な注意が必要になる。
 身体の弱い人に下手なもん打ち込んじゃったらそのままぽっくり……
 て、アホみたいだけど、これでお亡くなりになる人がそれなりに居るんだぜ?」

故、気軽に買えるようなものは、偽薬効果を期待するか或いはほんのちょっとの効果しかないものか気軽に市場に流しちゃいけないものを無理に売っているか。確りとした効能を期待したいなら、専門の知識を持った医家と要相談。云々、殊、気軽に流しちゃいけないものの下りには渋い顔をしたりしながら、結構気を遣って商売しているらしいところを伺わせながら説明している。

ユーゴ > 立てられた指先の示す先、伝い辿る先を薄青が追う。丁度、心臓の近く。
そうして語られる言葉に、まず頷きが落ちた。

己が持ち得る知識は、基本的には魔素や魔力と言った物やそれに起因する術式が殆ど。
勿論、騎士として学んでいた折に覚えた、『何処を如何切れば動けなくなるか』だとか言った物もあるが、それとて外的な要因だ。
最低限、人体の構造は理解していても、教養やら戦闘に関すること以外の仕組みの話になると、原因よりも、どうしたって結果由来の知識に偏ってしまう。

「ああ、なるほど――……心臓を過剰にかしているようなもの、だものね。」

成程、合わなければ拒絶反応なり暴走なりもしようと言うものだ。
分かりやすい説明は知識の無い己にも理解がしやすいもの。
ほう、と感嘆混じりに吐息を逃がしては、五指を揃えた手指を軽く胸元へと宛てて浅く頭を垂れた。

「ありがとう、とても勉強になった。
 ――――これは、勉強代を払った方が良さそうだなあ。」

だとか、最後には軽口混じりに嘯いて。

夏虎 > 「うん。そんなかんじ。ご清聴ありがとーございましたー」

説明をしている最中ずうっと真剣に目線や首肯で相槌を打って貰っていると、医家や講師ってこんな感じなのかと、何だか擽ったい気持ちで笑いそうになったものの何とか堪えて。出来る限り噛み砕いたがそれにしても物分りのいい“生徒”に頷き最後は軽くおどけたものの締める。恭しくも下げられた頭に、ひらひら、緩い手付きがまた振られて制止をして、

「お代取る程じゃないな、お薬の事前説明は薬屋にゃ当然さ。
 どうしてもってんなら焚き火に当たらせて貰ってんのと相殺でね」

お陰で冷えた身体も、まだ冷えが残ってはいるが先程よりは大分動くようになってきた。
焚き火と自分とを交互に指差してから軽口に合わせて軽い調子で笑い、

「……いや、凍えてるときの火はこれじゃ足りないな。
 魚も付けよか、一緒に食べない? ユーゴさんは塩派? 燻す派?」

採取量は十分で釣果も実は結構ある。一人じゃ腹が膨れすぎるかも、程度には獲ってあった籠を差してはそんなお誘いと一緒に今度は食の話題に移っていく。刺身は王国人にはちょいと敷居が高いだろうから焼くか燻すか、何て話題は尽きず、応じてもらえば酒も加わって、賑やかな夜になりそうで……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」から夏虎さんが去りました。
ユーゴ > 本来であれば拍手も捧げたい所ではあるのだが、場所が場所だ。
他の一団らから奇異の目を向けられるのは、相手の迷惑になりかねん。
代わりの礼ではあったが――返される言葉に、ううん、と、呻きとも唸りとも付かぬ声が落ちる。
知識と言うのは、糧であり、武器であり、財だ。
焚火と頭を垂れるだけでは足りぬ、と思っている。

「――――ははっ!
 私はねえ、塩派。 でも、香草と一緒に燻すのも美味しいよね。」

けれど、柔らかな、かろい調子で相手が紡いでくれるから、思わず笑みが零れてしまった。
同じような軽やかさで好み云々を告げるのだろう。
続けて、野菜スープもあります、だなんて嘯いて、不寝番もあるだろうからお酒は程々に。
それでも、最初よりも随分と気の抜けた様子を見せながら、夜は更けていく――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」からユーゴさんが去りました。