2023/10/14 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にサウロさんが現れました。
サウロ > (自然地帯の奥にある「妖精の泉」。
 そこへ水を汲みに行った錬金術師が妖精の悪戯を受けて大事な形見のアクセサリーを取られ、泉の底に沈められてしまった。
 どうか取り返して欲しいと心底困り果てていた様子に「わかりました」と頷いて、
 サウロは自然地帯の森を抜けて、魔物を倒しながら、例の妖精の泉へとたどり着いた。)

「ここか……随分透明度が高い泉だ」

(泉の底まで覗けそうな空の色を反射する透明度。
 泉の中に落とされたともなれば、あまり推奨されることではないが中に入らなくてはいけないだろう。
 泳ぐほどの規模でもないが、鎧は邪魔になると留め具を外し、盾と共に置いておく。
 魔物避けの守り札を首から下げつつ、武器は岸辺のすぐ取れる位置へ。
 上着を脱ぎ、ズボンを捲り上げて、ブーツを脱いで裸足になる。
 肌寒くなってきた季節には泉の水は冷たく感じるが、真冬の雪中行進訓練に比べれば楽なものだ。
 足先から沈めて、底の感触を感じながら、泉の中へと入っていく。
 目的のアクセサリーは確か腕輪だったか。透明度の高い泉の中を覗き込み、それらしいものを探すうちに、
 深いところへと進んで、腿のあたりまで泉に浸かり。)

サウロ > (澄んだ泉の中で、上裸の青年が泉の中に手を伸ばす。
 どうやら悪戯をするという妖精は立ち寄った者からモノを奪って泉に落として困らせる、なんてことを良くしているのだとか。
 それなのに汚れが全然ないのだから、不思議な力があるのか。
 懇々と湧き続ける綺麗な泉の中に長居するのも罪悪感もあるので、碧い目を凝らして波打つ水面の底を見る。
 キラリと鈍く光るものを見つければ、すう、と息を吸って、頭を沈めるように潜って。)

「……────!」

(浮力の抵抗を掻き分け、手を伸ばす。ごぽりと気泡が口元から溢れる。
 腕輪だ。それに指を引っ掻けると、腕輪に何かが引っかかって一緒に引っ張られた。
 水面から顔を出せば、目的の腕輪と、チェーンが引っかかったネックレスらしきものまでついてきた。
 これも妖精の悪戯で誰かが泉の底に落とされたものだろうか。
 濡れた顔を拭い、水が滴る髪を掻き揚げつつ、岸のほうへとざぶざぶと戻っていく。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にフー・メイユウさんが現れました。
フー・メイユウ >  
先人が切り開いた道を、歩いて、
獣達が踏み固めた道を、歩いて、
枝葉を掻き分け魔物を殴り倒し、
本日の成果はいまいち。
何かが出てくるのはいいにして食える奴じゃないと只腕が疲れるだけである。
冒険者なれば討伐報酬にもなるのだが生憎と一介の街人なので報酬も出ない。
食える奴! 素材になるやつぅ~! 店に出せるやつぅ~……!
云々たまにぶつくさ独り言ちながら進んだ先にあったのは、湖。
と。水も滴るイケメン。

「あれま。お兄さん、こんなとこで水浴び? 寒いでしょ。大丈夫?」

冒険者が討伐後の返り血でも落としているのだろうか? 一、二週間前なら歩くだけでも汗が滴ったものだが今時分のしかもこんなところでは肌寒さも一入故あまり水浴びには向いていないだろうが……等と一思案と一緒に、目を少しばかり丸くしながらも首を傾げて、一声掛ける。
丁度岸に上がるところだった彼を出迎える位置に出てきていたので、
邪魔にならないよう蟹歩きでちょこっと横にズレる。

サウロ > 「ん……?」

(人の気配、というよりは、獣にしては不自然な音がする。
 草木を掻き分けて現れたのはやはり人だった。
 目立つ桃色の髪に、赤い瞳の女性。
 泉の縁に立ってこちらへとかける言葉は最もなもので、苦笑しながら横にずれてくれたことに軽く頭を下げてから泉から上がる。
 陽が差す時間帯とは言え自然豊かな森の中、吹く風は冷えて、水に濡れた体には寒気が走る。)

「ちょっとした依頼で、これを取りに。
 もう少し早い時期だったら気持ち良かったんだけれど。
 ああ、見苦しいものを見せてすまない」

(掲げる手には腕輪とネックレス。依頼と付け足せば、誰かが落としたものを取りに行ったと理解してもらえるだろうか。
 なんて笑っていたが、今は濡れたズボン一つしか身に付けていない状態を思い出した。
 均整の取れた痩身筋肉質な体躯ではあるが、女性の前で曝け出したままというのは宜しくなかった。
 金の毛先から顎先からぽたぽたと水を滴らせつつ荷物からタオルを取り出して髪にかけつつ、
 ふぇっくしゅ、とくしゃみが出る。先に焚火を用意しておけばよかったと、珍しい失念。)

フー・メイユウ >  
濡れた手へ、濡れた装飾品へ、瞳が向いて。依頼との言に一つ頷く。
冒険者かそれに類する稼業の彼がお仕事中なのは分かった。

「ぅふふっ。寒いね?」

可愛らしいくしゃみに肩を揺らして笑って。
水浴びに適さない季節で水浴び敢行するほど寒さに強いわけでもないのも分かった。

「待ってなよ、火点けてあげるから。
 あ、下も脱いじゃいな?
 それじゃ余計凍えちゃう。
 私は気にしないからさ」

まあ何なら眼福ですね! と。女性の前で、云々、気にした様子の彼に対してまったく気にした素振り無くそれどころか……
随分と均整の取れた体躯に鍛えた形跡のある筋肉が載った様子を、顎に手を添えてまじまじ。
随分と態とらしい仕草で、巫山戯ていますと言わんばかりの声音で、宣ってはまた軽快に笑い飛ばす。
喋りながらも周囲に落ちている青い葉から枯れた葉から枯れ枝からをぱっぱと集めてしまうと、
左の胸ポケットに仕込んである棒状の火打ち石を二つ取り出してから打ち鳴らす。
かきぃん!
ジャケットを着ていると外から見たら細腕だが、しかし中身は結構な筋肉質、なんなら彼よりもだ。
その腕と腕力が火打ち石を力込めて打つものだから結構な音を響かせて盛大に火花を散らせる事数度――
枯れ枝を着火させたらすぐに、ふーっ! と吐息を吹き込み火種を育てて、と手慣れた手付きで火起こし。

サウロ > (くしゃみを聞かれて笑われてしまえば少しばかり締まりも悪く、照れたようにはにかんで「真冬じゃなくてよかった」と。
 火をつけてくれるという彼女の言葉に甘えつつ、下も脱いでしまった方がいいという言葉には驚いて顔を向け。
 こちらの体をまじまじ見ながら、軽快に笑い飛ばす様子には苦笑を零してしまう。
 同性ならまだしも女性相手に下半身を見せつけるような露出癖はない……と信じたい。
 余計な記憶が混じりそうになって首を軽く苦振った後、一先ず回収した装飾品を別の布に包んでしまいこむ。)

「……随分手慣れているね?
 ありがとう、助かるよ」

(野営経験でもあるのだろうか、服越しにはわかりづらいが、結構な腕力を感じさせる音がして振りむけば、手際よく焚火を起こしていた。
 彼女の背面で視界に入らないところでベルトに手をかけ、ズボンと下着を脱ぎ、
 腰に大判のタオルを巻いて腰から膝までを覆い隠せば、ジャケットだけを拭いた肩にかける。
 彼女がつけてくれた焚火の前に盾を地面にさし、ズボンを引っかけて乾かそうという意図。
 そうして一段落したら、焚火の前に腰を下ろし、胡坐をかいて彼女の方へと向き合う。
 上裸に肩から黒いジャケットをかけ、タオルを腰にまいた格好で暖かな火に手を伸ばして冷たくなった指先をあたためる。)

「はあ、助かった。ありがとう。
 僕はサウロ。自由騎士だ。きみは?」

フー・メイユウ >  
「シェンヤンからの流民さ。お察しだよ。
 どういたしまして。
 あ、これ借りるよ?」

桃色の髪。赤色の瞳。王国内でもさして多くは見掛けない配色は、お隣さんの国の人間にしては更に稀なもの、顔の作りだってあちらにしては……故ぱっと見では解らないだろう出自と、手慣れた理由の一端をぽつり。結構な苦労も伺わせるが其処はさして感じさせずに軽々とした口振り。
身形をなんとか整えているのを流石に振り返って迄見やしないが、
彼が格好をどうにかしているうち彼の荷物に手を伸ばして。
彼の目が届かないうちに彼の荷物を拝借して懐、ではなく。
ポットに、カップに、などを借り受ければ湖の水を汲んで。
お茶の準備である。

胡美雨(フー・メイユウ)。平民地区の、大通りからちょっと外れたとこで飲食店やってるよ。
 サウロもそのうち食べに来ない? 美味しいよ~。今の季節は特に美味しいよ~」

盾を簡単な支えにして乾かしているのを見て取ると、丁度いい! とばかり、ポッドを適当な枝に引っ掛けてから、ついでに一緒に盾に吊るして火に掛ける。
それからようやく彼の真向かいに尻を落として胡座を組み、自己紹介。
胡菜館(フー・ツァイグゥァン)っていうんだけどぉ~。
等とついでに店の紹介も交えて。
出てきた時から今の今まで、初めまして、なのだが友人相手にするみたいに気楽なノリである。

サウロ > 「シェンヤン?……ああ、どうぞ」

(彼女の出自を聞けば意外そうな表情。
 理由はその髪や目の色。顔の作りも帝国風かと言われると、と言う所。
 何かしら苦労の絶えない事情もあるのだろうが、複雑さや重さを感じさせることなく告げる様子には、
 あまり同情的な心情を寄せるのは失礼かと一つ頷く。
 荷物からポットやカップなどを使ってお茶の準備までしてくれることに感謝しつつ、
 名乗った響きは確かに帝国風のモノだった。フゥ、メイユゥ。どうにも帝国の名前は発音が難しい。
 が、飲食店と聞けば、食事が趣味であるサウロの碧い目が見開く。)

「本当に? それは是非行きたいな。
 大通りから外れた所は隠れた名店が沢山あるからね。
 系統はやはり帝国料理かい?」

(と興味津々の様子。ふぅ、つぁい、がぁん、と慣れぬ発音に苦労する。
 気さくな雰囲気もあって話しやすさがあるのはそういう人柄故か。
 彼女の顔を見ながらおすすめの料理は?だとか、シェンヤン料理は一度富裕地区にあるところに
 友人と食べにいったことがあるだとか、そんな話を。
 ジャケットの下で軽く腕を摩って泉に潜って冷えた体を摩擦で温めつつ、時折掌で口元を押さえてくしゃみも。
 火にあたっていてもやはり風が体温を奪ってしまうようで。)

フー・メイユウ >  
「こっちの人には発音し難いかな?
 いいよ、適当に呼んでくれても」

名前。店名。覚束ないながらも一生懸命こちら風の発音してくれているのは微笑ましい。
帝国人が王国人みたくこうして日常会話を不自由なく話すから気も引けるかも知れないが、
異国の言葉というのが異国人からしてみれば随分難解な物だと理解していると頷いて見せ。

「ぁはは! いやね、名店とか富裕層のお店みたいに期待しちゃ駄目だよ?
 私もまだまだ修行中の身の上だからその水準には達せてないのよ」

まだ二十歳だしね! と、筋肉はあっても脂肪の少ない胸を叩いて。
まだ二十歳で。そして流民で。しかも自分の名前のある店持ち。
先程からちょくちょく苦労とか闇とか覗いてくるのだが、
同情を求めているどころか、褒めろ!
とさえ言わんばかりの。表情なんかもうドヤ顔の領域である。
とことんノリが軽い。

「お勧めね。やっぱりこの時期は辛いものがお勧め。ぁ、辛過ぎ苦手って人もいるから調節も承るよ。
 寒い日にはお腹の中から温めなきゃねぇ。今お出しできないのが心苦しいけど。
 ……お姉さんが温めてあげよっかぁ~? ん~?」

香辛料増々のものから香辛料ちょっぴり足したピリ辛まで。挽肉を特性の味噌を混ぜてそこに、云々。
鍋を奮う真似をしながら答えていると話の最中もちょくちょく挟まるくしゃみにまた笑った。
よいしょ、と尻を落ち着けたばかりだが尻を地面から放してぐるっと焚き火を周り彼の傍へと。
歳はさして変わらないだろうにお姉さんぶってまーた誂い成分も笑気たっぷりの震え声で、にまにまと底意地の悪い顔をしながらその肩へ手を伸ばし……

肩を抱く。というより、掴んで。
火打ち石を軽く打ったように見えて派手な音上げさせるだけはある腕力が、彼の身体を回れ右させる。

「こういうときはね。身体の前じゃなくて背中を温めるんだよ。
 血流がどうの。面積がどうの。細かい理屈色々あるらしいよ。知らんけど。温まるのは確かさ」

いざ乱暴。ではなく。ちょっとした入れ知恵だった。

サウロ > 「すまない、ええと……それでは、メイと」

(メイユゥ、と呼んでるとそのうちミュウになりそうなので、素直にお言葉に甘えさせて貰おう。
 王国にも王都にもシェンヤンからの人間が増えている。仲間にもいるほどだ。
 帝国で何かが起きているのか、最近は内乱に関しても帝国の関連が疑われていると聞くほどだ。
 それはさておき、二十歳という若さで流民が平民地区に店を持つともなれば純粋にすごいことだと目を瞬かせた。
 何かと腐敗が広がるこの国の現状、特に女性は不利不平等が騒がれているが、
 サウロよりも年下ということも知れて、そこに重なる苦労も垣間見せずに胸を叩く様は快活で勇ましい。)

「メイはすごい人なんだね。
 ああ、話で聞くだけでも美味しそうだ。
 僕はあのトーフとひき肉の、ちょっとピリ辛のものとか、色んな具材を巻いてパリッと油で揚げたやつとか。
 あとはこう、もちっとした生地に、熱々のスープを詰め込んだようなやつもおいしかったな」

(と、過去に食べたシェンヤン料理の中でもまた食べたいと思うようなものをいくつか。
 発音が難しくて商品名が言えないから、具体的なものが言えないが。
 揶揄い混じりの声と共に立ち上がってきた彼女に、いや僕の方が年上だよと教えようかと顔を上げれば、肩を掴まれた。
 え、と思わず身が強張ったのは一瞬で、ぐるりと体を反転させられる。
 えっ、力が強い。まずそこに驚いた。純粋な力勝負で勝てるか若干不安にもなった。
 座ったままだったのでタオルが摩擦で取れそうになったのを慌てて押さえつつ、ジャケットに当たる熱気をじわじわと感じ取る。)

「なるほど……? ……少し驚いた」

(流石にいきなりそういう雰囲気になることはなかったことに、安堵する。
 色々な事情が複雑に絡み合ってサウロは現在女性に弱く、抗えない呪詛めいた暗示がかかっている。
 原因こそぼやけているが、彼女に男を弄びたいというような性癖がない限りは、問題はない。)
  

フー・メイユウ >  
ミユウじゃさらにお隣の国の人になるよ。との言はいつか間違ってそう呼ばれた日の取って置き。
母国語である帝国語に流れ着いてきた王国語を加えてもう一つも話せる事実の公開とドヤ顔もだ。
さておき。
褒めろ! 何て強請ったらこれまた素直に目を輝かせてくれるものだから気分良くて、
得意気な顔は引っ込むにしても口の端はすっかり機嫌良さそうに緩んだままになって。

「そうそう! いいかんじ! いいね、褒め上手だね、よし、気分良いから店来た時一品おまけしたげる。
 全部作れるよ。ふふ、そのスープ熱かったろ、火傷しなかった?」

チュンヂュアン、シャオロンバオ、と帝国風の呼び方をぽつりぽつりと零しながら当たりを付けつつ、
任せなさい! とばかりまた胸を叩いて。これで常連さんが増えてくれれば嬉しいもので幾度も頷き。

「ぅん? びっくりした? ぅふふ」

女の子がスカート抑えるみたくタオルを慌てて抑えているのに悪戯っ気に八重歯を覗かせて。
男の子なのになぜかやたらスカート抑えるみたいな仕草っぽいのに、はて? とは、内心首を傾げるものの、彼の事情が複雑怪奇であることには流石に検討付かなかった。もしかしたら、彼と腕相撲でもしようものなら勝ちかねないぐらいの腕力、それを披露した腕もまた自慢げに軽く揺らして見せて。

「メイさん腕っぷしも強いのさ。
 ここにも、食材何か仕入れられないかなーって来てるしねぇ」

市場で買い付けも普通にするが自然地帯で節約がてら獣やら魔物やらぶちのめして店に並べる事もままある。……今日は生憎と成果が今ひとつだけれど。と、肩を竦めて。

サウロ > 「それは嬉しいな、休息をとる時には、必ず行くよ。
 とても熱かった。友人が食べ方を教えてくれなければ丸かじりして火傷していたところだ」

(まるで呪文のようにサウロが食べたものの検討を付けていく様子を見上げながら、
 レンゲにのせて箸で割って、肉や野菜の旨味がぎゅっと凝縮した汁を啜りながら、具を食べるという体験。
 思い出せばお腹がすくというもので、食べたくなってきて腹をさする。
 是非時間が出来た時にでも、彼女の店に足を運びたいところだ。

 茶目っ気のある様子に困ったように笑いながら、居住まいを正しつつ突然襲い掛かってくるわけでもないことには安心した。
 女性と言えど鍛えている人はいるし、サウロよりも膂力が強い女性もいる。
 男だからと言って全ての女性より上回っているという驕りなどない。
 純粋な力勝負では、シェンヤン料理に欠かせないという巨大鍋を振るう彼女の腕力にはかなわない事もありそうだ。
 それもそれで、彼女の努力の証なので、素直に称賛するだろう。)

「食材調達からしてるのか…それは本当にすごいね。今日はお店のほうはお休みなのかい?」

(服越しにはわからないが、きっと触れればその筋肉量に目を剝くことになりそうだ。
 成果がイマイチだと肩を落とす様子には気を落とさないで、と慰めるように微笑して。

 その後もお茶をしたり、会話を弾ませたりとしていれば、身体も温まる頃。
 荷物から下着や替えのズボンなどを履き、身なりを整えていこう。
 地肌を全部覆い隠すようにインナーと上着、ジャケットの前もしっかり締めて、ブーツを履く。)

フー・メイユウ >  
「何なら今から来るかい? 其れ、納品したあとにさ。予定が他になければだけど。
 店開ける予定はなかったけど私もご飯だから一人二人増えるぐらいなら構わないよ」

お腹を擦る仕草に自分のお腹、ちょっと木々で見にくいが空模様に日の落ち具合と視線が巡る。
店を開けるほど在庫に余裕もなければ営業する気力はないにしろ……
自分と友人に追加してちょっと作るぐらいは手間の量は変わらない。
今後の常連客ゲットの目も作っておきたいし、
営業努力少々と気紛れ2:8ぐらいで首傾げて。

「心配しなくてもぉ~。人目につかないとこ連れ込んでぇ~。あんなこととかこんなこととかしないからぁ~。
 シてほしかったらシたげるけどね。サウロかわいいしぃ♡ お姉ちゃんが可愛がったげよっかぁ♡」

人目のつかないところに連れ込んで人目に付いちゃいけない事しそうな言い草である。
男性に対して女性が、いや。厳密には女性ではないのだが見目は女性が言う事でない。
手をわきわきさせて。身振り手振りまで怪しい。
直ぐ、くは、と自分でやっておいて自分で笑いが堪えきれずに吹き出してしまったけど。
……台詞いちいち不穏だがこれも冗談なのか本気なのかよく分からなくなりそうな、
にまにま声でにたにた笑いだ。

「私一人で全部やってるからこういうときはお店締めざるを得なくてねぇ。
 そのうち、お手伝いさんでも雇おうかなーって思ってんだけど……」

自分の予定と。自分の気分と。在庫云々、結構気紛れな営業形態である事打ち明けながらに沸いたお湯に茶葉を濾してから口を付けて、ほっと一息つきつつ会話は弾む。
話題は尽きないが、身形を整えている間にも喋っちゃいるが、火消しに洗い物もてきぱきこなしていく。
普段もこういう感じで料理しているんだろうな、と、伺えそうな、
口はずっと凄いているのに手の動きも滞る事ない熟しっぷり。

サウロ > 「! それは嬉しい、お言葉に甘えてもいいだろうか?
 もう口がシェンヤン料理になってたんだ…無性に食べたくて仕方がなくて」

(誘って貰えれば嬉しそうに笑みが弾ける。
 美味しいものが大好きだというように頬を少しばかり紅潮させて、実の所の腹具合を伝えたりもして。
 彼女の作るシェンヤン料理にも興味があるし、首を傾げる彼女からの誘いには是非、と頷くが。
 続く間延びしたような言葉には「えっ」と驚きの表情。
 その心配はしてなかった──というのもアレだが、改めてそう言う"意図"の籠る言葉に、
 わきわきと蠢くその手を見て、指を見て、思わずリアルな想像までしてしまって。
 少し間を置いてからじわりと眦と耳が熱くなる。
 冗談なのか本気なのかがわからない笑みを浮かべる様子も相俟って、困惑混じりに浮かぶ表情は所謂、
 嫌ではない、まんざらでもない、というアレ。それを恥じ入る羞恥心的な。
 「いや、俺は男で、そもそも可愛くはないから……」と焦り混じりの声。
 あんなことやそんなことは性的なことなのかと確認すべきか、お姉ちゃんのところを否定すべきか、
 いやそもそもこれはきっと冗談、本当に冗談?
 とぐるぐる考え込みつつ、色白の頬に咲く朱を隠すように腕を上げ、顔を背ける。)

「……そ、それは、大変だね。
 シェンヤン料理ともなれば、王国の人を雇おうにも発音で苦労しそうだし」

(と、違う話題にぱっと逃げつつ、着替えやら片付けやらを済ませていく。
 基本聞き手に回ることが多い口数が控えめなサウロにとっては、楽しくおしゃべりをしてくれる相手というのは好ましい。
 荷物の中の装飾品もきちんと確認して、まだ生乾きの状態であるズボンや下着はまとめてタオルで包んでしまいこむ。
 そうして帰路につく準備も整えて。)

フー・メイユウ >  
「いいともさ。うちの料理でお腹いっぱいにしたげよう!」

名店と比べられるとなると心許ない。が。
富裕層の店相手となれば自信は無い。が。
不味いなどと自負しちゃあいない。
今まででも一等に輝かんばかりの笑顔へしっかと応えるように腕捲くり、の真似をしながら頷いて。

先に挙げられた料理も材料在庫は確かまだ幾らか……。
目録は手元にないが記憶の限り思い返しつつ献立考え。
ふと。

「……ん? ……ふぅ~~~~~~ん♡」

誂い言葉に。際どい仕草に。下ネタが苦手というには、性事情に弱いというには、色の違う態度と頬の染まりっぷりが目につくと、赤い瞳も薄い唇も殊更、にやぁ~、と、底意地の悪そうな形に歪むし、含みがありそうな声音で何を言うでもないが只の相槌というにも含みのありそうな感じになった。
……ホントに食べちゃおっかなぁ……♡
と、言葉にしてないが表情がそう言ってる。

「ふふ。ふふふふ。そうだねぇ? うん。それはホント。できれば同郷の人か、こっちの言葉が分かる人のほうが良いよ」

話題の変え方ぁ♡ かわいぃなぁホント♡
慌てて切り替える話題にも乗りはするが、
いちいち含みのありそうな反応も交えて。
……それはそれとしてお手伝いさん一人雇うにも色々苦労があるのは本当だ。
中々都合よくはいかない店員事情に一つ二つと頷きながら彼が身支度整えるのを見遣っては、

「納品まで付き合うよ。店の行き方教えてもいいけど迷ったら大変だしね?
 さて。それじゃ、行こっか?」

お尻についた土をぱんぱんと払ってから立ち上がれば来た道、は険しいし、此処から街中目指すに丁度良い道もあるのでそちらのほうを指差してから歩き出す。そのあとは言葉通りに帰り道を一緒してからお店にご案内、もちろん料理を材料不足で納品出来ないという事もなくお料理を振る舞い、それから、それからは……どうなるか。
『……この前は可愛かったねぇサウロ……♡』
等と次会った時嘯くものだがそれが事実か誂っているだけかは、果たして――――

サウロ > (何か含みを持つような相槌にぞわわと危機感からか肌を粟立たせて汗を滲ませた。
 火照った頬を隠すようにしていたが、彼女の反応から察するによくよく見えていただろう。
 底意地の悪そうな、冗談で済ませなさそうな雰囲気に、下手なことを言えなくて困ったように「ぇー…」とか「あー…」とか。
 泉と風で冷えた風も予想外に温まった。恥ずかしさで。
 笑いながらも同郷の人で、となると浮かぶ知り合いが一人いる。年の頃も学生で、帝国からの留学生。
 しかし話題に出すには少々気まずい、アレやソレやをしてしまった少女なので、話題に出すに出せない。
 それもまた思い出してしまって、淫らな慾がむずむずと湧き上がって据わりが悪い。
 落ち着かなければと深呼吸を数度。)

「ありがとうメイ、助かるよ。迷うような複雑なところなのか?」
 
(咳払いをして、火照りをさまして、付き合うとまで言ってくれた彼女に頷きつつ二人でその場から離れていくだろう。
 ────王都へたどり着く頃にはいい頃合い。
 彼女に付き合って貰い依頼人へと装飾品を届けた後、泣きながら感謝されて多くはないが気持ち程度の謝礼を受け取り、
 改めて案内をうけて彼女の店へと。
 招かれて振る舞われたシェンヤン料理を目を輝かせながら美味しくいただき、身体の芯から温まって、それからは……。
 彼女の中で本気か冗談か、それが少しでも本気に傾いたなら──次に美味しくいただかれたのは、サウロの方だっただろう。
 彼女の部屋か、寝台か、はたまた別の場所か。
 その日は店を閉めた彼女に、次会った時には囁かれる内容が事実になるように"可愛がられた"結果になったはず。
 上か下かはさておき、優位性は常に彼女が握っていたことだけは、確実だ──。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からフー・メイユウさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からサウロさんが去りました。