2023/08/31 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」に悪戯妖精さんが現れました。
■悪戯妖精 > きらきらと水面が美しく揺れる泉がある。
妖精の泉と名の知れた魔力を含んだ透き通った美しい泉。
飲み水にもできるし、錬金術や魔術の素材としても知られていて、滾々と湧き出ている。
遮るもののない開けた場所。
冒険者たちの野営地の一つとしても使われるその場所に珍しく、妖精たちが集まっていた。
魔力のない者には見えない。
魔力のある者にはふわふわと様々な色で発光する15㎝ほどの浮遊する光。
悪戯好きな妖精たちは、訪れた者に様々な悪戯をする。
それはきっと、王都でも有名な話。
その中でもひときわタチの悪い妖精たちがいる。
人を惑わして、人で遊ぶのを愉しむ無邪気な妖精たち。
────果たして、そんな彼らの餌食となってしまう者は、現れるのか。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にユーゴさんが現れました。
■ユーゴ > 目的の場所を目指して街道を進めば、遠巻きに珍しい景色が広がっているのが見えた。
浮遊する色とりどりの光。
「おや――……珍しい。」
それが、泉の名称にもなっている妖精だとはすぐに理解した。
傍から見れば美しい景色、で終わらせられるだろうそれが、
一歩間違えれば危うい状況に陥るだろう事も同様に。
王都を出る前に少々怪し気な雑貨店で買った、妖精除けの香を詰めた匂い袋はベルトに吊ってある。
無意識下で匂い袋がある事を指先で確認しつつ、徐々にと泉へと近付いて行き。
■悪戯妖精 > 「わぁ、人間だ」
「人間じゃないよ、エルフだよ」
「本当だ! 耳がながいや!」
「え~でも人間の気配がするよぅ?」
「じゃあ人間とエルフのはんぶんこじゃない?」
「みてみて、人形みたいに綺麗な顔だよ」
「男かなぁ? 女かなぁ?」
泉に近づく貴方の耳に、そんな楽しげに笑う声が聞こえてくるかもしれない。
幼子のように高く、少年とも少女ともわからない声域が複数。
隠れる場所も遮るものもない泉周辺に近づいてくる姿は、妖精たちにもよく見えていた。
だからふわふわと浮く光は、好奇心から貴方のことを見つめている。
「やだ~ボクらのきらいなにおいがするよぉ」
「ずるいずるい、いじわるだ」
「ひどいひどい、あんまりだ」
ベルトから下げられている妖精除けの匂い袋に反応した妖精たちは、口々に文句を言い始めた。
しまいにはふぇぇんと泣き出すような声まで。勿論泣き真似である。
遠巻きにふわふわ、泉の上で浮遊する色とりどりの光は、匂い袋を嫌がってあまり近づいてこなさそうだ。
この状態なら害はない。────が、少しでも妖精の声に反応してしまったら、大変なことになる。
■ユーゴ > 泉へと近付くにつれ、聞こえてくる楽し気な声色。
街中であれば微笑ましく思えるだろう言葉も、
今の状況では危うさばかりが募るのは致し方ないのだろう。
一見すれば純粋なエルフと変わらぬ見目も、
”人の血が混ざっている”と小さな隣人達には理解されてしまうのだから。
「―――……、」
ふ、と浅く吐息を逃がす。
警戒は解かぬ儘、視界に入り込む彼らをなるべく意識の外から追い出し、
泉の畔まで歩み寄れば腰裏に吊ったマジックバッグから細長いガラス瓶を取り出す。
怪しげな店ではあったが、どうやら匂い袋はちゃんと効いているらしい。
然し、不平を紡ぐ妖精らの声が耳へと届き、薄く眉宇が寄る。
妖精だと分かっていても、女子供には滅法弱いものだから、要らぬ罪悪感が刺激されてしまう。
その内、泣き声まで聞こえてくれば、意図して背けていた視線が、思わず色とりどりの光へと移ろい。
■悪戯妖精 > 「ねえねえ、おにいさんはどこから来たの?」
「ねえねえ、おねえさんはなにをしてる人なの?」
長く美しい髪に均整のとれた顔立ちをしたあなたを、おにいさんともおねえさんとも呼んで妖精たちは無邪気に声をかけてくる。
泉の畔で泉の水を汲もうとしている様子を複数の光が環視しているかのよう。
匂い袋のせいで傍によることはできないけれど、話しかけることはする。
幼い泣き声につられるように、妖精たちの方へと視線を向けた貴方にはどうやら見えているようだと、妖精たちも気付いたようだ。
悪戯妖精たちは、人間のことが大好きだと言わんばかりの楽しそうな声で、貴方に声を掛け続ける。
「ボクらの声は聞こえてるでしょう?」
「ボクらの姿も見えているでしょう?」
ゆらゆらと幻想的に泉の上で踊るように舞う光の珠。
妖精のひとりが、えいっ、と幻惑の魔法で悪戯をする。
泉の水面を覗きこんだら、貴方にとってとても恥ずかしい姿が映るかもしれない。
貴方の記憶から反映するもの、貴方が思い出したくもないような恥ずかしいものがあればの話。
どんな反応をするだろう、と楽しそうに妖精たちは見下ろしている。
■ユーゴ > 口々に語りかけられる台詞は耳に届く色の儘、邪気の無いものなのだろう。
ただ、それに反応するべきではないと言う事は、嫌と言う程理解してもいる。
だからこそ、意識を逸らし、口を噤んでいた。
然し、心身に染みつく反射までは抑えられなかった。
妖精らの存在を知覚している事を悟られた、と気付けば、困ったように眉尻が僅かに下がり、再び視線を逸らしてしまう。
遠巻きにされている今であれば、まだ。
気を取り直せば、彼らの声が聞こえないフリを続け、コルクを開けた瓶で水を掬おうとする。
「――――――」
不意、水面に映り込む情景に思わず息を呑んだ。
記憶にもまだ新しい、散々打ちのめされ、嬲られ、身体へと刻み込まれた他者の熱。
抗い切れずに受け入れ、最後には自ら求める羽目になった――惨めで、淫らな己の姿だ。
怒りとも羞恥ともつかぬ情動に、一気に上がった体温で耳殻までもが朱色に染まる。
動揺したのか、瓶が手から零れ落ちれば水面を撓ませ。
■悪戯妖精 > 「あははっ、えっちだ! えっちしてる!」
「わぁ、やらしいんだぁ!」
「ふふふ、お耳まで真っ赤になってるよ?」
「ねえねえ、おにいさんはえっちがすきなの?」
「おねえさんのことなんて言うかしってるよ、インランっていうんだ」
無邪気に笑う声が響いていく。
水面に映った光景は妖精たちにも見えてしまったらしい。
それを見た妖精たちは口々に貴方を辱めるような言葉を言う。
人に知られたくなどないだろう恥辱の光景を見られた貴方の動揺。
白磁のような頬から耳まで赤く染まる様子。大きな感情の揺れは、妖精たちの大好物。
水面が揺れ、瓶が泉の中に入れば、妖精たちがそれを奪ってしまう。
濡れてきらきら光るガラスの細長い瓶を、なにこれ~と楽しそうにのぞき込んだり揺らしたり。
「ねえねえ、返して欲しい?」
「でもボクら、その匂いがきらいなんだよね」
「近づけないよね」
「どうしよっか?」
「ふふ、どうしよっか」
「ボクたちと遊んでくれたら、返してあげてもいいよね?」
「賛成~!」
悪戯妖精たちは次なる悪戯を考えている様子。
瓶を取り返すのに武力を行使するか、あるいは遊び相手になるか、諦めて出直すか。
この妖精たちを危険だと分かっている貴方次第。
■ユーゴ > 「ちが――――……ッ、 ……、」
無邪気だからこそ、深々と突き刺さる言葉。
羞恥と、屈辱と、怒りと。
感情が綯交ぜになって、違う、と口を突いて出そうになる。
それを咄嗟に片手で覆い隠すが、見せられたものに動揺してしまった時点で時すでに遅し、だ。
泉へと落としてしまった瓶は、早々に奪われ早速と彼らの玩具になっている。
微かに震える呼吸を、細く、長く吐き出した。
体温は下げられぬ儘ではあるが、動揺を一時鈍らせられればそれで良い。
空いた片手の平を上向かせ、緩い動きで彼らの方へと差し伸ばし、緩やかに唇が開かれる。
『遊びの時間は終わり――――だよ、小さな隣人達。
それを返してくれ。』
紡いだのは、普段使う言語とは異なる、彼らの繰る言葉。
力で捻じ伏せるでも、妖精の遊びに付き合うでもなく、己の取れる手段では一等穏便な手段だ。
無論、彼らが素直に聞いてくれるか、は、定かではないのだが。
■悪戯妖精 > 人とエルフの血を引く彼が紡ぐ妖精たちの言葉。
それを耳にした妖精たちはふわふわ浮かんでいたのが一斉に止まる。
じい、と光の向こうから小さくて無数の目が覗いてくるような様子。
不意に光がいくつかはじけだし、そこには不可視であった妖精たちの姿があった。
15㎝ほどの小さな体、色とりどりの長い髪に、身体には葉や花が巻き付いたような体と衣服が一体化したような姿。
その背には妖精らしい半透明な羽根が映えている。
同行のないガラス玉のようなたくさんの目が、貴方をじっと見て。
「なぁんだ、ボクらの言葉が使えるんだ」
「ちぇ、つまんないの~もうおしまいかぁ」
「ねえねえどうしよっか」
「でもあんなにきれいなのになぁ」
「わかる、きれいだよねぇ、もったいないなぁ」
妖精たちはこそこそと話し合う。
貴方の美しい容姿を妖精たちは気に入っている様子。
妖精語を喋れることも妖精たちにとっては珍しいこと。
けれどおしまいと言われてしまったら、それは妖精たちにとって自分たちを追い払うのと同じなのだ。
残念、と口々に言いながら、ぽちゃんとガラス瓶を泉に落とした。
水を吸ってない瓶は水面にしばらく浮いたけれど、時間が経てば沈んでしまうだろう。
「みんな、いこ~」
誰かがそう言って、再び光をまとった妖精たちはふわふわと飛び去っていった。
静寂が戻る泉で、貴方は無事に目的を果たす事が出来る筈だ────。
■ユーゴ > 漂う光の動きが止まる。
時が止まったかの様な錯覚すら覚えたのはほんの一瞬で、吹き抜ける風の鳴らす葉の擦れる音や、水面を揺らす音で時間の鈍りは直ぐに戻った。
視線が四方から向けられている感覚に、知らず息を呑み――目の前で弾け消える光の玉。
そうして現れる小さな隣人達の姿に双眸を瞬かせる。
小さな体躯や、それを彩る色彩。背中から伸びる羽根だけを見れば、至極愛らしい姿がそこにある。
「――――……。」
密やかに紡ぎ合っている様子は見えるものの、内容までは聞き取れず、彼らの反応を見逃さぬよう、静かに視線を向けていた。
やがて、彼らの中で落着がついたのか、その体躯から手放されるガラス瓶。
妖精らの中の誰かが告げた一言を皮切りに、再び色とりどりの光となって去っていく。
先程までのさざめきが嘘のような静かさに、漸く詰めていた呼吸が逃げた。
「……はー……、」
無邪気であるが故、の素直さに助けられた。
人間の理は通じなくとも、妖精の道理は通る、ただひたすらに無邪気な存在、なのだろう。
――今の所は。
深い溜息を逃がせば、泉へと手を浸し、沈みつつある瓶をそのまま水で満たしていく。
必要な数を手に入れるまでは、今暫く作業に取り掛かる事になるのだろう――――。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」から悪戯妖精さんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からユーゴさんが去りました。