2023/08/22 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にレナードさんが現れました。
■レナード > 王都郊外の自然地帯にある森の中。
比較的出没する魔物の強さも低く、採集依頼などで常時発行されている
傷薬や解毒薬といった消耗品の原料となる薬効植物が自生する為
成りたての冒険者や経験の浅い冒険者達は、このエリアで経験を積み
資金を稼ぎ、冒険者としての格を上げる為に己を磨いたり
パーティによる連携の練度を高め、次のステージへと上がって行く。
言わば登竜門とも言えるような場所。
――だがその森に異変は起こる。
初級者向けと位置付けられたエリアよりも更に奥深くに
棲んでいるはずの魔物が、いつしかはぐれ現れて
このエリアを自らの縄張りと定め、採集依頼や簡単な討伐依頼を受けた冒険者達を襲い、重傷を負わせる事案が発生した事により
ギルドは該当する魔物の討伐依頼を発出し、丁度その依頼を見つけ
報酬額と依頼内容を確認した上で、メリットを見出したこの男は
単独で受注した上で、消耗品に装備などを用意した後に
一人森の中へと入っていった。
「―――…お~ぉ~…荒ぶってんなぁ…コリャ。」
足跡や木々に残る痕、糞をした時間などから
凡その行動ルートを推測し、後は斥候の代りすら可能とする己の眼を頼りに
魔物へと着実に接近して行き――会敵。
漆黒の体毛を纏い、突き出した二対の野太い牙持つ巨大な猪の魔獣。
中級の冒険者であればパーティを組み前衛のタンクで突進を防ぎ、後衛による魔法攻撃で削り
前衛寄りのアタッカーが物理ダメージを与え仕留めるのがセオリーの魔獣。
牙には歴戦の証か様々な傷を残しながらも、その太く鋭い牙は
巨大質量に任せて突き刺さったのならば、この男程度簡単に貫通し命を落とす。
鼻からは怒る様に鼻息を刻み、その瞳は明確な殺意を持って
視線の先に立ち、その様子をゆるい言葉で紡ぐ男へ向かって行くため
前足は、地を何度も掻き、力を貯め込んでいるのだった。
■レナード > 今まさ突進を敢行し、その巨大質量で己を身を木端微塵に砕くか
或いは、その牙で貫き只の肉塊へと変えるか。
どちらにしろ、前衛不在に後衛もない単独行動。
死んだら死んだで、見極めを見誤った自身の未熟と簡単に割り切り
討伐対象である魔物と相対し、持参した愛刀である太刀を左手に持ったまま、右足は前へと出し歩幅を肩よりも僅かに広く取り、腰元に
太刀を構え、右手は柄へと伸びて鍔元の縁を触れるか否か。
敵対の構えを見せたと、荒ぶる魔物の眼に男の行動が映った事で
魔物は、貯め込んだ力を爆発させるかの如く、その巨体を支える4つの足は、大地を蹴り込み地を抉りながら迫ってくる。
「――…も~ちょい…もうチョイ………―――ッ!」
迫り来る死へと誘う巨大質量を前にしながら、男は何かを測るかのような言葉を紡ぎ、呼吸を整えて刹那――
巨大な魔物とただの人間が正面より相対するかのように
深く地を蹴った男はその動きの残像も残さぬように
一閃となり駆け抜けてゆく。
そして魔物に砕かれる刹那の時に鍔を左手の親指は押し、
右手は鍔元を握り刹那の一閃に、鞘より走り抜かれた刃は
分厚い魔物の毛皮を断ち、肉を裂き、骨を寸断し――
両社は交錯することも無く互いに駆け抜け、距離を取り沈黙。
――しばしの後に、討伐対象であった魔物はその頭が身体からズルリと滑り、大地へずれ落ちた後
命を失った肉体もまた巨大な音をたてて、巨体は大地へと崩れ落ちたのだった。
■レナード > 男には背後で其の巨体が大地へと倒れ振わせる音が届く。
だが、走り振り抜いた太刀は未だその構えを解かず。
切っ先からは肉を断った際に付着した血と獣脂が僅かに残る。
「―――…ぁ~…まだまだあのクソジジイにゃ及ばないかねぇ…。」
聊かの悔しさを滲ませた様な言葉を紡いだ所で、残心を解き
付着した血脂を太刀を一太刀振い払落し、鞘へと刃を収め行く。
そして、仕留めた魔獣の方へと向けば、その遺体へと歩み寄って行き
「――…ま、運が無かったって事で、迷わず成仏してくれや。」
東方の文化である死者を弔い成仏を祈るらしい風習
両手を合わせてしばし拝み見送り――。
それが終わればお楽しみの解体タイムとばかりに
腰に差した解体用のナイフを抜き取れば、まずは腹の分厚い皮へと
ナイフを突き刺してレッツ解体。
肉は皮から綺麗に切り取り、皮も可能な限り傷をつけないように開く。
薬などにも使えるらしい内臓類もしっかりと避け
あとは討伐の証として、2対の巨大な牙を太刀で切り落とし
使えない部分は腐る前にと、地面を掘って穴を作り纏めて埋める。
「――フーッ……これで、ヨシと…。
どん位の値になるかねぇ…っと、まぁ、そ の 前 に
肉はちょい味見しますか!」
現地入りし探索し、仕留めるまでの間に既に日は傾いてきている以上
今夜はこの辺りで野営をするしかなく
身を預けれる位な太さの木へと、解体した肉の一部をもって
その根元に腰を下ろせば、その周りの折れた枝やら枯葉やらを集め
持参した火打石で火を点け、今夜の夕食となる猪肉を焼き始める男だった。
■レナード > お一人用の小さな金属スキレットを、熾した火を囲む積んだ石の上において
序に拝借した獣脂をスキレットの上溶かして熱する。
脂が溶けて十分に温度が上がったのを確認した後に
ナイフで肉を適当な大きさに切り分けて金属鍋の上へ。
ジューッ、と鍋の上で熱せられた肉に含んだ脂が弾ける音
火が通る事で香るジュ―シーな匂い。
更に更に、持参していた各種香辛料で獣臭さを消すこまめっぷり。
「~~~♪」
肉を焼くことに夢中に見えるかのように、鼻歌交じりのご機嫌な様子だが
自身の周囲への気配探知に、四方への威圧による弱い魔物への
警戒は、中級の冒険者である以上忘れてはいない。
張り続けている圧へと何者かが掛かったのならば、その鼻歌は止み
太刀へと手を伸ばしはするだろうが
今現在は、ご機嫌クッキング中な男が森の中に居た。