2023/08/18 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 川辺」にテンドンさんが現れました。
■テンドン > みーんみんみんみんしゃわしゃわしゃわしゃわ。
ひっきりなしに降り注いでくる蝉の声。
街道からほんのりと離れた場所に走行している川辺にへと本日はやって来た。
水辺の植生は豊かであり、育った木立が並びその下には一切手入れされていない原生の下生えが揃っている。
それらの木々の幹に先ほどから合唱を続けている蝉たちが、張り付いているという訳なのだ。
「うるさいなーと思えど、余命僅かと思うと儚くもあり…夏の風物詩だよねえ」
凸凹としている地面をてくてく慣れたように昇り降り。
今日の道具。
手には少し湾曲している結構分厚くて頑丈なナイフ、腰には頑丈な革製のナイフホルスター。
目の前で腰の高さ以上にあったりして邪魔な草や、頭にぶつかりそうな枝をザッザッと刈って払い落とす。
もう片方の手には蓋つきのバケツ、まだ獲物は何も入っていない。
手首にはスリングの紐縄が括られ、直ぐ確保できるように石弾が結わえ付けられている。
そして肩には長い竹製の竿と蚕の吐き出す繊維から糸加工したテグスの釣り糸がぶらぶら揺れていた。
頭には日よけの麦わらを編んで作ったつば広の帽子。手製であり耳が飛び出すように穴が二つ通してある。
■テンドン > そのまま川辺にへと移動。
水のせせらぎ。
此処は余り人里には面しておらず。
生活用水が流される事もなく、割合に綺麗な清水が流れている。
透明度の高い水面の下には木漏れ日をきらきら照り返す川魚が泳いでいるのが透けて見えた。
「ごきげんよーう、本日の昼ご飯さん達」
にまー、笑顔。
此処は釣りの穴場であるのだ!
ほぼ知られていないに等しいので釣り人も来ない!
競争相手無し!釣り放題!
配達で死ぬ程街道を行き来を繰り返す中で発見した場所なのだ!
流水で研磨された砂利が転がる川辺をブーツで踏んづける、じゃりじゃり。
そのままざぶっと川面の方にへと足を踏み込んだ。
注意すべき足場に慎重になる、滑って転んだりして負傷したら本当に誰も来ない場所だから。自己責任。
■テンドン > 後は見た目のゆるそ~な流れに騙されてはいけない。
思ったよりも強くて足を取られ水没、溺れる!みたいな事も珍しくない。
流れの具合を浅く浸かった足で確認しながら、水底に直ぐ足裏が着く浅瀬周囲を渡る。
中央部分は割合に深いので近づかない。
水は危険。自然豊かな場所の水棲生物は無害な魚とかばかりではない。
此処周辺では余り見掛けないけれども、デンジャーで危険な魔物とかも居なくもないのだ。
転がっている石とかを手でひっくり返し、底に隠れている虫を確保。
餌も新鮮な方が魚の食いつきも良い!
現地調達にしないと大抵において此処に来るまでに餌は死んでしまうから。
「んー…良い場所……」
きょろきょろと周囲を眺めて見渡す、釣りの良いスポット探り。
足場がしっかりしていて、それでいて見晴らしの良い場所。
少し小高い岩地の辺りにへと足を向けてぴょんぴょん跳ねるように登る。
平たくて踏みつけやすい小高所に持っていたバケツを置いた。
あ、忘れていた、釣果が出来た時に備えて川の水を軽く汲んでおく。
■テンドン > 「♪~~」
ハミングはささやか、周囲の蝉たちの流すコーラスに紛れる程度。
慣れた手使いで釣り針に採取したばかりの虫を結わえ付ける。
そして見下ろす向こう側に緩やかに流れる川面に向けて投擲!
ちゃぽん、と、水着した針が括った錘と共に水の中に沈んで行く…。
「…っしょ」
岩場を軽く手で払った後に座り込んだ。
体育座り崩れの恰好で膝の間に竿を挟んで軽く固定。
竿の根本には鈴がつけられており、糸がもしも引かれたらりんりん音を出して直ぐ解るようになっている。
■テンドン > 「後は待つだけ~」
釣りで大事なのは辛抱強さなのだ。
後は待ちやすいように腰かけている位置を微調整する。
差し込んで来る木漏れ日から外れて日陰に入るように。
そうしないと日差しの浴び具合で斑なかっこわるい日焼けになってしまう!
「…大きいのが釣れるといいなー」
此処まででやっと釣りの準備万端、後は待つだけ。
持ち込んだ水筒で水分補給を適度にしながらぼんやりしている。
勿論ただぼんやりしているだけではなく、帽子から突き出した耳はぴこぴこ時折揺れている。
周囲にアンテナみたいに耳を向けて音を拾い上げているのだ。
注意一秒、怪我一生、警戒は怠るべからず。
■テンドン > 「よっ」
ぱしゃ、時折水飛沫が水面に軽く散った。
魚達もお腹を空かしているに違いない。
ぱくりと食いついた奴をすかさず釣り上げる。
小振りなものが多い。
名前とか魚種とかそういう詳しいのは良くわかんないけれども、
フリットにしたら美味しい奴、焼いたら美味しい奴、生で食べてもイケる奴、食べたらお腹壊す奴、みたいな経験則で分類する。
バケツの中がみるみるうちに小さなアクアリウムになってきた。
■テンドン > 「いや、君は要らないかな~」
釣れるのは魚ばかりでもない。
水棲生物の種類は非常に豊富。
餌に食いついて来たでっかいザリガニのハサミを外す。
ぽいっちょ、放り投げたリリースが川面にぽちゃんと音を立てた。
沢に棲息している蟹とかはバケツの中に仲間入りさせる。
お店に並ぶようなでっかいのじゃなくて、小さい奴。
油で揚げるとそのままカニ煎餅みたいにイケるのだ。
■テンドン > 「…これぐらいで良いかな」
バケツの中の成果は程々に良し!
来た時よりもグッと重たくなったバケツを手に取って持ち上げる。
くるくる巻き上げた釣り糸を竿に巻き付けて捕獲。
新鮮さを考えるならばこの場で魚はシメておくべきかも知れない。
だが、此処で捌くと内臓や血の匂いでヤバいのが来る危険性があるのが悩ましい所。
「てっしゅー!」
余り長居はせぬが吉というもの。
そのまま場を去り行くのであった!
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 川辺」からテンドンさんが去りました。