2025/04/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にシアンさんが現れました。
■シアン > 雲一つない快晴とうららかな日差し。
春風が優しくなびき心地よい正午過ぎ。
徒歩、馬、馬車、稀に空飛ぶ箒、更に稀に見たこともない絡繰仕掛けの何か、等、等、
人種やら種族やら老若男女やらが各々に各々の手段を用いて行き交う『まれびとの道』。
全域、ではないが、王都近郊の街道には警らが立っている事がある。
警備強化月間だとかそういう名目で色々と。
王都直轄の騎士であったり冒険者ギルドからの出向であったりとそこもまた多種多様。
「ん~……」
王都の壁が遠~~~くに薄っすら見える、ような、見えないような、そんな位置に配属された冒険者は眠たそうに伸びをする。
「……お昼寝日和過ぎだろ……」
小春日和にぽかぽかと照らされて。心地よい風がさらりと肌を撫でて。草原がなびく音、小川がせせらぐ音がそよそよと聞こえてくる。
目を閉じたらそのままうっかりと眠ってしまうだろう日和にぼやきながら街道からやや外れた草地にあぐら座りであくびを噛み殺す。
仕事中である。仕事中でなくとも不用心でもあり眠るわけにはいかない。
「あともうちょぃ……」
そう、あともうすこしで勤務時間は終わる、そうしたら王都に帰って宿で昼寝でもしようかと考えていたら、
「ぁふぁ~……」
またあくびが出て今度は噛み殺せなかった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にキサラ・エトワールさんが現れました。
■キサラ・エトワール > 「ちょっと」
少し険のある声が、欠伸をする彼へとかかる。
同じ場所に割り当てられた別の冒険者。年は若く、外見はこの国の人間らしく麗しい。
両手にグローブと指輪を嵌め、整えている髪型は冒険者としては身なりに気を遣いすぎている。
が、仕事に対しては非常にまじめ。真面目過ぎるほどに真面目という印象を与える少女。
「もうすぐ終わりとはいえ、いちおう仕事なのですからもう少し真面目に……」
と、言いかけて。自分も口を大きく開きかけて、なんとかそれを無理やり嚙み殺す。
「……失礼。やっぱりこの空気は眠くなりますね」
真面目ではあるが気候や自然、そして本能の誘いには敵わないということか。
彼と比べると二回りも小さな体躯。それでも全く物怖じする態度はなく。
この仕事を始めてしっかり真面目に警備をしているが…。
暇が多すぎるせいで時々筋トレなどをしているさまを見かけただろう。
「何もないのはいいことだけど、ここまで暇だと逆に時間を持て余しますわね。
まぁ、冒険者の仕事と言ってもこういったものが大半ではあるんでしょうけど」
■シアン > 「ん~……?」
すぐ近くから飛んできた物言いに気の抜けた返事と、ぼんやりと半眼の金の瞳が向く。
見ず知らずという顔ではないが挨拶をギルドですれ違い様にするぐらいの、
組むのもまともに話すのも“改めてはじめまして”ぐらいの女の子。
ちらりと小耳に挟んだ程度の話や身形からして、いいとこのお嬢さん、だったような……?
「ふぁ、ん、うん、そだなぁ、ごめんごめん。あんまりにもほら、平和なもんだからついさ」
叱責に、大きな掌がゆらりと持ち上がっては胸の前へと立てて謝罪のポーズ。
叱責途中で飛び出かかった欠伸に口端がつい緩んで笑気に謝罪の言葉が揺れた。
「そう、つい、眠くなっちまう、帰ったら昼寝~とか考えてたから余計によ」
革製の衣類を纏っていて、尚体格が良いのがわかり、厳しい面構えに目元の化粧でさらに強面感増々……
如何にも荒々しい所作や言動が似合うようでいて喋ればこの通り緩~い感じで小柄な彼女にも謝るし欠伸も一つ笑って済ます、のんびり具合。
寝ぼけ眼の視界の端で時折暇を持て余していた様子を目にしていたが、眠くなるよね~、と頷きながら、
「いいこったよ、野盗が出たの魔物が出たのしてみろ、折角のいい天気といい匂いが台無しだ。
冒険者の仕事もまぁ色々あるが血腥いのも少なくはないぜ? 討伐なんか返り血でくせぇのなんの」
そのあたりはあんまりやったことねぇ? とか首を傾げながら暇つぶしがてらに世間話。
■キサラ・エトワール > 緑色の瞳が金と混ざり合う。
如何にも真面目ですといった顔の少女が、男を見て。
実際のところ、交友関係らしいものはなく、今が初めて碌な会話をしていると言えるだろう。
シアンに関して、少女はあまり知らないが。
「昼寝ですか。眠ることに時間を費やせるのは羨ましいことですわね」
嫌味なようだが、本心だ。
学業と兼任して稼いでいるせいであまり時間が取れない故に。
そういうところで時間が取れる彼を少しばかり羨ましがる。
まぁ偏に自分に課した自分自身の制約なので、文句は言えないし。
それを曲げるつもりもないのだが。
「まぁ空気が台無しなのは間違いないですわねぇ。
血生臭い仕事自体はそこそこやってはいますわ。
魔物退治とか、魔獣の狩りとか間引きとかですわね」
などと言いながら、強面な彼に威圧されることなく話し始める。
少女自身の性根故か。差異に対する物怖じは一切なく。
そうでなくても、彼自身の穏やかな雰囲気が話しやすくしているのだろう。
「そういえば名乗ったことはありませんでしたね。キサラ・エトワールと申し上げますわ」
■シアン > 可愛らしい顔立ちに真面目と書かれているような表情を乗っけた女の子に、目端も口端も緩んだ笑みはそのまま。
冒険者とはいえ見目こんな厳ついのと見目こんなに華奢な女の子を組ませるのは如何なものかと傍目には見える。
只、組ませた受付から少女には、“乱暴するような人じゃないから大丈夫”とは言われているかもしれない。
「時間、費やせねぇの? 若ぇ身空でそれはいけねぇ、なぁんて、言うのは簡単だが……
俺も若ぇ頃は、いや、今でも若ぇけどもっと若ぇ時分は寝る間も惜しんで鍛えてたわ」
一見もとい一聴嫌味にも聞こえるがそうではないと語調の柔らかさから察する事はできる。
ふははははは、と自分を物凄く棚上げした忠言をしようとしたが取り消して笑い声を上げた。
寝る間も惜しんで励むべき事があるのだろう、と、当たりを付けつつ。
「そうそう、平和が一番よ、平和じゃ食いっぱぐれる冒険者が言うのも何だけどさ。
間引きや討伐はたまにやらんでもないからそのうち一緒になるかもなぁ? そん時も宜しく頼むぜ」
見目で怖がられるのも慣れたものだが物怖じしない姿勢は話しやすくて助かる。
まぁ気の強ぇ子だね、と感心も含みながら、たまに目線が外れて向くのは街道、
『異常なし』を確認してから戻って世間話はしつつのちゃんと仕事も一応。
「ご丁寧に。シアン・デイエンだ。偽名っぽいか? 偽名だからな。
おっと、信用してないの何のそんな難しい話じゃねぇんで気分悪くしねぇでくれ。
……ふっ。謎めいた男って格好良くねぇか、そーゆー、めっちゃ簡単な話さ」
どやあ。とでも言い出しそうで顔にはがっちり書いてある、どや顔披露しながらサムズアップの、実に残念な名乗り。
■キサラ・エトワール > 緩んだ笑みを向ける彼に対して少しばかり疲れ気味の笑みを見せる。
彼の人柄について、受付から信頼を得ているので。
せいぜい少しばかり不真面目程度なのだろうと思って接していた。
「ふふ、鍛えるのは私ももちろんやっていますからそこは同じようですわね。
眠るのも、成長の一瞬ゆえに疎かにはしないようにしたいのですが。
如何せん学業もしっかりやるとなると寝る間もそこまで惜しめないのですわ」
豪快な笑い声に気を良くして、少女は話を続けていく。
気さくな様子の彼。冒険者としてはあまり名は聞かないが。
それでもギルドの人間から信頼を得ている様子が受付からは見て取れる。
ゆえに、頼ってもいいのだろうという判断が口調を軽くしていた。
「一緒ですか。私はこう見えてジョブとしてはモンクに入りますの。
より正確に言うと魔術師と格闘家の合わせ技ですが、そこは置いといて」
彼の視線を追って、しっかり周囲を見ている姿を確認する。
やはり、不真面目そうに見えるがしっかりやることはやっているのだろう。
そう思えば、より険が顔からは取れていく。
「偽名を自分からばらしていくのはなんともユニークですわね。
面白い人、というのはあなたのことを言うんでしょうか?
ふふ。……スタイルは自分を表す。そのカッコよさを貫けるなら。
よりかっこよくなると思いますわ」
クスクスと。そんな彼のサムズアップを見て笑う。
「まぁ、またのんびりできる時間に仕事はしたいものですわね。
血生臭い場所ですと、こんなに穏やかに話すなんてできませんし」
■シアン >
「ふむ、わかる、わかるしお節介なのも承知だがちょっと心配にもなるな……?
香でも一つ紹介しよか、苦手な匂いじゃなけりゃぁいいんだが少し甘い匂いの。
よく眠れるしお目覚めも良くなる類のだ」
ふと陰った笑みに滲んだ疲労を見つけると、首を傾げて視線を逸らして考え事を僅かばかり……
一つ頷けば『良ければだけど』と前置きを置いてから疲労回復に効果のある香をどうのと提案。
「北方帝国由来の品だが舶来品で結構な数が出回っている。
俺が調合してやってもいいが今日はじめましての野郎の贈り物は不安だろ?
興味があったら探して焚いてみるといいぜ」
幾つかの名前があるのでそれや香りを告げてから、後は彼女に任せる算段であった。
「モンクか、そうだろうな、いや、さっきからちらっと目に映るだけでも歩き方からして結構なもんだ。
俺も同類っちゃ同類っつーか結構似たとこあるんじゃねえかな? まあ、仔細は何れそん時にでもな」
しー。と、人差し指を立てて唇に添えてはウィンク一つ。
明かして困らないにせよ手の内を初対面の人間に、同僚とはいえ、そう喋るものじゃない。
そんな冒険者の先輩としてのちょっとお節介なアドバイスを悪戯っ気な笑顔と所作で告げ。
「ちょいと調べりゃこの名前が人の名前じゃないだなんてすぐバレちまうからさ。
後で、この人こんな名前を……なーんて思われても面倒だ、つー処世術もある。
それ半分、かっちょええと思ってんのももう半分てとこだな」
名前についてのあれこれは、彼女の笑みにつられてまたくつくつと笑気を上げながら。
何度目か街道に視線をやって彼女に戻るを繰り返すなか、ふと、日差しの方向にも目が行き、
「だよな、そう願う、いやしかし、こうして喋ってりゃあ退屈な仕事もあっという間、そろそろ上がりどきだぜ。
街まで直帰すんなら一緒に行くか。時間があんならうまいもんでも食わせてやんよ、疲労ってのは、寝んのと食うのが一番さ」
懐から懐中時計を出して改めてもそろそろ警らの契約終了時間である。
ほら、と時刻を出して見せながら、帰り支度によいしょと立ち上がっては得物の鉄杖も腰に下げ直しつつ、王都の方角を顎でしゃくる。
■キサラ・エトワール > 「あら、心配してくださるのね。ありがとうございますわ先輩。
……ふむ。香ですか。同室相手が問題なければ一つ買ってみようかしら。
今度それを確認したら聞かせてもらいますわね」
その提案を快く受け入れて、朗らかにキサラは微笑む。
「あらあら。見るだけで分かるなんて、それなりに経験はあるようですわね。
まぁ若輩者なのはどちらかというと私ですし。おかしくはないでしょうが。
……おっと、そうですわね。別に敵になるわけではありませんが。
自分自身の情報というのは少ない方がこういう場ではいいものですしね」
その悪戯っ気な笑みと指の動きに、クスリとまた笑う。
一々見た目に対して、面白いところを見せる彼に気を許してもいいだろう。
とはいえ、今回がほぼ初めて故に気心が知れた仲というほどではない。
「おや、先輩は太っ腹ですわね。そういう気前のいいところはとても助かります」
杖を持ち上げて、街へとそろそろ戻る時間だとわかると彼女も頷く。
奢られる気マンマンの姿は、あるいはそういうところは年齢相応と言えるかもしれない。
「時間としては問題ないので、そうですわね。量を重視して食べたいですわ。
……食いしん坊なんて思わないでくださいまし。
体を動かす以上、しっかり食べるのは当然でしょう?
あなたも……結構食べるといううわさも聞きますしね?」
などと笑って、彼に促されるまま、自分も一度懐中時計を見て。
予定時刻だと確認すればともに歩き出すとしよう。
■シアン >
「なあに、お礼言われるほどのこっちゃねぇさ」
ゆらり、大きな手を大きく緩く揺らして、本当に何てこともなく笑い、
ルームシェア? 相手が居るとの事で諸々確認して云々に一つ頷いた。
「十余年はこんな稼業やってっと見る目も腕っ節もそれなりにゃなぁ?
人間ってぇのは喋らんでも立って動いてるだけで結構情報が漏れる、
用心深すぎてもいけねぇが用心するに越した事はない」
この配置に付いた時より、あくびに声を掛けてきた時より、随分
柔らかくなった声色や表情から滲み出る朗らかさを見遣る。
何なら自分を信用するなとも取れる言動はしつつも険が取れる様子は嬉しいものでそこは嬉しい。
相変わらず表情は緩いままだがそこに喜色も滲ませながらくつくつと喉を鳴らして笑い合って、
「後輩に飯も食わせんで先輩面だなんて悪ぃ意味で笑えるだろ?
そーゆーことさ、遠慮しなくていいからどーんと任せときんさい」
どーんと、のあたりで分厚い胸板を大きな握り拳で叩けば、どんっ、と結構大きな音を立てた。
「じゃ、食いしん坊の、うん、食いしん坊の、キサラちゃんのために量も美味さもある美味い飯屋を紹介してしんぜよう」
そんなふうに思わないで、のあたり聞いていないわけない癖にわざわざ二度も強調してからかう悪い先輩。
ふははははは! と底意地悪く口端を弛めて、やや態とらしいぐらいに笑い声を上げては歩き出す。
二~三発ぐらい小突かれたかもしれない。
王都の門は薄らぼんやりとしているがこうして歩いていれば退屈な任務もあっという間だったように到着もあっという間。
前言通り、量もあれば質も良く、お値段は流石にそう安くはない店を紹介してから……
二人してかなりの量をがっついて厨房をひーひー言わせた一幕もあったろうがそれはまた別の話になるだろう――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からキサラ・エトワールさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からシアンさんが去りました。