2025/01/18 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 乗合馬車」にグアルティエロさんが現れました。
■グアルティエロ >
今にも一雨あるいは一雪やってきそうな暗く分厚い、曇天下。
時刻は正午を回ったばかりだというのに薄暗いまれびとの道を行く一台の乗合馬車。
がたごと、がたごと、車輪が回るたび駆動音とともに心地よく揺れる客車と客数人。
王都行の車内は顔見知らぬ者同士ばっかりで馬車が揺れる音だけがよく響いている。
「もうちょいか。いやあ。ええもんやね。一昔前ん比べたらえらいケツのおさまりええわ」
乗客の中でも一等派手な、派手すぎるぐらいの男が窓際の席でぽつりと独り言。
三十年前に比べれば尻に置いてあるクッションの柔らかさといい揺れといい随分と快適だ、なんて。
年頃がもしかしたら二十歳前後にも見える男がそんな事を言っているのは奇妙に尽きる。
騒音で殆ど紛れてしまうから奇異の目は格好だけに向けられているけれど。
「さて今日は。あー今日は。こんあと予定無いんよな。偶にはホットワインでもやるかぁ」
郊外まで説法しに歩いて行って帰りも歩いて帰ってくるつもりがたまたま乗合馬車が安く出されているから乗ったので、帰路は予定より随分と早くなった。特段やる事もないしお宿で暖かくした葡萄酒でも傾けながら次の説法のやり方だの内容だのを考えようか、と、窓から映る流れていく景色をぼんやりと眺めていたら。
「あらま降り出してきよった」
ちら、ちら、ちらつく雪の結晶に眉が潜まる。寒いの苦手。
■グアルティエロ > 積もらないと良いけれど。そんな願いはあっさり叶わず着いた王都が踝まで埋まる雪の積もり様に、旅疲れとは別の意味で溜息を白く吐き出しながら肩を落とす。ぶるっ! と寒風一つで大きく身震いしてから、お天道様に文句をぶつくさぶつくさ言いまくりながらに宿へ向けてさくさくと雪を踏み歩んでいったのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 乗合馬車」からグアルティエロさんが去りました。