2024/12/05 のログ
■ドリィ > 躱すよに流される言葉に、──否、その表情に。
少しばかりの手応えを嗅ぎ取れば、女はニッコリと笑んでみせる。
くぃ、と傾けた杯より流れる酒精を、白い喉が臓腑に通し。
「はぁい。またいつか、ネ。」
そんな、不確かな確約を取り付けては、御満悦に唇を弧月とした。
とはいえ、別段誰かと馴れ合い連れ添うも性じゃない。
相棒と別れたなら、暫くは王都でのんべんだらりと自堕落を貪るも一興だ。
そして自堕落の誘惑は、男の同意で決定事項へと変じた。
馬車使用、決定。
「じゃ、馬車で帰りましょ。
そしたらー…ぁ 馬車の出発ギリギリまで飲んでて大丈夫だし?」
まだまだ飲める。最高だ。それならば───目の向くモノだってあるわけで。
迷宮にいる内から、気になっていた魔石屑を融解したその酒。
相棒が酷く旨そうに飲んでいるものだから、少しばかり我慢が利かなかったのだ。
酒の強さには自信があるし、大陸中の珍酒稀酒を飲む──ソレが女の密やかな目標でもあったので。
故に。差し出された杯を指先が手慣れた所作で受けとっては、かろりと沈む魔石を揺らして鳴らし、
「探索の記念に──…毒味くらいしてみたいじゃない?」
躊躇い無く、女の唇は酒精を嚥下する。
魔石が沈むとはいえ、味わいは到って普通の酒だ。旨い。否、酒は大抵旨い。
ただ、舌触りが若干トロリとしているだろうか。冷たいような熱いような奇妙な涼熱が喉元に溜まり。
テイスティングするかに、女の双眸がくるりと味わいを吟味する。
頚を傾ぎ… 男へと杯を卓に滑らせて返し。
「ンー……フツウに美味しい酒?」
若干に期待外れであったのだろう。拍子抜けな風情に告げて───ふと。
女の動きが止まった。何か、違和感に思い到るかに口元に手をあて、
ごく小声に呟くのは、男に届いただろうか。 ───ぁ、マズ。 と。
呟くや否や、女は席を立つ。その肉感的な体躯を立たせ。
「ちょぉっと─────… 部屋に戻るけどぉー…気にせず飲んでて。」
酔いが回った足取りじゃない。口振りの甘ったるさだって鷹揚さだって変わらない。
ただ、奇妙に急いたよな、男の返事も待たずに女は踵を返して階段をあがり、宿部屋へと。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」からヴァーゲストさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」からドリィさんが去りました。