2024/07/22 のログ
アキアス > 出張所で請けた少々面倒な依頼を終え。
懐温まったところに乗合馬車が襲われた報があり。

他の馬車も出発を見合わせるとのことで、さっさと部屋を取り併設の酒場でゆっくりしていた。
やがて天候も怪しくなれば酒精を煽りながら、無理に帰路につかなくてよかったとも思いながら。
段々と込み合い始める受付を眺めながらに濡れ鼠の人々を見て少しの優越感を覚える。

さて、後はさっさと休むか、どうするかというところ、視界に入る少女の姿。
自身に憑いた淫魔も騒ぎ始めれば、ギルド職員との会話に聞き耳立てて。
その声にも覚えがあれば口端引き上げ緩んだ笑み浮かべながら、受付の方に歩み寄り。

「ぃよぅお嬢ちゃん、久方振りだな。部屋ぁ無くて困ってんのか?」

声をかけながら、濡れた相手の肩に手を伸ばす。
自身も濡れてしまうことより、まずは逃げられないようにと。

ニュア > 意地でも相部屋の隅を陣取ろうと心に誓う。
どうせ室内でやれ宴会だのやれ賭け事だのしてる奴らが煩いだろうが、
冷たい床に座っての一夜よりはまだ、毛布が与えられるだけマシだろう。背に腹は代えられぬ。

「……………… はァ… ホント最悪。」

兎に角、湯を借りる交渉くらいはしておこうと口火を切りかけた時。
背後から掛かる声にフード向こう、切れ長の瞳が男を訝しく見上げ――

あからさまに、酷く分かり易く厭そうな顔をした。
気安く触ってくる態度が気に入らぬとばかり、その腕を肩を傾け避けるだろうし、
それが適わぬなら、はたいて拒むことを当然の如くにしてみせる。
この娘、愛想の欠片も向ける気がない故に。

「は? 別に、困ってないけど。」

と告げる割には髪からもひたひたと雫が零れ落ちる程度には濡れ鼠だったりするのだが。

アキアス > フードの奥から見上げ来る視線の強さに、むしろ楽し気に碧眼を細めた。
伸ばした手がするりと避けられはたかれるなら、大げさに痛みを散らすようなふう、手を振って見せて。
厄介事はごめんとばかりに視線を向けてくるギルド職員にちらりと視線を向ける。

「そう尖るなよ。知らねぇ仲じゃねぇんだしよ。
 今日は旨く稼げて気分が好いんだ、湯付き飯付きで、お嬢ちゃんの部屋代くらいは持ってやるぞ」

当然相部屋だけどな、と。そう付け加えながら。
これまでの彼女と男の邂逅を思えば、男の思惑など知れたものだろう。

肩をつかみ損ねた手が、今度は少女の腰にと伸びる。
その手指からじわりと淫らな魔の力を滲ませながら。

ニュア > 男が触れた肩を払う程度に丁重に厭がってみせながら。
娘はその涼しげな容貌の、愛想を浮かべぬ視線を赤髪の男に向けて、鼻白んでみせる。

「お前が碌なコト考えてないの知ってるから尖ってンじゃんか。
 ………………………………は? いらないんだけど。」

なんでお前と相部屋しなきゃいけないんだと言わんばかりの態度だけども、
湯付き飯付きとの言のあたり、若干考えるような沈黙があったのは否めない。

だけれど、この男が色々と面妖で厄介なのはよく知るところ。
そして、男の持ち得る魔力が有す、気に食わない作用もだ。
懲りずに腰へと巡りくる手を、再度片手で押し退けようとし。

「―――ッウザい。」

ぎ、と睨む。心底ウザそうな表情を、相も変わらず可愛げ無く浮かべながら、
振り払って男より離れ歩まんとするけども。

アキアス > 少女からの物言いに解ってるじゃないかと言わんばかりに口端を上げる。
触れれば噛みつかれそうな様子も楽しみながら、ギルド職員に彼女の分の宿代に幾らか上乗せした料金を支払う。
それを受け取れば職員の方は男と少女をちらちらと覗き見るようにしてから、視線を逸らした。
冒険者同士の諍いは茶飯事なれど、本来は諫める立場。
けれども心付けをされてはどちらに立つかは明白で。

「喜べよお嬢ちゃん、湯桶じゃなくて風呂付部屋だぞぅ」

いらない、うざい。きつい言葉にきつい視線。
それをへらへらと受け流しながらに、男の腕を押しのけようをする片手には、有無を言わさぬ力が込められているのが知れるだろう。

ずぶ濡れの恰好から水気が伝わるのも厭わず、少女の腰を抱き寄せる。
そしてそのまま、抵抗する相手の身体にじわりと魔力を滲ませようとしながら。
部屋へと向けて少女を連れこんでしまおうと足を進める。

ニュア > 「ちょっと!何勝手にこいつの金受けとってんの!?バカなの???」

何食わぬ顔で此方の事情お構いなく職員に金を手渡す男と、
それをヘラヘラと受けとる職員の遣り取りに、娘はいよいよ職員に立腹をぶつける。


しかし既に買収は成立した後といえよう。
此方を見返すを避けるような職員の態度に、さらに食ってかからんとしたとき。
男から暢気な言葉が届くのだから、怒りの矛先は男へと変わるというもので。

「お前も何勝手に金払ってんの!?
 了承した覚えないんだけど…っ…… てゆうか触んないでウザいって言ってるじゃん…ッ」

払い退けんとした手は、今度こそ男を引き剥がすことが適わなかった。
如何にも思惑の知れる手つきに、腹立たしく爪すら立てながら、引き摺られるように娘は連行されてゆくだろう。
途中、苛立たしく声を荒げる悪態が聞こえるだろうが、それも暫くすれば、男と共に扉の内に消えゆき――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」からニュアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」からアキアスさんが去りました。