2024/05/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にビデラさんが現れました。
■ビデラ > ゾス村にほど近い、喜びヶ原の草原
遠い所からファルズフ大聖堂へ向かう巡礼者の護衛に就く男
いつもの様子のおかしさは一旦鳴りを潜めて
敬虔な信徒を守ろうとする騎士の姿がそこにはあった
(ああ、聖女よ…。今どうしておられるのか…)
けれど心の中には常に聖女がある
本来であれば付きっ切りでその身を補助したいところだ
しかし、聖女から与えられた任務であれば離れるしかない
聖女の命に逆らうということは…彼にとって自殺と同義である…
という前置きはそれこそ置いておいて
複数の巡礼者や新たに信仰を示したいという冒険者や村人を馬車に乗せて護衛の騎士を一人付けている
先頭にビデラが馬を駆って状況を把握
左右と後方にも足並みをそろえた騎士も馬に乗って周囲を固めている
このままいけば、明日にはファルズフ大聖堂へたどり着くだろう
旅路は順調であればあるほど良いが、そうもいかない
■ビデラ > >
ぐおおおおおおおお……!
「…ふむ。このあたりでは見ない魔物ですね
停止、周囲を警戒しなさい。あれの相手は私がします」
突然、草原沿いの小さな林から、巨大な魔物が飛び出してくる
原型は人型、けれど身長は男の2倍ほど
更に筋骨隆々の腕が6本あり、足は2脚、顔は鬼のように厳つく…
口元からは大きな牙が生えている
武器は持っていないものの、その腕で殴られるだけで多大なダメージを負うだろう
手数も多く、一人で相手をするような魔物ではないことがわかる異様
明らかに人を食ったこともあるだろう。狙いは後ろの信徒及びその候補たちか
出自はわからないが、敵対存在であることは間違いない
男は悠然と
背に背負った銀の長槍を構え、馬から飛び降り…魔物と相対する
「荒ぶっていますね…。理性も無いようだ…
しかし今、私の背に居るのは。…聖女の導きを受けんとする者たちだ
それを食おうというなら、それは…それは………!!」
様子がおかしい男に、魔物さえ気圧されるように手を出してこない
あるいは戦おうとする相手の力量を図ろうとする程度の理性はあるのか
その間も、護衛の騎士たちは呆れと安心が混じり合った視線を向けている
面倒だが、ああなった男は『大丈夫』だと
「悪魔の所業!生物として許されない悪行…!!
ああああああああああ……っ!!信徒を害さないなら、見逃していたでしょう…
おお、だがしかし!!あなたは!!明らかに!!食らおうとしている…!
聖女の導きを受けるべき者たちを!私の同胞を!!……フー……フー………!
…来なさい。来世で悔い改める機会を与えましょう…」
待つのは痩躯の男
構えるのは…ただの銀の槍
ただし、男の口上の後に襲い掛かってきた魔物の六連の拳は…しかし当たらない
放たれる膂力差を…男は受け流し、逸らし、躱し、弾き、完璧にいなす
更には、魔物の腕の根元にそれぞれ深い傷跡を付けている…
じっくりと見なければ、何が起こったかすらわからないであろうやりとりを見せる
■ビデラ > >
それを行った男は息の一つすら切らしていない…
その理由はいざという時に聖女の盾となり槍となる…そのためには生半可な腕など許されないから
修練を繰り返し、血反吐とケガを繰り返しながら得た純粋な研鑽
けれどそれを誇ることはない
それは…彼にとって当然のことだからである
むしろ、一合で仕留め返せない自分に吐き気がする
「――、弱い。ああ、苛々する…苛々苛々苛々苛々ぁ……!!」
最早男に魔物は見えておらず
ただ自分のふがいなさに嘆いて顔を伏せる
お、おおおおおお………!!
腕を切られ、動きにくいと言っても魔物の耐久力はその巨躯に見合うものだ
当然まだ攻撃はできる上に男は顔を伏せてしまっている
…放たれる魔物の拳を見て…
隊列に居るまだ日が浅い騎士は、咄嗟に助けに向かおうとするが
「あァ!!」
一閃
魔物の拳、助けに来ようとした騎士…
その何より早く跳躍した男が空中でコマのように回転し…勢いをつけ、魔物の首を跳ねた
魔法的な強化などされていない銀槍がその筋肉を断ち切って、絶命させる
「―――…ああ、命を無駄に苦しめた私をお許しください……、聖女よ…
大丈夫ですか、貴方たち」
地鳴りをさせながら倒れた魔物へ膝をついてから
次は信徒たちの心配をし…大事無いかどうか馬車に入って確認していこう…
■ビデラ > その後、大聖堂へ戻り…
塩粒を巡る…聖女が憂う事態があったり…逆に喜ばしい様子を見せていたことを聞き、また発狂したように叫ぶことは、間違いない――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からビデラさんが去りました。