2023/09/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にジェイクさんが現れました。
■ジェイク > 王都から離れる事、数刻。近隣の村落に通じる街道。
普段から人の往来が多い道を遮るように柵が設けられ、
脇には幾つかの天幕が建てられて、簡易的な陣営の趣きを為していた。
街路に立ち、通行する馬車や通行人を差し止め、積み荷や身分の検査を行なっているのは王都の兵士達。
曰く、最近、山賊や盗賊の類が出没するために検問を敷いているという名目であるが、
実際は隊商からは通行税をせしめ、見目の良い女がいれば取り調べの名を借りて、
天幕でしっぽりとお楽しみという兵士達の憂さ晴らしと私腹を肥やすための手段に他ならなかった。
「――――よし。次の奴、こっちに来い。」
でっぷりと肥った商人から受け取った賄賂を懐に入れて、隊商の馬車を通せば、
列をなしている次の順番待ちの通行人に近寄るように告げるのは一人の兵士。
何よりも厄介なのは、彼らが紛れもない王国兵士であり、市井の民が逆らえない事だ。
そして、その事を理解している兵士達は、国の為ではなく利己的に民を食い物にしている最低最悪な屑揃いであった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にルプランさんが現れました。
■ルプラン >
一昼夜、降り続いた雨が上がったあとの街道は、ところどころ泥濘んで、
歩くのに最適、とはお世辞にも言えない状態である。
しかしそんなコンディション不良の道を、背嚢ひとつに荷物を抑え、
確かな歩調で王都へと辿る小柄な女の姿があった。
案内役の仕事で郊外へ同行し、とんぼ返りで戻るつもりだったのだが、
生憎の悪天候に邪魔され、郊外のギルドに足止めを食ったあげく、
今朝は乗合馬車を使おうと考えていたのだが、チケットが手に入らなかった。
そう急ぐ旅ということもないけれど、怪しげな馬車に乗るぐらいなら、
自前の足で歩いた方が、ずっと容易く、早く、王都に帰れるというものだ。
そんなわけで、てくてく歩き出したのだが―――――
「うわ、……と、とと。 っもう、道、悪いなぁ……」
本日何度目かの、水溜まりへ填まりかける危機を辛うじて回避。
ついついぼやきも出ようというものだ、この調子では、
馬車がやって来たときは、素早くできる限り遠くへ避けないと、
はねた泥水を頭からかぶることになりそうだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 草臥れた外套の上から背嚢を背負い、悪路を反対方向から歩み来るのは中年冒険者。
先日からの雨の所為か、或いは、道中に乗合馬車に引っ掛けられたのか、
ズボンの裾や靴を泥で汚しながら、歩き難い筈の道を気にせずに難なく踏破する。
元より、身に着けた衣服や装備は年季が入り、今更、汚れの一つや二つ付こうが、
大差はないと割り切った態度は、彼自身も冒険者としての年季が入っている事を示しているだろう。
「――――ん、……?」
進行方向から、向かい来る人物の姿に気付けば、足を止め、日除け代わりの外套のフードを持ち上げる。
その女の姿を視界に捉えると、双眸を細めて、その顔から足許までをまじまじと眺め、
口端を緩めると、彼女の方に大股にて、水溜まりを踏み抜きながら歩みを進め。
「よぉ。アンタ、リアナ、……リアナ・ジェンキンスじゃないか?」
過去に複数人が参加する合同での依頼に参加した事でもあったのか、
それとも、酒場を兼ね備える冒険者ギルドにて酌み交わした事でもあったのか。
何れにせよ、相手の過去の名前を気軽に口にしながら、傍へと近付いていく。
■ルプラン >
まがりなりにも、馬車が行き交える程度の幅を確保された道。
向こうから歩いてくる人物が居たとしても、女のほうでは、
特段注視しようとも、歩み寄ろうとも思わない。
擦れ違う際に、申し訳程度に頭でも下げれば充分だろう。
ただ、遠目にも随分、薄汚れた感じの相手だと思っただけで。
「――――――…は?」
しかしその相手が、今はギルドにも登録していない名を呼んで、
こちらへ近づいてくるならば話は別である。
目深に被ったフードの下から、胡乱げな眼差しを男へと向けて、
「なん、……誰、あんた、なんでその名前…… ぅわ、っ、
ちょっ、気をつけてよ、泥ハネが飛ぶじゃん!」
こちらは残念ながら、相手の顔を見て、すぐ名前が思い浮かぶことは無かった。
それどころか、泥濘を踏みしだくその歩調が、こちらにまで泥ハネを散らかすものだから、
慌てて半歩後ずさり、睨むようにまなじりを吊り上げる。
■トーラス > 唐突に名前を呼びながら近付いてくる男に対して寄せられるのは怪訝な視線。
泥を巻き上げながら近寄る彼を睨み付け乍ら、迷惑そうに後退る相手の態度に、
まるで気にしないという場の空気が読めない雰囲気を醸し出しながら笑い。
「あぁ、やっぱり、リアナか。
……おいおい、何度か顔を合わせた事もあるのにつれないな。俺だよ、トーラスだ。
まぁ、こちとらアンタほどに“有名人”じゃないから仕方ないか?」
気さくな態度を崩さず、馴れ馴れしい態度で相手との距離を易々と詰め、
意味深な台詞を吐きながらも、片手を差し出すと握手ではなく相手の手首を掴み取ろうとして。
唇の端をにぃ、と吊り上げると頬肉を歪ませて嗤いを滲ませて。
「なぁ、危険な迷宮で全裸オナニーに励んでいたド変態のリアナちゃん。
冒険者を引退したって聞いてたが、こんな場所で会えるとは幸運だったぜ。
其処の木陰で、積もる話を赤裸々と聞かせてくれよ」
彼女の過去の名前を知るのであるから、当然、冒険者ギルド内に出回った噂も耳にしている。
愉悦と好色に塗れた笑みを浮かべながら、相手の手を引けば、
強引に街道から逸れた林の木陰に引き摺り込んでいこうとして――――。
■ルプラン >
こちらが後ずさった分だけ、それどころか後ずさった分以上に、
無遠慮に泥を跳ね散らかしながら、距離を詰めてくる男。
なるほど、彼の下半身の汚れはこれが原因であるらしいけれど、
女の知ったことではなかった。
「はぁ? だから、あんた誰、―――――― トーラ、ス?
……ああ、あの、『竜殺し』の、…… って、ちょ、離し、っ!」
竜殺し、というフレーズを口にするとき、微かに混じる揶揄の色。
女の年頃では、この男の意業を信じていない者も少なくない。
名乗られて、ようやく思い出した相手のパーソナルデータはと言えば、
――――今、まさに、こちらの手首を掴んで引き寄せようとしているように。
この、女に対する手の早さ、が真っ先に思い出されて。
掴まれた手首を捻り、振り解こうとしたけれど、
続く男の物言いに、ぎょっと目を剥いて。
「な、――――――… っだ、れが、ド変態っ…… ちょっ、
痛っ、は、なしてよ……! やだっ、てば、ドスケベ、エロ、親父……ぃっ、」
一瞬にして、耳まで真っ赤になりながら。
ばしゃっ、と泥濘を踏み抜くのも構わず、身を捩って抗おうとするものの、
体格の差、膂力の差は歴然としていて。
通りかかる者もない街道に救世主の現われる筈も無く、
小柄な女は引き摺られるまま、街道沿いの早いの中へ連れ込まれて――――。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からルプランさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にファルスィークさんが現れました。
■ファルスィーク > 日が変わろうとする時間帯。
深夜にしかも徒歩で街道に居る者というのはかなり珍しい。
周囲には青白く輝く水晶柱が蛍の様にゆらゆら舞い、周囲を照らし出す様はさながらウィル・オー・ウィスプのようでもあるが、晴れた空には月が浮かび、煌々と青白い光を放っているので光源には困らず。
馬も使わず乗合馬車に乗るでもなく…となれば、余程急いでいるか、人目を憚らなければいけない理由でもあるのか。
―――生憎と道楽で歩いているだけであった。
「…静かで月が綺麗な夜は良いものだな」
ふと夜空を見上げて呟くのは独り言。
月の光が強いので星の瞬きは、弱いものは掻き消され…。
街道の先――遠くに見える明かりは王都の物。
その向かいには己が都市のものが遥か遠くに薄らと見えていた。