2023/08/26 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」にルプランさんが現れました。
ルプラン >  
街道沿いに数ある出張所の中では、比較的、設備の整った真新しい建物の一階。
夜になれば食事処兼酒場として機能するのだろうホールの片隅、
窓辺に面したテーブルに一人、ぽつんと陣取った女は、
退屈そうな表情で窓の外を眺め、頬杖をついた怠惰な姿勢で、
先刻からもう何度目かも知れない溜め息を吐いていた。

「てゆーか、この辺でそんな、貴重な花が採取できるとか、
 あたし、聞いたことなかったけどねぇ……。
 だめだな、情報ぐらいは常に仕入れとかないと」

呟く女の手許には、古びた地図が広げられている。
先刻まで、ここには数人の冒険者が同席して、一緒に地図を覗き込み、
珍しい植物の自生するという地域について、意見交換をしていたのだが。
案内役のみを仕事としている女の役割はここまで、
あとは我々の仕事だとばかり、彼らは元気よく出て行ってしまったから、
女の手許には地図と―――先払いされた、王都からの案内料が残った。

日暮れまでに彼らが戻ってくるかどうか、
戻ってこなかったとしても、もう、女には関係が無い。
もっと言えば昼間のうちに、王都へ戻ってしまっても構わないのだけれど―――――。

ルプラン >  
ふと、すぐそばの壁に貼られている紙片に目を留め、
しばし考えてから立ち上がった。

「お勘定、ここに置くね。……ちょっと、出てくる」

カウンターの奥でグラスを磨いている男に声を掛け、
テーブルの上に硬貨を並べて。
畳んだ地図をポケットに押し込みながら、大股で戸口へ向かった。
燦燦と降り注ぐ午後の日差しの下、ざくざくと森の中へ立ち入る後ろ姿は、
すぐ、木々の間に紛れて消え―――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」からルプランさんが去りました。