2023/10/28 のログ
モルガナ > 元は水練場であった時代にも利用したこともあった施設にあって、
貴族等の上流階級が利用する上層より下、平民達でもたまの贅沢、息抜きにと金額を出せる中層にあって
一人の女性が泳ぎ続ける。

ティアラは使用人に預け、盛大な波飛沫を上げて泳ぐ様はゆったりとしながらも力強さを感じる。
しかし、端に至れば反転、更に逆へ至れば反転。
何度も、何度も途切れることなく泳ぎ続ける。

ともすれば海であれば遠泳、はるか向こうの小島にもたどり着きそうな長い時間を泳げば、
そのうち民や中層を利用する貴族もその様に気づくだろう。

「……ふう」

一時間ほど、並の水夫に匹敵する速度で泳ぎ続け、へりに上がると髪についた水気を一払い。
自ら上がれば、引き締まった尻を覆う黒い布地の裾に指をかけて整えて。

ゆさりと、黒いビキニで覆われた胸を揺らし、ゆったりとビーチチェアのほうへと歩いていく。

その全身には、細かい傷跡。
貴族の流麗な振舞いなれど、身に帯びるは武人のそれ。

さて、自分が声をかけるに値する者がいるかと、もしくは、近づく者でもいるかと。
使用人からティアラを受け取り石竹色の髪を飾って。

ミナスジェイラス伯爵家の女騎士。貴族たればその勇名を知る者もいるだろうか。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」にセリアさんが現れました。
セリア > 王都近郊に位置する、様々な身分の人々が通う水遊場。
下層、中層、上層──王族や貴族ほど上の階を使う傾向が高いものの、この女騎士について言えばあまり気にしたことがない。
下層でも普通に利用するし、時に貴族の友人等と訪れる時は気兼ねなく上層を利用することもある。
結局のところ、その日の状況と気分によって違うのだ。

「───久しぶりね」

そして本日は中層。
たまの贅沢を楽しむ平民たちに軽く目を配りながら、グレーのビキニに身を包んだセリアは早速と泳ぎ始める。

特に水練といった素振りもなく、ただ単に水と触れ合うことを楽しむかのような遊泳。
緩やか、穏やかな時間が過ぎていく中──ふと、やや離れた所を一心に泳ぎ続ける一人の女性が目に入る。

目にしたことはある。勲功によって自らの家督を有する、この王都でも少々稀少な貴族の家系。そこの長女であったか。
武芸、教養、いずれも最高峰。清廉な騎士として国に仕える──その噂は、我が騎士団の団員にも確り伝わっていた。

「………」

てっきり上層を利用するものだと思っていたが──意外だ。
そんなことを思いつつも、彼女が泳ぎ疲れたのか水から上がっていく様を見届け…セリア自身は優雅に、ゆったりと泳ぎ続ける。

──が、流石に延々と水に浸かり続けていると肌がふやけないか心配だ。
一度陸まで戻り、波を立てながら水から上がる。縁に腰をおろし、心地良い疲労感を全身で味わいつつ小休止。

モルガナ > (……あれは……)

 一心不乱に泳ぎながらも、その視線は周囲に目を配っている。
 泳ぐことに必死で周囲に目も向けられずして何が鍛錬、何が研鑽かと。
 そも、中層という貴賎問わず入り乱れてが期待できる場にあって、
 その上体の鍛えようを伺える水遊場は絶好の機会。

 その中にあって、一人の存在が目に留まる。
 ……噂に聞けば、周囲が思う程に不仲というわけでもなかろうが、
 家柄とも疎遠となりながら、自らの才と研鑽で若くして騎士団長に登り詰めた存在。

 しかして生き方は刃のみ。貴族の腹芸も、腐敗を知ったとして関わらぬ身。
 性格は、部下に受けが良い気さくな人柄。まとめ役としても適している。

 だが職務に取り組むことはまれで、おそらくは部下に任せている、いや、慕う部下が買って出るのだろうか。

 以前から意識には留めていたが、相手もまた騎士団長。おいそれと誘うのも、
 たとえ家から離れた身とは言え無遠慮にするは無作法というもの。

 ……こういう場で偶然会うのは僥倖だろう。
 ビーチチェアから立ち上がり、使用人からタオルを受け取ると、貴女のほうへ近づいて。

「貴女も休暇でして? セリア騎士団長」

 家名は呼ばず。あくまで貴女に声をかけたのだと。
 腰を下ろす縁に歩み寄り、隣に腰を下ろして良いかと伺いを立てる。

 受け取ってくれるなら、タオルも差し出そう。

セリア > 職務に取り組むことは稀。──以前はそうだった。が、まぁ最近はやや忙しい。
とはいえそれを表に知らしめるようなことはしない。
表向きは奔放で気さくな若き騎士団長──ということにしておけば、面倒ごともそう寄ってはこないだろうと。

それはさておき、ひとり遊泳の疲れを楽しんでいれば背後よりかかる声。
振り返ればそこには、先程目で追っていたもう一人の女騎士が立っていた。

少々虚を突かれたように瞬いた後、差し出されたタオルを笑顔で受け取る。

「ありがとう、モルガナ。休暇……まぁそんなところかしらね」

伺いには、勿論と頷いて隣を示す。
家名を呼ばれなかったことに対してか、此方も彼女の家名は出さず名をそのまま口にする。

「ここ最近、忙しいことが多くて──気晴らし、といったところ。
此処は久々に来たけれど……たまに水に触れると良いものね」

遠方ではしゃぎ立てる男女の姿を遠目で眺めつつ、そんな最近の事情をぽつりと吐露する。

モルガナ > 「忙しい。……豪放磊落、とまでは言わずとも、花を咲かすは戦場にありと言う印象でしたけれど。
 良くない意味で事情が変わりまして?」

 王族に仕える貴族の家系。小気味よい性格と伝え聞けども、こちらが家を見ぬならあちらも己の存在に言葉を返す。
 形式ではない作法、心遣いが身についている育ちの良さをきちんと抱いたままなのだと伺って。

 二人が並べば、見るに悩ましい肢体を水着に包む美女が二人連れ立てば、
 周囲の視線もおのずと集まる。だが、男が寄ってくる気配はない。

 僅かだが、二人の周囲に生まれる圧。それは隣に座る伯爵家の長女が放つもの。
 見目良い女性に男が声をかけるはこの国にあっては作法であろうが、今それをするは無粋であろうと。

「戦型は違えど同じく大地に適正ある術の使い手と聞いています。
 同じ騎士で同じ地に足をつける者。縁とはこと大事にすべきものでしょう?
 ……良ければ、力になれるのであればお話を伺ってもよろしくて?」

 吐き出した近況へ、縁があるのだと諭しながら顔を覗き込む。

セリア > 「豪放磊落とは、中々素敵な誉め言葉だと思うけれど? …なんてね。
サキュバス…淫魔が徒党を組んで良からぬことを企んでいるとの情報が入ったり。最近王城がごたついている隙を狙って、
王都に魔族が入り込んでいたり……色々と」

本来なら王都警備、あるいは不穏な一団の調査任務等はその役割に応じた部隊が担うべきであるとも思うのだが…
ひいては魔族討伐に繋がる内容である故、一緒くたにまとめて騎士団に案件が投げられているというわけで。

隣の彼女から生まれる圧は、当然セリアも気づいている。
今この話をしている中では有難い。そう感じながら、頂いたタオルで顔の水滴を拭う。

「──モルガナ。……そうね、ありがとう」

顔を覗き込まれれば、その刹那ぱちりと目が合った。
話を促すような諭し方。その口ぶりにほろほろと自然、言葉が零れ落ちる。

現在抱えている案件。その手掛かりを得るための調査の難解さ。
それでやや心身に無視できない疲労を覚えていること、等々…

「こういったモヤモヤは、中々一人でいると発散が難しくてね。
とはいえ、放っておいて体調を崩すのも何だから、今日はこうして気晴らしに来た──というわけ」

モルガナ > 「ああ……。なるほど。ふふ。そこいらの貴族よりよほど”貴族”を成し得ていらっしゃるのね。
 ……この王都には、いえ、この国には人間以外にも亜人、獣人の類も住んでいます。」

 すべて面倒事を投げ放られてそれをまた別の、それこそ平民の割合が多い雑多な騎士団にも投げてよこすことも出来るだろうに、
 それを全て抱え込む。誰がこの在り方を”おおざっぱ”と評して伝えたのだろうか。

「故に魔族も、弱者たりてしかし国の益となるなら、差はうまれど民、我等が守る民であると考えています。
 しかし、魔性たる、力を持った魔族、正しく人に仇成す敵対者としては話は別。

 王都に入り込み不埒を働く魔族は私の知人が神聖都市の既知と共に対処しているそうです。
 ですが、蛇の陰謀団(サーペント・カバル)という勢力に関しては全容が掴めず後手に回っている現状ですわね」

 圧を放っているとは思えぬほどの微笑み。同意を求めるような言葉を向けて、
 戦っている、苦心しているは貴女だけではないのだと。

「不穏勢力を鎮圧する為に、騎士団各々がまとまらぬままでは下策があまりにもすぎましょう。
 示威の為にも、連携を、貴女の助けとなってはいけませんか?」

 相手を立てる。まず先に苦心したは、腐した内面へ剣を向けたは貴女なのだと。
 故にここは共同戦線ではなく、貴女を陣頭に立てるのだと。

「サキュバスに関しては、私も知らぬことは多いです。よければ情報を共有させていただければ。
 ……それにしても、発散ですか。」

 なるほど、と呟いて、覗き込む顔が、近づいてくる。

「そういえば……、セリアのことは以前から、大雑把で細かいことを気にせず……、
 享楽的だと聞き及んでいますわね……♡」

 優しい、包み込むような微笑みのまま、優しく、かすれるような声で耳元で囁く。

「どう享楽的なのか……、発散に付き合って教えていただけません……?」

 何もその在り方、有望さだけに目を向けているのではないのだと。
 名前を呼んで、貴女の顔を見て、モルガナとして向き合ったことの意味を示すように。

セリア > 「まぁ……面倒ごとは他の騎士団に投げうっても良かったんだけどね。ノーシス主教の友人から頼まれたことだから粗末にも扱えなくて…」

その辺りはセリア自身の人の好さが出ているのかもしれず…
彼女の話を聞いていると、民として接する相手を明確に理解し、区別している所に共感を持てる。
人に仇成す敵対者としての魔族。その勢力の一つとして、蛇の陰謀団の名が彼女の口から聞けたことに思わずグレーの双眸を向かわせた。

「……その一件よ。私が今抱えているもの。
──全容が掴めないのは本当、困りものね。今ある数少ない情報のみで推測し、討伐に赴かなければならない。
当たりならまだしも……ハズレなら、時が無為に過ぎるだけだわ」

下策が過ぎるのは確かにその通り。
同意、そして提案を紡がれれば、ややも考えるような思索の瞳が水面に向く。

「連携については、勿論歓迎よ。情報も共有するし、騎士団が合同で鍛練の時間を設けるのも悪くはない。
私の……というより。民を守るために、共に力を合わせましょう」

自身を立てられるのは悪い気持ちではない。
しかし、陣頭に立てられるのはどうにも腰の据わりが悪い。
何せ、堅苦しい貴族の家風を厭うて家を離れた身だ。自らを先陣とするよりは、共に仲間と肩を並べて立ち向かう方を好む。
ある種──騎士団長には不向きな性格なのかもしれない。

そんなことを思っていれば、ふと。
……近づいてくる彼女の顔。優しく包み込む、慈母のような微笑みのまま──
やや掠れた声で囁きが耳元に落ちる。

「───まぁ」

享楽的、という面に意識を向けたらしい、眼前の美しい女騎士。
ちらりと微笑みを湛えたまま顔を向け、視線が正面から交わる。どこか艶を湛え、しっとりとした雰囲気──

「……いいわ、モルガナ…♡ ──じっくりと、時間をかけて。教えてあげる」

囁きを返し──するりと、蛇のように。
セリアの手指が、彼女の手指に絡みついていく。興味を抱いたからには、逃がさないというように。

モルガナ > 「あの一団に、ノーシスの友人……。王都での対応……。
 もしかしてその方の名、ベルナデッタ?」

 何か、符号が一致する気がして、ふと、人物の名前を口にする。
 もしかすると、お互い接触がなかっただけで共通点は思ったより多いのかもしれないと。

「人を軽んじて、力自慢や魔力を誇示する”的”であれば対応も容易いのですけれど、
 どうにも、警戒をきちんとしているタイプのようで……。
 知人の助言もあって、王城や学院に踏み入った時に備えて罠も仕掛けてあったんですけれど、
 不利である地形には少なくとも来ないようですわ。」

 己なりの行動として、相手の職種を想定して暗躍、自信があれば学院や王城等の
 重要人物が比較的集約する場所に迎撃の策を講じていたが、そもそもかかることがないのだと。

 かかるのはどれも単独犯。人間を愛玩動物か何かとはき違えている二流三流ばかりと嘆息一つ。

「ええ。共に。けれど、ふふ。やはり必要以上に上に立つは性に合わないかしら。」

 己の様に先陣を切り味方を鼓舞し、敵陣を圧倒する。
 そういう将の器は、いずれ開花しそうな気もしているが、今は少なくとも、
 掌を重ね合う仲間と共に歩むタイプなのだろう。であれば―

「なら、共に立つ証として……」

 指を絡ませてくれば力を込めて握り合い、教えてあげるという言葉に、瞳から伝わる逃がさないという意志に
 石竹色の女騎士の相貌は臆するどころか近づいて、貴女の頭に手を伸ばし、
 やや強引に引き寄せて、公衆の面前で唇を奪おうとする。

 逃げなければ、抗わなければ、そのまま衆人環視もいとわず舌をねじ入れて、
 唾液を啜る音を響かせさえしてしまう。

 その中で、貴女の双眸を覗き込む瞳が、薄く緩む。
 これはここに潜んでいるかもしれない宣戦布告。
 ただの結託、共同戦線に非ず。

 この場で押し倒すのではない、民草に確かな結束を色めいたものとはいえ見せつけて。

 これが、腐敗したこの国にあって腹芸どころか惰弱な貴族を圧倒するミナスジェイラスの在り方なのだと。

「……それでは、じっくり時間をかけて……♡ 作戦会議の前に親睦を深めるといたしましょうか……♡」

 微笑んで、貴女の腰を抱いて、共に上層の特等客室へと向かうだろう。

セリア > 「………あら。不思議な巡り合わせもあったものね…?」

人物の名前に、少々驚いたような顔をしつつも頷く。
お互いに王城内で普段過ごしている身の女騎士であるとはいえ──案外の共通点の多さ。
そんな2人がこういった世俗の場で邂逅するとは。奇妙な縁の悪戯もあったものだと。

「成る程。……私も自らの力を誇示する相手には、何度か出くわしたことがあるのだけれど……
そういった的を射ても、中々尻尾は現さないものね」

迎撃の策を講じていた彼女に対し、セリアは自ら巣窟に攻め入って手がかりという名の尻尾を探す方針を取っていた。
が、未だお互いにはっきりとした成果は出ていないらしい。

ならば──手を取り合い、共に立ち向かうほか選択肢は無い。

「ええ。……証として…」

離れるどころか、むしろ力を籠め握り返してくる手指。
距離が詰められる。伸びてくる手に引き寄せられ、二つの影が衆目を厭わず重なり合う。

唇を奪われ、舌を捻じ込まれ──そういった、一種強引とも言える相手の行動。
それにセリアは臆することもなく──自らも手を伸ばした。

捻じ込まれる舌を受け入れるよう唇を開き、あわいでいっそ情熱的とも思える程に激しく自身の舌を絡みつかせる。
彼女の頭を抱き、此処が2人きりの場であったならばそのまま際限なく唇を貪ろうという勢い。
ある種、宣戦布告に対するセリアなりの答えと取れるやもしれない。

「………ええ……行きましょうか♡」

離れればどちらからともなく立ち上がり、お互いの腰を抱き合い密着し──
向かう先は上層。貴族や王族のみに立ち入ることを許された特等の客室。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からセリアさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からモルガナさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──くーわわわ……」

日の高い時間帯の、平民向けの階層。
プール全体が大体見渡せる位置に設置された監視台の上に腰掛けた金髪の男は、
暇そうな面を隠しもせず大欠伸をかましていた。

今は見ての通り、プールの監視役の依頼(バイト)を請け負っている。
とはいえ、そうそう緊急事態があるわけでもなく、男は暇を持て余していた。

「──まああ平和なのはいいことなんだがな。一応目の保養になるっちゃなるし……」

ふ、と小さく息を吐きながら口元を緩めつつ独りごちる。
視界にはたまに、水着レンタル担当スタッフの策略により面積の少ない水着を貸し出された女性客が恥じらいながら
プールサイドを通る姿が見受けられる。
そんなものを見やっては、あーあやられちゃったかー、なんて思ってニマニマしていたりして。

エレイ > やがて交代の時間が来れば、次の者に引き継いで自分はその場を離れ──
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からエレイさんが去りました。