2023/09/18 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にモルガナさんが現れました。
モルガナ > 水遊場にあって水辺に、その均整の取れた女が一人。
ビーチチェアに身を委ねるその身を布地の少ない黒の水着で鋭角を帯びるようにまとい、
しかしその布地に覆われていない腕、腹部には筋肉の隆起が伺える。
その身に帯びるは無数の傷跡。

恵まれた女の身でありながら、戦場にて戦功を挙げる騎士の身。

「まだまだ水に浸れる心地ですわね」

付き添いは不要と言ったが、どうしてもとついてくる従者達が数名。
しかし好きにしてよいと言えば意気揚々と遊びに離れていく背中を見送ってため息一つ。

「やはり、でしたわね……」

己を口実に仕事を余暇に変えるとは、なんとも、なんとも肝の据わった部下達か。
そのようなことで怒る己ではないと理解した上で、提示した柔軟な発想には
労う事とて必要。そうでなくとも、皆ここのところ働き過ぎた。

しかし他の貴族を前にしてはそうはあってはならぬと釘だけは刺して置こう。

女騎士は一人、据えたテーブルで水滴を湛える果実水に口をつけて、
それこそ己に声をかける気骨がある者はいないかと。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」にエズラさんが現れました。
エズラ > 水遊場の水練専用レーンにおいて、一際激しい水飛沫を上げながら、泳ぎ続ける男が一人。
時折こうして身体が鈍るのを防ぐ目的で訪れるこの場所は、水遊場の中ではあまり混まない場所である。
既に何往復目か、端まで到達すると、ようやく水から上がり、髪を掻き上げながら顔を手で擦る。
簡素な貸し出し水着一着のみを身に纏う姿故に、否が応でも他者を威圧する濡れた肉体が、陽光を受けて照り輝く。

「フーッ……――」

呼吸を整えながら、休憩がてらとビーチチェアの並ぶ一角へ歩むと――

「……むおっ……――」

最初はまずその魅惑的な水着に包まれた肢体に目を奪われる。
しかしすぐに――戦場で生きてきた者特有の実戦で磨き抜かれた空気を嗅ぎ取り、いつもこういう時に浮かべる助平心を隠そうともしない笑みがすぐに消える。

「――お隣、失礼するぜ」

彼女の寛ぐチェアの隣に放ってあった自分のタオルを手に腰を下ろす。
そうして、美事なまでに鍛えられたその身体と、それを晒して恥じ入ることなど何一つないという気品のある顔立ちに暫し文字通り見とれつつ――

「名のある人のようだな」

思ったことをそのまま口に出していた。

モルガナ > 「貴殿こそ」

 言葉を切って身を起こし、微笑みを返す。

「その身を鍛え、そして良く御しておられるようで」

 先ほどから音は聞こえていた。水しぶきを確認するように顔をあげもしたが、
 自分が下手に歩き回っては遊び惚けていながらも気をこちらに向けている部下達の負担にもなろうというもの。
 この場にあって遊びもせず、しかし課せられた鍛錬でもなく己の身を研ぎ澄ますは傭兵であろうかと推察しながら。

「……と、あら、貴方もしかしてエズラ・ブルックス?」

 ふと、貴方の名を名乗る前から口にする。

「私はモルガナ。モルガナ・ミナスジェイラス。
 戦場にあってもですが平民ながら王城で立ち入る折の作法、覚えておくだけのものがありました。
 少々、粗野さは目立ちますがそれを目敏く言うは貴族の格を落す物言いでしょう。

 ここへは鍛錬だけで? お連れの方はいらっしゃらないんですか?」

 使用人に声をかけ、飲み物のお代わりを注文する。そちらは何か飲まないかと誘いをかけて、
 酒でも、酔うことも厭わないと。

エズラ > 流石にタオルを取り落とす、というようなことはなかったが――それでも驚きの表情は隠せなかった。

「……まさかオレのようなゴロツキの名前を存じておられるたぁ、光栄ですな」

希なことではあるが、新兵訓練の臨時補佐などの仕事に駆り出される折、登城することもある。
あるいはそういう時、姿を覚えられていたのかも知れない――

「なに、専ら鍛錬で――ミナス――ははぁ、石に愛されし姫さんか、あんたが!」

彼女のその名は男のような者達にとっては専ら「戦場」でこそ轟き耳にするもの。
申し出に甘えて同じものを所望しつつ、改めて間近に相手の姿を真っ直ぐに見つめる。
涼やかな表情でいながらしかし、恐らくはリラックスしている今の状態であってなお、みなぎる闘気が滲んでいる。
成熟した女の肉体は行く度の戦場を経験したのか、大小様々な戦傷によって彩られ、それらの傷を受けて尚、力強く生き抜いてきた生命力を感じさせる。

「……強えな、いやすげぇ、噂にゃ聞いていたがこれほどとは思わなかったぜ」

剣を交えなくとも分かる、そして、同時に――剣を交えてみたくなる。
戦場に身を置く者――否、身を置かずにいられぬ者が抱くどうしようもない血の劣情。
しかし同時に刺激されるのは、彼女の強さ―ーつまりそれは極めて強い雌という、雄にとってはこれ以上望むべくもない、交尾の対象としての魅力という、原始的な。
気づかぬ間に男の眼光も情欲の猛りを隠せぬものを帯びてしまい――彼女はこれを受け、いかなる反応を示すか。

モルガナ > 「そういうところですわよブルックス」

 名乗れば思い至り、姫さん呼ばわり。そういう粗を嗜める様は愉快そうで、
 本気で憤る狭量な貴族とは格の違いをひけらかしもする。

「平民であるから作法は問わぬ、とまではいいませんが、
 貴方は良く身なりも整えておられましたので。その姿と戦場での格差。
 働きぶりを見ていれば記憶にぐらいは留め置くもの。
 貴族とは平民を良く統べ良く導く者。きちんと上から順には覚えていますのよ。」

 身振り手振りの度に豊かな乳が弾む。紐状の水着から容易く零れそうだが、
 それがまろび出ない。
 普段の振舞いからして体幹が尋常ではなく故に女の色香を纏いながらあられもないことになることもない。

 貴方のような傭兵であれば賞賛する傷もこの場にあっては本来不相応なもの。
 だが目の前の貴族は、これが戦士の在り方であると誇ってすらいて、
 それが伝わる者と言葉をかわせることが嬉しくもあって。

「まだこの国には強い者は沢山おりますわ。
 そして国の外にも。だからこそ、王に仕える者として、ここはまだ通過点にすぎませんわ。」

 悟っている。男であるがそれ以上に戦士であると。
 まず滾るのは肉欲に非じ。闘争の血気。よもや視線で切り結んでくる者が
 傭兵として未だ召し上げられぬままとはと面白く感じて。

「……良く頼んだ仕事をしてくれる、とある平民の男が言っておりましたわ。
 下手に目立つと貴族に召し抱えられて面倒だから必要以上の仕事はしない、と。

 貴方もその口でして?」

 人となりを知りたい。そう思うように疑問を投げかける目は、遅れたもう一つの滾りを見逃さずに唇を薄く開いて、ニヤリと笑う。

「そういう作法も心得ておられないので?
 人のまぐわいの前にはまず語らい、触れ合いというものでしょう」

 残暑の光の中にあって火酒を二つ使用人に頼む。
 これからより滾るのだと。その前に、闘志が触発されたのであれば、
 まずは武の者として語らうが先であろうと。

エズラ > 「通過点、ときたぜ――まったく信じられねぇな」

しかし本気だ。
まったくどうしてこう貴族というのは気位が高いのか。
しかも彼女の場合はそれに実力が伴っているのだから始末に負えない。
まさに理想的、と思うほかはない。

「オレはな、正真正銘のゴロツキさ――気を悪くしたか?何も戦場育ちの不幸話を吹かすつもりはねぇがよ、「これ」しか知らねぇんだからしょうがねぇ」

望むものは金と女――というほど俗っぽくもなかったが、しかし男の纏う空気は決して高貴なそれと本質的には相容れない類のもの。
あらゆる陣営であらゆる戦場を渡り歩くうちに気づけば染みついてしまった、無頼の芳香。
彼女の言う「必要以上の仕事はしない」という問いに、事実上の否を突きつけ。
酒を運んできた使用人などは、明らかに男のそうした野卑の気に警戒感を隠していない様子で、こちらが杯を受け取る瞬間も油断がない。
いい兵士だ、と素直に思う。

「だから、あんたのような強い奴を見るとつい疼いちまうのさ、陣営を別にして会うのも悪くねぇ、とすらな」

傭兵と正規軍の間には、「仕える」という意識の根本的な意識の相違がある。
昨日の友が今日の敵となる。
しかしそういう渇いた世界観の中で唯一の指標が「強さ」であり、これを有する相手に敬意を払う。
だから男は少しばかり、血気にはやる視線を彼女から外し、酒を煽った。

モルガナ > 「貴方達が良く言う言葉で、私が来たからこそこの程度の被害で済んだ、とありますが、
 貴方達にとっては賞賛でも、私にとっては侮辱ですもの。

 私が来たからには一人の被害も出さず敵のみを葬る。理想とは強者が掴むもの。
 であれば、貴族がそれを手にするのが義務でしょう?」

 貴族の権利、それを果たす為の義務を掲げる。故に掴む。故に堅牢たる。
 気位に伴う実力は、義務なのだと。

「ゴロツキと言いますが、貴賓室に飾られた刃の薄い豪奢なサーベルと、
 毎日研がれた山刀。どちらが”実用的(人を殺せる)とお思い?

 それを不幸とするのはブルックスの自由ですわ。が貴方がそれしか知らぬと研ぎ澄ませたもの。
 その山刀が必要な仕事をし、飾られたサーベルは必要な義務を果たさぬ。
 ……後者は、前者に差し上げて溜飲を下げるしか使い道がないというものでしょう」

 時に無能な貴族が反乱を起こされ、しかし固めてあるはずの防備が崩れ、
 餌食となることもある。

 何故、防備が崩れているのか。それを調べる者はいない。

「であれば、さしたる語らいは無粋ですわね。ここでは切り結べませんもの。」

 くい、と火酒を煽る。強く滾り、貴族の胸の頂に尖りが見えて。
 こちらとて、滾っているのだ。戦場にあっては権利も義務もない。
 生と死は等しくそれが合わさったもので、与えられるのは何らかの強さを得たもののみ。

 それが一人、平民でありながらサーベルより義務を果たす山刀がいるのだから。

「ああ、もう一度お伺いしますが」

 テーブル越しに顔を寄せ、その後、そのテーブルを横に避け。

「貴賓室に飾られた刃の薄い豪奢なサーベルと、
 毎日研がれた山刀。どちらが”実用的(女を殺せる)とお思い?」

 ……突き立ててみせよと、煽る。嗤う。ともに仕合う(まぐわう)頃合いであろうと。

モルガナ > 【移動します】
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からモルガナさんが去りました。
エズラ > 「……恐ろしいほど他人の心に入り込むのがうめぇな、それも貴族の嗜みかよ」

流石に口角が上がってしまうのを抑えられない。
自分ですらこうなのだから、あっさりと宗旨替えさせられる者もこれまで数多かったろう。
そして、彼女といずれもし、剣を交えることになったとするなら、今日のこの会話が自分の命取りにすらなりかねない――ということに思い至って戦慄する。
二人の合間に渦巻く異様な空気はしかし、やはり彼女の方から絶妙のタイミングで解かれる。

「……ムッフフ、そりゃあんた、このオレが小綺麗な刀剣に見えるのか?」

ようやく男の表情が本当の意味で崩れ、そこに情欲の炎が新たに燃え上がるのであった――

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からエズラさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にモルガナさんが現れました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からモルガナさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にモルガナさんが現れました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からモルガナさんが去りました。