2025/05/25 のログ
ヴェスタ > 「……そうか。よく立ち寄った古巣のような――あの辺りでよく誰かが歌っていたかな」

今やそれなりの風格漂う、人間で言えばもう中年と言った所のこの男でも、若い頃と言うものは当然存在する。
二十年か、もっと前か、そんな若かりし頃の別の旅の日々を思い出しているのか。懐かしそうな表情でもあり、どこか少し寂しそうな表情でもあり。

毎夜のごとく覚えたての酒場通いで大騒ぎし、時には十数人も集まって馬鹿騒ぎになり、静かな晩の方が少なかったような……と思い返しては少し笑ったり。
今ではこうして、喧騒を眺めはするものの一歩引いた所で静かにしている事の方がすっかり多くなってしまったものだ、と思い至ればまた少し寂しい目になったりもして。

火の傍に居る者達が、今度は最近流行り始めたものだな、と言うのを歌い始めていた。
通りからそれにつられて覗き込む通行人と、振り返れば目があって。真っ黒い豹顔と目があっても、この辺りでは、しかも夜であればそれほど驚かれないものだな、と感じる。場所と時間が、それなりに肝の座った連中がうろついている頃合いなのだろう、と。
目を軽く伏せるようにして、知らない者同士でも何となくの一瞬の挨拶を交わし。そしてまた通り過ぎて行く者達を眺めもしながら。

ヴェスタ > 今夜はお開き、と言う様相で、火は片付けられて集まっていた者達もそれぞれに散っていく。
ふむ、では自分も宿へでも戻るとするか、と立ち上がり。

さっきまで聴いていた歌の中の、ずいぶんと久しぶりに思い出した気がする一曲を、小さく鼻歌で鳴らしながら、灯りの少ない路地へと歩けば夜の闇の中に黒い姿が溶け込むように見えなくなって行く。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からヴェスタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にグアルティエロさんが現れました。
グアルティエロ >  
「ぁーよっこいしょ」

一昨日から降り頻った大雨と強風。
川が氾濫したの民家が崩れたのという被害は幸いにも出なかった。

「ふぃー。かなわんなほんま」

――貧民地区、以外の話だが。
ばっちぃ用水路は溢れ返るわ、ボロい民家は屋根が飛ぶわ土壁が溶けるわ、
エトセトラエトセトラ。
王国内での活動で大変世話になっている長屋に教会も多分に漏れず、倒壊こそしていないが水浸しに雨漏り、
エトセトラエトセトラ。

只今は、普段から金がないものだから常日頃から手入れ必須の小さな教会で水浸しになった惨状の清掃中。
長椅子から祭壇からシンボルまで一先ず庭先へと運び出して汚れた各々を水拭きしてから綺麗に拭いて……
これだけでも、朝から始めて、気がつけばとっくに昼も過ぎていた。

お天道さまは曇天に隠れて見えないが腹の減り具合からしておそらく正午過ぎ頃だろう。

「……ん゛~。一服入れよかな……」

ド派手な上着を脱いでも尚派手な髪色を日が照っていずとも輝かせながら、顔には疲れを滲ませ嘆息一つ。
綺麗にしたばっかりの長椅子にゆっくりと腰掛けても、ぎしぃっ! と派手に軋ませながら、尻を落ち着ける。

グアルティエロ >  
「今日明日はまー説法どころやあらへんで?
 中のもん片すだけでこれやろ。中をきれ~にして乾かしてぇ言うと……」

これから明日明後日明々後が快晴快風として、ボロいという唯一の利点でもある風通しの良さを考えても。
ご近所さんを集めて説法やら宿無しの者たちへの配給といったものは余裕見て一週間前後は出来なかろう。
金が無いから修繕作業は自分達でどうにかするしかないから、余計に。

「まーまーしゃーない。お天道様の気分はどーしょーもない。やれることやらなな。
 ほれ君らも飯やら休憩やらしてきぃ。ここぁ俺がちゃんと見とくから」

うなだれる同胞たちや善意で手伝いに来てくれたご近所さん達を休憩に送り出す。
盗む物なんてまともにありはしないが一応の用心。
残って、背凭れに背を預け、手足もだら~んと投げ出して、自分は自分で寝落ちしない程度に気を緩めて休憩。

グアルティエロ >  
「ぃよっしゃ」

しばらくの間は手足を投げ出した儘ぐで~っというオノマトペが周囲を飛び交いそうな様相。
しばらくの後おじさん臭い掛け声上げれば身を起こして、お手製の竹筒水筒で水分補給。

「もうひと頑張りしましょかね~」

後、長椅子から尻を持ち上げて、皆が戻ってくる一足先に修繕作業に戻るのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からグアルティエロさんが去りました。