2025/02/28 のログ
■エレイ > 目やにを取り終えた後も、しばらくは猫の相手をして過ごし。
いつしか、男の姿も猫の姿もその場からは消えていて──
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にTDさんが現れました。
■TD > 貧民地区。夜が齎されている中光源らしきものは殆ど無い。月明りは細く、足元不注意で歩いていれば蹴躓いてしまう事も在るだろう。
家。家?と呼んでいいものかは分からないが、素焼きの煉瓦を積み立てたり、木石を積み上げ張り合わせた家屋らしきものが区画内で互いを寄せ合うようにして建ち並んでいる。
人口密度に比例した窮屈さに切り取られ細長い路地が捻じれながら通っている。その半ばに陣を取っていた。
「ダイスは、君が6で。私が4。私の敗けだ」
何処かで拾って来たという感じのうすぼけたテーブルが配置されている。その上にはこれまた何処かで回収して来たという趣の襤褸布がテーブルクロスの真似事みたいに敷かれている。
その上には真鍮の燭台。そして溶け掛けの蝋燭が一本立って場を照らしていた。そのテーブル上に転がっているサイコロを。
「そして君の勝ちだ。これは君が持っていくと良い」
此処で面と向かい合って二人の男がこれを投げ合った所。そしてその結果として片方の浮浪者と見まごうばかり、実際浮浪者だろう、が、安いワインのボトルを受け取る事になっていた。
■TD > 「もしも出来たら、君の友人にも伝聞して貰えるならば、とても嬉しい。遊ぶ相手は多いに越した事は無いからね。飲み過ぎには気を付けたまえよ。次第に暖かくなって来たからと言ってもまだ夜は冷え込む。泥酔した挙句に目覚めたら凍死していた、などという事になれば悲しい事この上も無い」
片方のフードを深々と被った爬虫類の特徴を多く持った男は饒舌に語り。そしてゲームによって勝利を成し遂げた相席の相手は喜々として戦利品を片手に席を立って立ち去っていき、それを見送るばかりとなる。
そして辺りはまた静かになった。
「……相手が、増えれば良いが。どうなるだろうな」
出っ張っている竜の顎からくるりと巻いているナマズのようなヒゲを手で擦る。
この場所でゲームに興じ続けていた。しかし相手は貧民窟の住民達、余り複雑な内容ではそもそもルールを理解してはくれない。そこでまずは住民達もそれなりに親しみ深いであろうサイコロ博打で相手をしている。
簡単な運任せの内容であるためにレートもさほど大きく設定してはいない。精々が先程に受け渡した酒や小銭程度の遣り取りとなっていた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にキーラ・コリンズさんが現れました。
■キーラ・コリンズ > 「へぇ、テーブルゲームかい」
紫煙を登らせながら、低めの女性の声が竜の頭に響く。
見上げれば白い被毛に身を包んだ、女性としては非常にすらりとした長い足を持った女の姿。
革のジャケットを上に着て、その下にはほとんど下着ともいえるような出で立ち。
下半身も革のズボンを履いており、スタイルも相まってなかなかにキメている。
しかし、全身に生えた白い被毛。その顔は人と比べると前面に突き出ており、狼の顔と狼の耳を兼ね備えていた。
口には煙草を咥えており、煙の臭いがし始めるか。
「相手を探している感じかい?爺さん」
などと言いながら、返事も待たずにこの竜以外は誰もいないテーブルに対面して座る。
片手には袋と、その中には軽食や酒が入っており、酒瓶を一本取り出す。
「ちょうどいい。遊び相手が欲しかったんだ。あたしとどうだい?」
■TD > 「…おっと?」
聞こえる声に座している姿勢から頭部が僅かに持ち上がる。蝋燭の炎を頼りにして赤い眼差しが上目がちにぎょろりと周囲を見回した。声の根に辿り着くまでにはさしたる時間も要さない。
テーブルに向かうようにして曲がっていた背筋がゆっくりと起き上がった。座高であっても身丈の巨大さは佇む相手に劣らず、混ざり合う視線はほぼ水平となる筈だ。
くん、と、鼻先がかぎ取る。焼ける草の匂いを。紙巻か。そしてもう一つ嗅覚に接触したその食事にも目が行き着いた。
「然り。レディ。ゲームの対戦者を探し求める寂しき老竜だ。願ったり叶ったり、もしも君が私の相手をしてくれるならば、私の今の時間はおおいに慰みを得る。喜ばしい事に」
笑顔を形作る。人間のような複雑な表情筋は乏しく爬虫類の面相で感情を表すのはその目元。細く研ぎ澄まされた。
そして勝負の為の舞台のひかれているテーブル上に肘をつき、組んだ両手の上に自らの顎を載せる。腰掛ける相手の姿勢の変化によって自然と見下ろすような形となるのだ。そして小首をかしげる。
「だが、私達はお互いに初対面だ。まずは自己紹介をしたいのだが…宜しいかな?まだ名前を知らぬレディ?」
■キーラ・コリンズ > 表情がほとんど動かない爬虫類に対して、哺乳類の表情はそれよりずっと豊かに。
挑発的な笑みをマズル口から浮かべて、煙草を指に挟んで一度口から離した後、紫煙を空に向けて思い切り吐きだした。
ぎょろりと老竜がこちらを向いたのを確認して、次いで紡がれた言葉に頷く。
「じゃあ、お互いちょうどいい時に出会えたってわけだ。
介護するにはまだまだ耄碌していない爺さんのようでよかったよ」
くくっ、と喉の奥で狼女は笑う。少しばかり悪口のようにも聞こえてしまうかもしれないが。
本人が自分を老いていると言っているのだから、それに乗っただけである。
自然と見下ろされ、その威圧感があるだろうに、女はそれを意に介さずに答えた。
「そうだね。まずは礼儀正しく行こうかい。
あたしはキーラ。キーラ・コリンズ。平民地区のほうでバーをやってる女だ。
今日は知り合いに会いに来たんだがね。生憎この寒さでダウンしちまったから一人酒を煽ろうと思ってたんだが。
なかなか面白そうなものが見つかったから寄ってみたわけさ」
つらつらと、別に本人にとっては隠すことでもないのだろう。
ここにいる経緯や自分のことを並べ立てて、老竜へと答えていく。
■TD > 「何。飲み過ぎた泥酔客よりはシャンとしている、この見た通りに。良い名前だ。キーラ。君の気まぐれにより君というゲームプレイヤーにこうして巡り合えた今日の私の運勢は中々に悪くないらしい――…私の事はTDと是非呼んで欲しいな。本名は大袈裟で余りにも長く呼び難い故に」
冗談めかした口調の応酬に従い、ぱちんとウィンクに片目を眇める。そして綻ぶ口もとにぞろりと牙を覗かせた。和やかな雰囲気。周囲の寒々しさもつかの間に忘れるような。
相互的に自らの名前を語る合間に鱗がめぐらされ筋骨の張った手指がテーブル上のサイコロを丁寧に摘まみ上げる。より正確に言うならば竜爪で挟み込んだそれを持ち上げると、相席の対面者にへと掲げて、差し伸べた。その手元にへと受け渡そうという仕草。
「…勝負はシンプルなサイコロで良いかな…これが君の武器となる。それとも…折角だ。その酒を使うというのはどうだろう?」
そしてその狭間の中で犬が鼻づらでしゃくるかのような身振りで顎をゆすった。その差し向けた行く手にあるのは相手の持ち込んで来た酒瓶となる。
同時において余るもう片方の手がテーブル下を探り、此処までの貧民窟の住民とのやり取りの中で入手したガラス製のワイングラスを舞台の場にへと持ち出し、テーブルの上に置いた。
■キーラ・コリンズ > 「あたしも運気自体はありそうだね。こうして楽しそうなモンにありつけたわけだし」
ウィンクをする老竜に笑いかけながら、紫色の瞳が竜を見上げる。
老竜から差し出されたサイコロ。その竜爪の下に、自分の手を伸ばして受け取ろうか。
彼がそのサイコロを落とすのなら、しっかり掌で受け止めて握りしめる。
「構わないよ。遊ぶならシンプルでも複雑でも。今は楽しめりゃそれでいいさね。
……へぇ、いいじゃないか。そういう提案は大好きだよ?」
ニヤニヤと、彼の顎の動きを見て酒瓶をワイングラスの隣に置く。
自分が勝とうが負けようが関係ない。今を楽しむと言わんばかりに言葉に乗り。
「で、勝った負けたの処理はどう扱うんだい?勝った方が飲むのか。負けた方が飲むのか。
ダイスの差で飲む量が増えたりするのか……ククッ、楽しそうじゃないか」
■TD > 「いやいや。君は他の人間達よりも頭が回りそうだからな。ダイスの大小だけで勝負を決するのはやめておこうか。でもルールは簡単だ。このワイングラスに君の持ってきてくれた酒を一定まで満たす。そしてお互いにコインをそのグラスの中に好きなだけドボン。先にワイングラスの中身を外に零してしまった方が敗け」
つ、と、ダイスを渡し終えた後の爪の先でくるりとグラスの縁をなぞるように回す。軽く握っていた手を開くと、そこからじゃらじゃらと音を立てて携えるコインが零れ落ちて卓上に軽く積み上がり始めた。
そしてその視線で相手の酒瓶にへと目を配る。延ばす片手は置かれた瓶の口部分を包み込み、捻る指先の動きだけでコルクを、またはその蓋をきゅぽんっと音を立てて捻り開けてしまう。
「そうだな、もしも君が敗けてしまった場合は、その時は手元のサイコロを振って貰おう。その出目の分だけグラスの中身に満たしたワインを飲み干す。バーテンダーさん。君は幸運であるかも知れないが、酒の強さの方は如何なものだろう?」
ためすがつ、吟味をし、挑むかのような眼差しを対して向けつつ。ずっしりと重たいボトルを持ち上げるとそのまま傾け、グラスの中身を満たし始めた。とくとくと流れる水音が止むのはグラスの9分目の分量を少し超える程度までだ。
グラスをもしも迂闊に持ち上げればそれだけで零れそうなほどになるまでにグラスの中身は重くなる。
■キーラ・コリンズ > ひゅう♪と、コインがじゃらじゃらと出てきて、竜の指だけでコルクが抜けるのを見て楽しそうに口笛を吹く。
テーブルに肩肘を乗せて手の甲で自分の頬を支えるように押し当てながら狼は挑発的に笑う。
「ルールはわかった。なかなか負けた側にはキツいけど、それがいいね。
あんたは強そうだが、あたしもグラス一杯を6回はどうなるかねぇ……」
酒瓶の中は安い葡萄酒。水音がグラスに注がれていき、その赤が強い紫色の液体がグラスを満たし始める。
それを眺めながら、女は手の中にあるサイコロを軽く弄び。
重くなっていくグラスを目に収めて。
「先攻と後攻はどう決める?それもダイスかい?」
コインを数枚手に取り、重さと大きさを確認しながら、グラスから香る酒気を味わいながら聞き。
■TD > ごとん、と、間もなくして手に持つ瓶はまた卓上にへと戻った。路地裏に吹き込んで来る風にゆらゆらとグラスになみなみ湛えられた赤ワインの表面が波打つように揺れる。
そして貨幣を鋭い爪先が探り、相手に遅れてその大振りの一枚を拾い上げた。
「もしも、前後不覚になるのが心配ならば住所を聞いておくよ。安心して欲しい、送り狼になる積りはない。私は竜だからね…というわけで、レディーファーストといこうか。先を譲ろう」
す、と、掲げるもう片方の手の先で相手の所持しているコインを指さし。ついで酒を含んでいるグラスを指差した。
そこまでやると自らは着いていた肘をおろして、イスの背もたれに深く自らの体重をかけて寛ぎ直す。手番を譲った相手の所作、動向をうかがいながらくつろぐ姿勢。
そして、それこそバーの世間話のように何気なく話題を振る。
「…ところで、もしも余り触れられたくない部分であるのなら申し訳ないのだが。中々にこの街でも珍しい風貌だね。ミレーともどうも違う。その姿は元来のものかな?それとも何かの呪いだろうか?」
■キーラ・コリンズ > 「そうだね。保険っていうのはこういう遊びの時にするのはアレだけど。
ケチがつくのは避けたいし住所は教えといてやるよ。
なにより、それでTDがウチの店でゲームしてくれたらもっと楽しくなりそうだしな?」
コインを一枚空中に向けて親指で弾いて、パシッとそれを掴み取る。
では、とコインを入れるために、テーブルに片腕を置いて軽く立ち上がり。
その豊満な胸と高い足を伸ばしながら、まずは小手調べに2枚。コインをグラスに向ける。
「んー?まぁそうだね。ミレーと勘違いされることもあるけど、あたしはミレーじゃないよ。
……まぁ、呪いのようなものかね。あたしは受け入れてるけど。
いろいろあって、後天的になったものなのは間違いないよ。
そういうアンタは生粋の竜でいいんだよね?」
ぽちゃん……と、酒に波紋を立てて……。コインがゆっくりと落ちていく。
どうやら、まだ限界ではないらしい。
■TD > じゃら。爪とコインが噛み合い金属的な軋りを漏らした。ワイングラスと相手の手元の注意深い観察。
水の揺れる音。薄い泡を昇らせながら沈殿して行くコインがグラス底にこつりとぶつかる音を聞いている。
「おっと。場所を提供してくれるという事かな?それは有難い話だ。屋外だとまだ中々に肌寒いものでね……いや、単に客寄せか、チャッカリしているものだな」
何とも言えない顔(目元だけで主に表現し)また僅かに顎元を綻ばせる。長く張っているマズルの顎下を軽く手で撫でさすりながら思わしく溢れぬグラスの様子を見守りつつ。
酒面の波がやっと鎮まった辺りでもう一枚、二枚、と、そこに堆積しているコイン山から貨幣を掻き寄せて手に拾った。
「なるほど。世は広く、私の知らない事象に溢れている。どういった現象なのかは興味はあるな。私は見ての通りの竜だよ、キーラ、産まれながらに尻尾もあったし、牙も生えている。翼もね。山岳の洞窟で古典的な悪しき竜をやっていた……が、紆余曲折してかくに至る。君は?その姿になる前は」
ぽちゃ。ぽちゃ。と。立て続けに二回の音がワイングラスから生じて飛沫がかけそく泳いだ。ずっしりとした重量のコインが緩慢と流れ落ちて行く。表面張力でぎりぎりに零れ落ちぬ程度に葡萄酒の層が盛り上がり、そよ風にぷるぷると震えている。
切り返す順番はコインを落とすだけではなく、質疑応答の質問もまたそこに加えられた。