2025/02/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 スラム街」にレトさんが現れました。
■レト > 大変な区域に異動となってしまった。
刀傷沙汰や盗難、誘拐などが後を絶たず治安の悪さは指折りの貧民地区勤務だ。
平民地区の退屈さが恋しく思える、ピリピリとした危なっかしい空気で過ごす一日は苦痛である。
「先輩は好きにやれるから楽って言ってたけど……なんだかなぁ」
平民地区や富裕地区でも衛兵の腐敗や汚職はたまに見聞きしていたが、今回はどっぷり。
冒険者や捜査機関が現れたらこの辺りを取り仕切ってる無法者と結託して罠にハメなければいけない。
ちょっと気が引けるが同僚も偉い人もみんなやってるし。
何事もなく終わればいいなと願って、ひとまずは届出がなされていない娯楽施設へ不用意に人が入らぬよう路地裏の見張りをしておく。
この地域の危なさを身に染みて理解してる現地民はまず出入りしないだろうが。
■レト > 「はい、そこの君ストップ。危ないから進んじゃダメだぞ」
不意に、走ってやってくるのはボロボロの服を着て薄汚れた男の子。
危険地域であるはずの路地裏にもかかわらず、肝の据わった子供たちだ。
『つかまっちゃう!!』
だだをこねている男の子を面倒くさそうにあしらっていれば、もう一人の男の子。
平民地区のような娯楽文化もないストリートチルドレンたちは、入り組んだ地形を良しとして鬼ごっこをしていたのだろう。
とはいえ、子供相手でも情け容赦ない悪漢のナワバリに通せば後味が悪い。
語気を強めて追い返せば、内心ほっとする。
■レト > 真昼だというのに物陰の薄暗さが夜より恐ろしく感じる。
夜間の巡回や人探しなんて危険すぎてやってられない。
衛兵の間でも横柄な年長者はいるが、殺しに何の抵抗もない犯罪者となれば話が違う。
仮に力で押さえつけられても、裏社会のネットワークが確実に自分を捕捉して始末しにくる。
汚職の罪で上官が飛んだり捕まったり。汚職の罪を着せられたり嫌気がさして辞めてしまったり。
王都の衛兵は、体力以外の方面がより大事かもしれない。
(まあでも、特別手当もらえるしいっか……)
悪い事に加担しているという罪悪感に耐えられるなら、余計な事をしない限りサボってもお咎めなし。
危険な任務という事で給料も気持ち程度だが割高、ヤバい仕事なら犯罪者が口止め料までくれるのだ。
■レト > 「はぁーぁ……」
壁際へ無造作に並べられた樽に腰掛け、水筒の水を飲んで小休止。
平民地区に比べればじっとしていてもいいが、下手を打てば首が刎ねられる恐怖はかなりのストレスだ。
乗り気ではなかったが上の気分次第で有無を言わさず無茶な仕事をさせられる。
王城の警護は現場こそ安全なれど、王侯貴族の不興を買わぬ振舞が求められるので生きた心地がしなくなるわけだが。
(こういう仕事は冒険者にやらせろよ……)
軽くストレッチをして、緊張と同じ体勢が続いて凝っていた身体をほぐす。
早く日没が来てほしい。生かさず殺さずの焦らしを加えられてる気分だ。
■レト > 日が傾き、ほんのり空の色が暗い青みを帯び始めてきた。
後ろから物陰を感じるとすぐさま樽から腰を上げ、ピンと背筋を伸ばして振り向く。
ラフな格好をした危ない雰囲気漂う男達からは、もう用は済んだから帰れと乱暴な労いを受ける。
「は、はい。お先です!……分かってます、はい!」
頭を下げて帰ろうとすれば、他言無用だと念押しされる。
向こうは非武装だが目つきが刃物のように怖い。
何はともあれ無事に表に帰れる。本当に大変だった。
物々しさを増していく路地裏から出れば、こっちはこっちで殺風景だし寂しい景観のスラム街なのだが。
(……この辺りで遊べそうなとこは……ないか)
キョロキョロと周辺を見回して、流石にこんな場所に娼館などないか と期待を捨てきれない様子で街を歩き進む。
■レト > 徒歩で自宅まで帰るには些か大変だ。
平民地区行きの馬車が停まる場所まで歩き続けることにする。
この辺りではすっかり衛兵たちの悪い実績が知られているのか、貧民たちが自分を見る目はどこか怯えているよう。
汚職や犯罪にもがっつり加担している上に武装までしている。国家権力にも守られてるとなれば当然かもしれない。
気の毒だな と思いつつも、スラム街から離れたところで馬車の停留所を示す看板が目に留まれば、そこで帰りの便を待つ。
よいしょ とベンチに腰掛ければ、今日の晩御飯や平民地区の方が遊びには向いてるのかも と考え直したり。
ついでに汗もかいたし、風呂にも入りたい。
■レト > ベンチでじっと待つ事十数分。
少しずつ荒れた路上をゆっくりと進む馬蹄と車輪の音が聞こえてくれば、待ってたと言わんばかりに立ち上がる。
富裕地区、平民地区、貧民地区のルートを往復する便は複数あるが貧民地区に用がある者はあまりいないので日没以降は目に見えて便の数も減る。
富裕地区と平民地区の間は夜間も送迎が盛んなのに、とても分かりやすい。
馬車に乗れば公の衛兵が使える国章があしらわれた手帳を渡して利用日と区間を記入してもらう。
騎士になれば自分の望むタイミングで手配してもらえるという。
交通費が国負担なだけありがたいが、羨ましい話だ。
「どうもです、よろしくお願いします」
御者に頭を下げれば、はぁー終わったと馬車内でリラックスモード。
揺られるたびに眠気も微かに感じるが、長い守番に比べればあっという間の移動。
馬車を降りれば見慣れた景色が広がっており安堵しながら詰所へ戻っていく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 スラム街」からレトさんが去りました。