2025/01/03 のログ
■シェラグ > 「あら、こんにちは。ちょっと座っててくださいね。」
獣耳がぴくんと反応する。 見知った相手だった。
テント内にある簡素なスツールを指差す。
「今準備しますから、ちょっとまっててくださいね…。」
小瓶を取り出し、鍋の中身を注ぐ。微妙な量が残っていたので、
まとめて注ぎ切った。
「はいどうぞ。 サービスで普段の1.4倍ぐらい入っちゃった。
お値段は1本分でいいですよ。」
太く長い尻尾をくねらせながら相手に呼びかける。
「お外の様子見ました? 何でも流行り病らしくて、
お店がお休みになってるところも結構あるみたいですよ。
営業してるお店の人たちが言ってました。
『ライバルが休みなのは嬉しいが、その分俺達が働かないといけない』って。
良し悪しですよねえ。」
のんびりした調子で続けながら、テキパキとお茶の準備を進める。
あまりこの辺では飲まれないお茶だが、自分からすれば良く馴染んだ香りだ。
■クロス > 「ん、どうも…」
(差し出された小瓶に詰めたローションを受け取る。
自分が致す際はあまりこういった道具を使うことが無いのだが、持っていても特に問題はないだろうし、いざと言うときには使える。
それに、腐る心配もないだろう)
「あぁ、俺も一仕事終えてやってきたが…ひどいもんだな。
残っているのは大抵が変わり種の娼館。
ノーマルな場所も、正直俺からすればイマイチな所ばっかりだったな…。」
(軽く眺める程度に開いている店を眺めていたがどこもイマイチであり、それに自分の好みではないプレイの場所ばかりであった。
折角一仕事終えたと言うのにこうも営業が悪くなると正直、期待外れ故の絶望感がとてつもなく襲ってくるのだった。)
「全く、一仕事終えた後にここで一発二発抜くのが俺の習慣だったのに、これじゃ不完全燃焼も良い所だぜ…。
…それにしても、変わった茶の匂いだな?
俺はあんまり茶は飲まねぇけど、今淹れている物は変わり物のい茶か?」
(シェラグに愚痴を呟くような独り言を喋りながら少々悩ましいように眉間に皺を寄せる。
いつもの習慣、自分の楽しみがなくなるとなるとどうも不満で胸がいっぱいになってしまうのだ。
スツールに腰を掛けて寛いでいると淹れている茶の匂いが自分の鼻に入る。
あまり嗅いだことのない部類の物、自分があまり飲まないためそこまで種類を知っているわけではないのだが、また変わった様子の物なのは一発で分かったのだ。)
■シェラグ > 「あら、やっぱりですか!
うーん…。 困っちゃいますね。
ここが栄えてないと商売上がったりなんですよねえ…。」
春をひさぐときに使う物品…消耗品や淫具の取り扱いで自分は食っているのだ。
相手の発言を聞くと露骨にげんなりした表情になる。
気持ちを表すように、尻尾も力なく垂れ下がった。
「そうですよねえ。 ひと仕事終えた後はこういう場所は盛り上がりますからね。
特にあんまりいいところが空いてないってんじゃあ…いても経ってもいられませんよね。
うーん…。 もうしばらくすれば流行り病も収まるとは思うんですけどね。
あっ、これですか? 地元のお茶です。 いいものじゃないですけど、
王都じゃ珍しいものではありますよ。 地元ではこれを飲むと流行り病に
かからないっていうんで、こういう季節の時はみんな飲んでました。」
どうぞ、と木製のカップを相手に差し出す。 なみなみと注がれたお茶は
湯気とともに不思議な香りを立ち上らせた。
「わたしも、今日はもうお休みしようと思ってて…。
お話する相手が来てくださって嬉しいです。」
個人の娼婦は、娼館がいっぱいのときに使われることも多い。
そういった意味では、そもそもの客がいないと個人の娼婦も
食いっぱぐれてしまうのだ。 シェラグとて春をひさぐことはあるが、
それは需要が娼館だけでまかないきれないときがほとんどなのである。
■クロス > 「まぁ、貧民地区は良くも悪くも一発屋だからな。
一回の商売でガツンと大量に稼ぐのがここのやり方だろうし、その証拠にアブノーマル系の店はこんな状況でもやっているわけだ…。」
(流行り病が広がれば基本は休業するのが普通。
だが、それでさえも売り物にしようと考える場所は多数存在していた。
だからこそ、そういうものに賭けることも含めて売り上げが下がるのか上がるのかは運次第と考えれるのであった。)
「店が休んでいるんだったら仕方がねぇ、もうちょいここら辺を歩いて個人売りでも居れば品定めはしてみてぇけどな…。
…へぇーこいつがか…風邪やらそう言うのとは無縁だし、俺にはそういった文化がなかったからな…かなり珍しいぜ、これ。」
(差し出されたカップを受け取り中を覗く。
見た目は普通だが立ち上がる香りはかなり不思議であった。
風邪になることも、その対策も、他国の文化に触れることさえも無かった男からして未知の物。
だが、怖気ずにちょびっと啜りながら味を確かめるのであった。)
「ん?もう休んじまうのか…折角出会ったし、ちょいと今夜の相手をお願いしようと思っていたが…
ま、話し相手ぐらいなら俺でもできるぜ?」
(テントの外で匂いを嗅いだ時には既にテントの中の人物が誰なのかわかっていた。
外の娼館もこんな状況でもあり、何度も世話になっていたこともあったからお願いしようと思っていた気満々であった。
だが、休もうとしているならば強要はしない、それが男にとっての営みへのルール。
返せるかどうかは別として話を聞いて、それ相応に受け答えはできると思い、そこら辺は快く受け入れたのだった。)
■シェラグ > 「たしかにそうですよねえ。大手は大手で良いようにやってくれればいいんですが…。
個人でやってる人たちも大変そうですよ。 わたしみたいに副業?主業?があれば、
まだなんとかなってるみたいですけどね…。」
ふたりで眉をしかめていたところでお茶の話になる。
相手の言葉に頷いて答えた。
「薬草茶というにはちょっと普通の味ですけどね。
体が温まるお茶なので、ある意味流行り病に強くなるんでしょう、たぶん…。
ええ、今日はお客さんはいらっしゃらないみたいですし、
ローションも売り切っちゃいましたからね。 日銭は稼げたってところです。」
相手の言葉に大人しく答えながら、のんびりとお茶を嗜む。
かく、二人が納得するまで、テントでのお茶会は続くのでありました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」からクロスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」からシェラグさんが去りました。