2024/12/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にオウルさんが現れました。
■オウル > 右耳を澄ませば酔っ払いの喧騒。
左耳を済ませば娼婦の姉さん方の客引きの声。
今夜も何時も通りか何時も以上に騒がしい貧民地区。
その喧騒に混ざりたくても混ざる金もなし、もっと言えば混ざる暇もなし、少年は貧民地区の見回りの仕事に邁進している。
「ったくさー………いいよなぁ?金のある奴らはさ。」
金があれば貧民地区で生活なんぞしたくない。
平民地区で極々一般的な暮らしをしたい。
それが目標であるがゆえに盛大に愚痴をこぼし、こぼした愚痴を飲み込むように「おっと」と口を押えて苦笑いをする。
貧乏暇なし、俺は金なし。
どっちも意味もまあ同じである。
眼帯下の異形の瞳も裸眼の人間の瞳も細めて、どこか遠い目をする。
今は『ギルド』の仕事ではなく、冒険者ギルドの仕事。
愚痴をこぼしても聞かれなきゃいいし、何ならサボってもバレなきゃOK、『ギルド』と違って監視もないのんびりとした空気の中で、平民地区と貧民地区の境の路地を歩く。
迷子がいれば確保して目的地へ案内を。
指名手配の人間がいれば笛を吹いて仲間を集め、喧嘩が起きていれば仲裁を、何てなんにも起きなければ簡単な仕事なのだ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にグラスフィーエさんが現れました。
■グラスフィーエ > そうしてのんびりと歩く少年に・・・
いや、正確にはその影に、奇妙な変化が起こる。
まずは背中からにゅっと2本の腕が飛び出て、そのまま少年の首に巻きつく。
腕に続いてシルクハットが、その下のろくに整えてもいないショートカットが
やはり影となって少年の影の背に乗る。
更に少年が歩進める度にタキシードらしき服、ズボン、革靴などの影がしがみ付くかのように現れて。
ここまでの間少年の体には一切の気配、重さなどはかかってきていなかった。
しかし、本来影は本体あってこそ作られるものである。
それを無視した形で顕現した影は、律儀にも世の物理法則に合わせようと
本体を作り出す。
つまり。
非常に唐突に、少年の背中に白黒縦縞のタキシード着た女の姿が現れ、
同時にその重量(露骨に言えば40kg)がずしりと圧し掛かってくる。
そういう超常現象じみた現れ方をした魔族女は、けら、と一笑いした後、
こう声をかける。
「ケケケケケケッ、やっほぉーしょうねーん、ご機嫌如何っスかー?」
・・・前にその身を買われたにもかかわらず、約束すっぽかしたとは思えぬ
お気楽そのものの声で。
■オウル > これが【ギルド】の仕事の最中であるとか、或いはポーターとして仕事をしている最中であれば、間違いなく針を抜くのだが、今夜は冒険者ギルドの簡単な仕事であったので、油断していた。
ぬるりと、という表現とは違うかもしれないが、自分の首に誰かの腕が絡みついてきても、背中に影が覆いかぶさり、更にはしがみ付く様に重ねられても、気が付かなかった。
――…で、気が付いたのは……。
「おっもっ!!!」
唐突な重圧、重量、誰かの体重。
あっでも少々柔らかな感触を背中に感じたかもしれない、が気のせいかもしれない、が、誰かの悪戯に欠伸を噛みしめて半分寝落ちかけていた意識が引き戻される。
「ご機嫌は最悪だよ!さ・い・あ・く!
いきなり背中に伸し掛かられてハッピーハッピーになる奴がいたら紹介して?マジ。」
聞き覚えのある声に、何とか声の主に押しつぶされないように、気合を入れつつ眼帯下の瞳も裸眼の瞳も細めて、言葉ではいたのと同じように不機嫌そうな表情を浮かべる。
こいつ、前に買われたくせに逃げたあの女。
まあ貧民地区ではよくある事なので、それに関しては怒っていない、怒っていないがいきなり背中に乗られたのはねぇ?
と、両腕を自分の後ろ手に回すようにして、伸し掛かる相手をおんぶする様な感じで腕を伸ばして、そのタキシードパンツに隠れた尻を鷲掴みにしてやろうと。