2024/08/26 のログ
カミュ > しとしとと細かな雨が降り続ける。
鬱蒼として陰鬱な雰囲気の中、近づいても気づかぬ相手に男は声をかければそれでようやく自分の事に気づいたようで。

「ふふ。それは良かった。 会えてうれしいですよ。 もちろん、あの大きな建物、お城や図書館以外にも行きますよ?」

返ってきた言葉は相変わらず淡々とフラットのようにも感じるが、どこか驚きを孕んでいれば男の顔には笑みを浮かべて。

伸びてきた指先、男に近づけば涼やかな風の膜が白い指先を撫で擽っていく。
伸ばされた指、自身の右手を掴み軽く引き寄せられれば男はその動きに抗わず歩み寄り、隣に腰を下ろし。

「ふふ。ありがとうございます。」

身長差故、自然と相手を上から見下ろしながら男の右手を掴んだ手を持ち上げ、酒瓶の雫で濡れた指先に口づけを落としちゅっと軽く吸おうとした。

枢樹雨 > 触れた貴方の手は、結露に濡れた己の手よりも渇いていた。
そんな事に気が付く様子もなく、妖怪は導くまま隣に腰掛けた貴方を見上げる。
変わらず整った顔立ち。雨天の夜闇にも映える銀の髪。
妖怪の生まれた国では見る事の無かった美しさを見つめるまま、その口許に引き寄せられる己の指先を見送り。

「君は、あの建物にしか居ないと思っていた。こんなに色の違う地区までやって来るとは、意外だったよ。」

貴方自身が身に纏う雰囲気は、あの大きな建造物や数多の書物に囲まれる空間によくよく馴染んでいた。
だからこそ言葉通り意外そうに金の瞳を見つめ、そして触れる唇に小さく指先が震える。
それは何故か。妖怪も驚いたのか再び数度瞬きを繰り返す。
零れる吐息は変わらず酒精を帯び、そして僅かに熱を帯びる。
妙に、他者の接触に過敏になっている気がする。

その理由が右手に残る酒瓶の中身にあると、妖怪は知らない。
貧民地区の一角で薦められ、無償で受け取ったその酒瓶。
中身は確かに酒であり、甘さも感じられるロゼの味わいであり、そして人の身を惑わす薬物入り。
遠巻きに様子を伺う男が数人いる事を、妖怪は知る由もなく。

「人の子は、簡単に病を患うから…、濡れない方が良い、らしい。」

己の変化に戸惑い、首を傾げ乍ら、顔見知りとなった相手を気遣う言葉を向ける妖怪。
貴方の口許に残る指先から目線を外し、もうひと口、酒瓶の中身を体内へと。

カミュ > からりと乾いた男の肌と衣服。
風の膜は今は二人を包み湿気を散らし始める。
こちらを見上げながら紡がれる言葉にうなずき耳を傾けながら指先にまとわりついた雫を味わえばアルコールの酒精や葡萄の作る酸味や甘みの他に媚毒。
残念ながら男の体質的には特に影響はないが…。

ちゅ、と吸った指先の小さな震えにほのかに上がる熱に目を細め。

相手がどのように入手したかは分からないがなかなか性質の悪いもののようでもある。
気配を探れば離れた所にいくつかの人の気配。

男にとってそれはどうにもなるものであれば今は置いておいて。

それよりも相手の気遣いの言葉に男は笑みを深め、小さく頷き。

「そうですね。 良く学びましたね。」

目線を外しながら再びダイレクトに酒瓶に口をつける相手に小さく笑いながら男は優しく学びの成果を褒めるように囁いてから、口元の手を柔らかく握り、指先にもう一度口づけを落としてから相手の後ろ頭を優しく撫でて。

「ただ、枢、いくら外とはいえ直接瓶から飲むのは少しお行儀が悪いですよ?」

等と囁きながら頭を撫でていた手で肩に男の腕を回し、瓶を持つ枢の手に重ねてから次は自分とばかりにその媚毒入りのワインを男ももう一口飲んでみようとした。

枢樹雨 > 貴方の手が、衣服が、乾いている事に気が付かないのは、質の悪い酒が妖怪の思考を揺らすが故か。
ただ少しだけ風が指先を撫でる気配にだけ、皮膚のくすぐったさを感じた。
何故と、問う言葉は少しの熱に溶かされる。
元より低い体温が、じわりじわりと人の子の其れへと近づいていく。
けれどその微々たる変化に、妖怪自身はまだ気が付くことなく。

「ん…、本を読むのは、楽しい。」

瞼を閉じることで頷きとすれば、再び喉を潤し、犯す酒にそっと吐息を零す。
其処へ貴方の手が伸びるなら、続けて酒瓶が薄い唇に触れることはなく、胸元で留まり視線は貴方へと戻っていき。

「……だって、酒器が手元に、なかったから。」

お行儀が悪い。それは叱られる類の言葉であると、さすがの妖怪も知っていた。
優しく髪を撫でる手に心地良さ気に双眸を細めた矢先、その言葉にしゅんと眉尻を落とせば、言い訳じみた言葉を紡ぐ。
…と、貴方がその瓶を口元へと引き寄せるなら、妖怪の手がそれを止めることはしない。
金の瞳を覗き込み、口内へと落ちた酒が喉を通り抜けるのを見つめ。

「…おいしい?」

まるで自分のお行儀の悪さを肯定してもらうかのように、その美味しさを問いかける。
甘さを感じさせる、誰にでも飲み易そうなアルコールの味。
其処に隠れるのは、催淫効果を持つ薬物のそれ。
無垢な肉体にはよく効果を表すであろうそれも、妖怪は存在すら知らなくて。

カミュ > よほどしっかりと問われなければ男もあえて答えることはないが、それよりも普段は低い体温の相手の熱がどんどんと上がっていくのはおそらく外的要因であろうことには気づいていて。

「ふふ。よかった枢が未だに学び続けてくれているようで。」

と、男は嬉しそうに媚毒の酒を煽る相手を見つめながらうなずきつつ、握っていた手を開放してから手記が手元になかったと呟きながらシュンとして、下がった眉尻を擽るように男の指先で撫でて。

そして、相手に注意をしながらも、酒瓶に口をつけ一口。口内でそのワインの味を味わいながら、さりげなく魔術を編み解析。
そのワインに含まれる媚毒を調べつつ、相手に向けるのは悪戯気な表情。

「えぇ、人目から隠れてお行儀悪くのむお酒もとても美味しいです。枢もその味を覚えてしまいましたか…」

等とお行儀の悪さを肯定しながら、いけないことをするという楽しさを二人で分かつようにくすりと笑いながら答え。

「ただ、枢、見知らぬ人からもらった飲み物や食べ物には気を付けないといけませんよ」

等と囁きながら、眉尻を撫でていた指で頬を撫で、酒精で濡れた唇を撫でてからもう一度火照る頬を男の大きな手で柔らかく包み込みながら枢の耳元へ唇を寄せ口づけを落として。

「あなたが今飲んでいるお酒には媚毒、催淫剤が混ぜられていますよ…」

等と、甘く、低く吐息で耳を擽り内緒話をするかのように男は囁きかけた。

枢樹雨 > 呼気は常より深く、そして熱と湿り気を帯びる。
妖怪にとっては無意識の其れも、酒瓶を渡した者には予測できるであろう状況。
肩を抱く大きな掌に上肢を傾け、貴方の身体に片方の肩を寄せる体勢となれば、元来下がり気味の眉尻を擽る指先に、無防備に瞼を閉じ。

「知らないことは、まだ沢山。驚きも、無くならない。」

己の首には見えない、男の喉仏。そっと瞼を持ち上げれば、それが液体を飲み下す様が近くに見える。
貴方が酒に隠された異物を解析しているとも知らず、ただそれが美味しいものであると、だから飲んで見たかったのだと、子供の様な感覚で問いかける妖怪。
お行儀悪く飲む酒の美味しさが背徳感から来るものである。
それを知らぬまま、美味しかったのだと、味わったのだと、答えるようにこくこくと頷けば、周るアルコールと薬物に仄暗い灰簾石を濡らしていき。

「美味しさを知ってほしいと、美味しかったから買ってほしいと、…"宣伝"と言っていたよ?宣伝は、駄目?」

よく知る相手からの、己の沢山のことを教えてくれる相手からの、忠告。
駄目なことだったのだろうかと、前髪の下で丸くした瞳をぱちぱちと瞬かせ、心なしかしょげた声音で問いかける。
其処に重なる、媚毒という単語。催淫剤という単語よりも聞き覚えのある媚毒という単語。
耳元にかかる貴方の吐息にふるりと背筋震わせれば、頬に触れる大きな掌に自らも頬を寄せ。

「人の身を、惑わす、毒?……カミュ、私はどうなるの?」

初めてこの身に注がれた毒。人の子が作り出した人の子を惑わす毒。
初めてのことに、未知の出来事に、妖怪の声は震えている。
けれど貴方を見つめる蒼の双眸は、好奇と情欲に染まっていた。
頬に触れる手に手を重ね、震える吐息を零し、上肢を自ら貴方に寄せて。

カミュ > 僅かなふれあいで上がる吐息。
艶気すら感じるその湿り気を帯びた吐息がくすぐったくも感じながら、下がり気味の眉を擽り、そのきめ細やかな眉毛のくすぐったさを楽しんでいて。

何やら男の喉仏をじっと見つめる枢に小さく笑いながら上下に揺れる男の喉仏。

相手との背徳の楽しみを味わい分析をしながら小さく頷き。

「そうですね。宣伝は大丈夫です。 その方から何か買ったことがあったり知っている人でしたか?貧民地区でも平民地区でも富裕地区でも王城でも…。口に含むものや肌に触れるものには気を付けないといけませんよ。」

人が持つ悪意には貧者も富者も区別はない。
それをまだ知らぬ相手に男はゆっくりと語りかけながら寄せられる頬を包み込み柔らかく撫で、指先で目じりを擽り、

「そうですね、考えがふわりと纏まらず…、体温の上昇と、普段よりも快楽を強く心地よく感じて溺れてしまう。それをするのが、誰であれ…。
さらに、その媚毒に溺れるうちに誰かに売られたり違うトラブルに巻き込まれてしまう…。」


頬に触れた手、指を絡めるように握りながら、向けられる好奇と情欲に濡れる瞳を見つめながら男の体に寄り添う上司を皿に押し付けさせるように抱き寄せ、ゆっくりと顔を寄せその唇に自身の唇を重ね、男の舌で濡れる唇を舐り甘く吸い始めながら絡めた指先をすり合わせるように握りこみ男の熱を伝えながら枢の小さな手の甲を甘く擽るように撫でていく。

「ん、ちゅ… ふふ。では、私と一緒に枢にこの毒がどう効くのか…確かめてみましょうか。」

僅かに放し男の吐息で濡れた唇を擽りながらささやく男の言葉に孕む甘い毒は体内に溶け込んだ媚毒と合わさり相手にどのような刺激となるか…。

枢樹雨 > たっぷりとした睫毛に、すっきりと添えられた眉。
男らしくも美しい指先にそれを好きに触れさせ、妖怪もまた自由に貴方を見つめる。
自分とは違う部位。笑っていると判る震えをぼんやりと見つめるまま、貴方からの問いかけにふるふると首を横に振って。

「知らない。今日、初めて会った人。…知っている人がくれるお酒も、食事も、美味しくて、私を満たしてくれたから。」

だから貰ったのだと。知らぬ人がくれる物も美味しいかもしれないと。
けれど今まさに、知らぬ毒に身を犯されている。
それ自体は妖怪の好奇心を満たす結果ではあるが、貴方の忠告を裏付けるものでもある。
「次は、気を付ける」と、殊勝に眉尻を落とすまま答えれば、目尻を擽る指先に再度双眸を細め。

「ん…、」

指絡め、触れ合う互いの手。じんわりと伝わる貴方の体温。
唇が寄せられるなら、吸い寄せられるように自らも顔を寄せ、薄い肉を擽る舌にピクリと肩を震わせる。
貴方の唾液に濡れた唇で、貴方の唇に触れれば、至近距離のままに熱を含む吐息を零し、大きな手が弄ぶ己の手の、華奢な指先が痺れるような感覚を覚え。

「売られるのは、嫌。面倒事も、嫌。……カミュは、私を売らない?一緒に確かめるから、売らないで。」

軽く背筋を伸ばし、猫の様に側頭部を貴方の首筋に摺り寄せる妖怪。
自ずと頭の薄絹がズレ落ちるも、貴方相手に鬼角が晒されることを躊躇いはしない。
それよりも金の双眸を乗祖き込み、初めてこの身を犯す薬物への好奇を満たし、その癖面倒事を避けようとする傲慢さでもって貴方に甘え。

カミュ > 「枢、知っている人であれ、油断してはいけませんよ…可愛い枢を前にして悪い気を起こして食い物にしようとする人もいますからね。」

知らぬ人からもらったという言葉に小さく頷き、男は叱ることも起こることも無いのは最終的に相手であればどうにでもできるであろうと知っているから。
なれど知識としてはしっかりと相手に伝える。

ふれあい指を絡ませながら、相手からも近づく顔、薄い唇を擽り甘く吸いながら華奢な手を男の大きな手でからめとるかのように握りしめたりさすったり。

「ふふ。えぇ、私は枢を売ったり、私から誰かに渡したりなんていうことはしませんよ。 」

背伸びをして猫のように甘え始める相手、男はクスリと笑いながら、目の前で露になる角にちゅっとキスを落としてから、側頭部を摺り寄せのびたしなやかな喉を指先で擽り、頭に口づけを落とし、肩を抱いた腕ぎゅっと抱きしめて。

「ただ、それには枢に一杯教えてもらわないといけませんね…これまでの間で前の時と何か違うことはありましたか?」

等と後ろ頭に口づけを落としながら囁き、喉を撫でた指するりと胸元へと滑り着物の袷から手を差し込み布の中籠る熱と上がる体温を確かめながら男の指が鎖骨をたどるように擽り滑っていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」から枢樹雨さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からカミュさんが去りました。