2024/03/26 のログ
グライド > (――へぇ、と、感心が先に来る。
多対一の戦闘で、恐らく確りとした訓練を受けているだろう、とは言え
実戦で、ああも的確に動く事は、中々出来る物では無い
勿論、戦場にまで出張る様な連中なら別だ、が
王都の中でそう言った練度を見る事は、中々無い
あれならば、己が態々手を貸すほどの必要もあるまい

……だが、其れは其れとして、一つ気になるのは
明らかに、現場へと参入出来た筈の、後ろの連中だ
戦闘後の会話と雰囲気からして、恐らくは仲間なのだろう
だが、ならば何故、戦闘を一人に押し付ける様な事をしたのか。)

「――――……訳あり、て奴かね。」

(――理由は知らぬが、恐らく、わざとだ。
勘では在るが、そう推測した後で。
また、本来の目的である魔獣狩りに戻ろうと、踵を返し――かけた、辺りで

恐らくはもう、老朽化が進んで居たのだろう
ほんの少し触れただけの家屋の柱が、ぼろりと崩れて屋根の一部が落ち
――ずん、と、鈍い音を立てる
其の瞬間、黒い塊が、獣の様に隙間から飛び出して――)

「 ―――――! 居やがった!」

(――魔獣だ。 魔術師に召喚された、異形の生き物。
犬くらいの大きさの其れが、真っ直ぐに集団から離れた騎士の元へ牙を剝き突進する
反転して、一気に其れを追走するが、素早さは叶わず。)

「おい、坊ちゃん獣だ! 構えろ!」

(先んじて、声を響かせ警戒を促す。
気付いて直ぐに構えれば、対応する程度の余裕は在るだろう、が
黒い塊と、追いかける金属鎧とが視界に移るのは、少々異様な光景かも知れず)。

イェフィム > 明らかに間合いの外まで届く斬撃。
けども、問題となるのは…。
男の様に屈強都はお世辞にも言えない体格。
はぁ、はぁ、と、肩で息をし始めるのに時間はかからなかった。

後ろからついてきた男たちのやる気のなさも手伝っているのだろう。
少女はほとんど一人で野党をのめすことになった。

「ったく…。」

役に立たない連中、手柄だけ持っていく連中を横目に、
剣を腰に刺して足を踏み出そうとした最中…。

「何…ッ!?」

ぐぅるるる…。
獣の唸なきに反応するより先に、
男の声がその場に響いた。

「くそっ、なんだってこんな場所に…ッ!!!」

言われるまでもない、と、
少女が身構えて大きく腕を振るう。
さすれば獣の皮膚を鞭のようにしなる剣が切り刻むだろうが…。

足りない!!!
腕力の非力さからか、男に向かっていく獣の勢いは止まらない。

グライド > (――一旦、細かい事を考えるのは止めだ
明らかに超重量である全身鎧を纏いながら、獣と遜色なく駆けるが
――僅かに足りない、僅かに届かない
背負っていた大盾を手にしても、僅かに足りぬ距離で
打開策は一仕事終えたらしき騎士の、反撃次第だ

――刹那、騎士の手元が振るわれる
明らかに剣の間合いでは無い、が、其の刹那獣の皮膚が裂かれる
細く伸びた刃が、鞭のようにしなるのを、至近距離になって漸く目にし。)

「―――――良くやった、上等だ!」

(――其れで良い、其れで充分。
突進其の物は止まらずとも、僅かに勢いが削がれた分――届く

振るった盾の突端、剣の如くに鋭い刃を、横薙ぎに一閃すれば
騎士の眼前にまで迫った獣の胴体が、分断され、明後日の方向へと吹き飛び
真っ当な生物では無い事を証明する様に、壁面と叩き付けられて、溶けて行く

――片足を地面に突き刺す様に踏み出し、勢いを一気に止めれば
騎士サマへと体当たりする事は、寸前で免れるだろうが
金属兜の隙間越しに、目が合うやも知れず。)

「―――――……っだぁぁ…、……何とかなったぜ…。」

(盾を下ろす。 ついでに、まぁまぁ危なかった、と肩も撫で下ろした)。

イェフィム > 「マジか!?」「冗談じゃねぇぞ!!!」

さっきまでやる気のなかった連中が、
こんなところでやる気を出すわけもなく。
わらわらわら、と逃げ出す方に動き出す。

「てめぇら逃げんなボケッ!!!」

少女の怒号を背負って逃げ出すばかりである。
言ってしまえば総じて安金で雇われた烏合の衆なのだろう。
少女がのした連中をしょっ引いてくれば金をやる、
その程度の契約で雇われた連中。
当然ながら、このあたりを担当としている少女より、
やる気も気力もないのは言うまでもない。

「……っしゃ。」

男の声に少女は後ろに跳ぶ。
ぼとぼと…、と、吹っ飛んで落ちる獣の断片。
少女はそれを見て胸をなでおろし。

「………悪いな。おかげでなんとかなった。」

正直、礼を言うのも癪ではあったが、
自分一人ではどうしようもなかったのは言うまでもない。
そう言って男性に小さく一礼した。

逃げ出そうとしていた自警団の連中をひっ捕まえて、
後のことくらいどうにかしろやボケッ!!!
と少女は吠えていた。

グライド > 「――――事情は知らんが、大変そうだな、御前さんも。」

(獣が、もう動かないのを暫し確認しながら
結局、最後の最後まで戦おうとはしなかった他の連中に
少しばかり呆れた様な視線を向けて――騎士に同情

其れでも、後処理を担当して居るならば、居ないよりはマシか
一息ついて、礼を言われれば、片掌を掲げて大丈夫だと示し。)

「―――……おう、そうだぜ。
後ろで引っ付いてるだけならよ、犬の方が役に立つってぇもんだ。」

(ゆっくりと、兜を脱ぎながら、吠える騎士へと同調する様に言う
煽る心算は無い、心底そう思って居るだけだ。
怒号が飛んでいる間、此方は獣の残骸を見に進む
召喚生物である以上、己が見た所で、さして分かる事も少ないだろうが。)

「其れとも、其の坊ちゃん任せにしてた方が、都合良い事でもあんのかい?」

(もう、消えかけている死骸を見下ろし、自警団達には一切視線を向ける事無く
そんな事を問いかけながら、死骸から拾い上げた残留物を、小さな皮袋に入れた
紐で縛り、其れを仕舞えば、其れもまた、自警団達の方へと放り投げ。)

「一緒に持って行ってくれるか、冒険者ギルドにな。
それ位は働かねぇと、好い加減、この坊ちゃんに膾切りにされちまうぜ?」

(くつくつと、笑いながら。
ついでに――指で、騎士をちょいちょいと呼ぶ。
事情位は、話しておいた方が良いだろう)。

イェフィム > 「……ふん。」

獣の沈黙を見守り、少女はようやく肩から力を抜いた。
最後の最後の最後まで、決して戦おうとしない連中。
そいつらに呆れる様子が見れば、当然だなとばかりに鼻を鳴らす。

そんな連中に後処理だけ任せると、
少女はようやくしっかりと腰に剣を刺し。

「まったくだ。
 犬なら吠えるだろ、索敵には使える。
 どっかのどいつらと違ってなァ。」

男の言葉に少女も告げた。
男の言葉には動かなかった自警団は、
少女の言葉には「あんだと!?」と声を荒げる。

「そういう契約なんだろ。
 俺が負けたらいい様にできるっていうおまけつきだ。」

大したおまけにはなってねぇがな、と、呟きながら、
ふん、と再び鼻を鳴らすと、
少女は手柄はくれてやるからさっさと行け、とばかりに、
自警団の連中を軽く爪先で蹴っ飛ばす。

自警団の男たちは、
それでも往生際悪く少女を誘おうとする男を引きずるようにして、
残留物を引き取って立ち去っていく。
本当に輪切りにしてやればよかった、と少女は呟いたとか。

グライド > (―――成程、と、納得はした。
寧ろ、負けて仕舞った方が連中にとっては好都合だったと言う訳か
なら、其れは最早自警団では無く、只の荷運びだ
己の言葉にはまだしも、目の前の――騎士、であろう存在には噛み付こうとする辺り
侮って居る事が、言われずとも見て取れる。)

「……輪切りにする程の価値もねぇさ、止めときな。
……で、改めてだが…、悪いな嬢ちゃん、残業させちまってよ。」

(自警団達がその場を去ってから――其れまで、坊ちゃん呼びだったのを、変える
少なくとも見目は、男子の装いであろう相手に、何か理由があるのかと思ったが
気付いては居る、と言う指摘も込めて、そう呼ぶ
そのころにはもう、獣の死骸は殆どが溶けて消えて居るだろう。)

「誰かが召喚した獣なんだがよ、恐らくまだ居る。
何匹居るかまでは判らんが…、……まぁ、この辺りを回るなら、気を付けな。」

(――告げるのは、獣の詳細。 あくまで判って居る事だけだ。
此れだけ騒げば、もう他のは逃げて居るだろうが
知らぬなら、知って置いた方が良い話では在ろう

立ち上がり、盾を又背負い直して、片掌に兜を抱え
改めて相手へと向き直れば。 ――見下ろす視線が、其の顔を暫し眺め。)

「―――細っこい割に、良い腕してるからよ。
油断しなきゃあ、嬢ちゃんなら心配はないだろうがな。」

(口元に弧を描きながら、そんな風に評した)。

イェフィム > 行け行けこのやろ。
とでも言いたげなほどに、
蹴り蹴りとそのけつを蹴り上げる少女。
侮られていることは百も承知なのだろう。

「……ふんっ。
 別に言い直さなくてもいいぜ、
 坊ちゃんみてぇなのは自分でも自覚がある。」

けっ、と小さく舌打ちを一つ。
男装していることも、実際そっちの方が似合っているであろうことも。
少女にとっては大したことではないのだ。
おそらくこれを、どこか遠く、安全な位置で見ている両親からは、
つまらん、と言葉が漏れていることだろう。

「……そうかい。
 そりゃどうも、そっちもこんな言葉は必要も無いだろうが、まぁ、気を付けて。」

此方よりもずっと屈強な男の身体を見上げれば、
少女は彼女なりに心配の言葉を零す。
そして少女はまた貧民街を寝ずの番よろしく回っていく。

「……そうかよ。
 そりゃどうも、次に会ったときは酒の一杯でも奢ってやるよ。」

褒め言葉には、ふん、と小さく鼻を鳴らす。
そして少女はゆらりゆらりと、少しばかり体力落ちた様子で街に消えていくだろう。

イェフィム > 立ち去っていくその姿、
その衣服についている勲章から、
中級貴族の中でも悪名高い「ルクス家」の騎士であることは窺い知れるだろう―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からイェフィムさんが去りました。
グライド > 「―――おう、そのくらいのはねっかえり根性が有るなら良いって事よ。
気を付けな、無理はするんじゃねぇぜ。」

(気軽に、そう言葉を返しては。
まだ此処から巡回を続けるらしき相手の背中を見送って行く
何かに見張られている、何て事までは与り知らぬ事
訳ありなのだろうと言う事だけは、嫌でも理解したが

――其の服に記された勲章には、今はまだ思い出せぬも、覚えがあった。

後日、気になり、調べ直したその勲章が、ルクス家の物であると
漸く思い返す事が出来れば、納得も更に深まろう

――とは言え、向こうは騎士で、貴族だ
己の様な傭兵と、果たしてこの先、又出くわす様な事が在るかは分からぬ
ただ、互いに生きて居るなら。この国に居る限りは。
また、何処かで顔を合わせる事も、在るのかも知れず――)。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からグライドさんが去りました。