2024/01/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジーゴさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > 貧民街の中では随分マシな通り。
娼館のような後ろ盾はなくても自力で稼げる者たちが立ちんぼをしているエリアだ。表通りほどの灯りはなくても、視界は十分に明るい。
今晩は仕事にありつけなかった娼婦や男娼たちもそろそろそれぞれの寝ぐらに帰っていく時間だ。
まだこのあたりに残っているのは、少しでも金が入る望みを捨てきれない懐事情の者か、逆に心身の余裕があって対して急いでもいない者たちだ。

「クソねむ…」
小さな独り言を落とした少年はどちらかというと後者。
帰る家もあるし、今日稼がなくても明日食うには困らない。
ある程度以上伸びないはずの狼の毛も冬毛だからか普段よりもボリュームの増した襟足を気にして、くしゃりと触る。

ジーゴ > まだまだ初心者の域を出ないギルドの仕事は、今の時期はどうやら技術がなくても受けられるような求人の数が少ないようだ。きっと、冬だから街の外に出ること一つとってもリスクが高いのだろう。
ギルドの受付で、今日もやんわりと首を振られた少年は、夕方からはここで立ちんぼをしていたわけだが、どうやら今日は収入を得られそうにない。

「さむいと冷たいからヤなんだよな…」
少年は爪の付け根、皮膚がささくれた部分を力任せに引っ張って、引きちぎる。
酒場、宿屋、公衆浴場。日雇いの仕事も水を使うものは冬場は手が荒れて仕方がない。だから彼的には楽な仕事にありつきたかったわけだが、
街中が寒くないわけではない。くしゅん、と小さなくしゃみがひとつ。

ジーゴ > 「んぁ…」
力任せに引っ張ったささくれは、綺麗に取れなかったみたいで少し血が出てしまった。痛みに鈍い彼でも血が滲めば気にくらいはする。
おもむろに指先に下を這わせて、血を舐め取って。
暗がりで指先をしげしげと眺めるも、舐めたくらいで血が止まるはずもなく。
拳を握りしめるとそのままズボンのポケットに突っ込んだ。
もう気にしないことにしたようだ。

「かえろ」
この街で周りに聞かれたら嫉妬されるであろう言葉をつぶやくと、勝手知ったる裏路地をするりと抜けていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジーゴさんが去りました。