2023/11/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエルバさんが現れました。
■エルバ > 少し遅めの昼食を摂って、ひと休憩。
それから、ギルドで依頼の報告をした帰り路。
濃い藍色をした外套を揺らしながら、日中でも薄暗い路地裏を進んでいた。
「しばらくは依頼を取らないでー……遺跡に潜るのもあり……?」
ぐう、と伸びをして体をほぐしつつ、ぽつぽつと小さな声音で呟きを落とす。
数日休暇を取るか、零したように遺跡に潜るか。
悩ましい所だ、なんて思考を巡らせ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にダブルさんが現れました。
■ダブル > 治安の悪い区画だ。食うに困った者やそういう者たちを食い物にする者も跋扈している。
騎士たちの駐留も平民地区より上の区画に比べれば随分と少ない。
「助けてくださいっ!」
だから突然物陰から、何者かに追われているらしい修道女が飛び出してくるというのも。
そうそう珍しいことではない。
通りがかったエルバを見つけて、たまたま見つけた相手に藁にも縋るような勢いでしがみついてくるのも。
「助けて…!追われて、いるんですっ……!」
赤い目に涙を浮かべ、必死に哀訴するのは修道女。
粉っぽく甘い香りを身にまとうその修道女は、どうにも火急の要件らしい。
■エルバ > そんな風に思考を巡らせていれば、突如現れた人影。
反射的に腰裏に提げたナイフへと手を伸ばすも、その悲鳴染みた声に動きが鈍った。
「わ…っ! え、なに、大丈夫?」
勢いに押されて思わずその場で踏鞴を踏むも、修道女――に見える相手を支えるべく、その背中へと手を伸ばす。
赤色の瞳に雫を湛える様は、優し気な顔立ちもあって女の身である己でも庇護欲を煽られる。
追われている、なんて聞けば尚更だろう。
相手の様子を窺う傍ら、今し方相手が現れた物陰、その奥の路地へと視線を向け。
■ダブル > 「こ…、怖い人、が」
ぱくぱくと口を動かし、言葉はおぼついていない。
相当焦っているらしい。背中に手が触れると、身を添わせるように体重をかける。
外灯の布地を掴む手袋に包まれた手。少なくともエルバが、危険ではないと判断したらしい。
肩に顔をうずめるようにしていた。
昼間なのにわだかまる路地の闇の向こう……人の気配はある。
怒号や殺気の類はなく騒がしくもないが。
暴漢に女衒に浮浪者にと、か弱い女一人が追い立てられる用件は十二分に考えられる。
「どこかっ、かっ」
はっ、はっ……、息が荒い。
何か言おうとしているが、肩から顔を上げ、必死な形相を向けてくる。
■エルバ > 慌てているような、怯えているような。
誰かに追い掛けられていたのなら、そんな状態も当然だろう。
急がせるでもなく、相手の背中に回した掌が、一定のリズムを刻みながら軽く叩いて宥めて。
角の向こう気配はあれども、こちらへと迫ってくる様子がない。
人の気配を感じて追うのを諦めたか、この辺りであれば、昼夜を問わずならず者やら浮浪者やらが徘徊しているのだから、既に撒いた後で無関係の誰かだろうか。
間近、荒ぐ呼吸を感じ取って再び顔が向く。
「大丈夫? 落ち着いて、ゆっくり呼吸して――追いかけてくる人、いないみたいだから。 ね?」
なんて、柔らかな表情と声音で紡ぎ。
■ダブル > 「ん…」
宥める手付きに対して、落ち着きを取り戻していく修道女はというと。
見た目に対してどこかあどけなさを思わせる立ち振る舞いだ。修道者には、教育の行き届かない者も、ままいる。
深く呼吸をする。甘い芳香を身に纏いながら。
「…いない?ほんとうに、ですか?」
背後を伺うような素振りを見せた後、エルバに向き直る。
安心しようとして……しかし不安そうに、ぎゅっと外套を掴むのだ。
「か、隠れられる、ところ…」
不安を和らげるものとして、壁と屋根、閉鎖環境を求めたか。
落ち着こうとしてすぐに到来した不安に震え上がるようにして、さっき紡ぎかけていた言葉をねだる。
安全な場所まで運んで欲しい……なんて、金払いのよくなさそうな修道女の持ちかけてきた仕事だ。
■エルバ > 「ほんと。 大丈夫だよ。」
実際には、角の奥には誰とも知らぬ人の気配はあるのだが、向かって来る気配もなければ、わざわざそれを怯える相手に告げる必要はないだろう。
ふと、鼻腔を擽る甘い芳香。
先程も香った気のするそれは、この場には不釣り合いな匂いだ。
そちらへと意識が傾きかけたのとほぼ同時、外套を引かれて、再び意識は相手の方。
「うーん……ギルド――は、ちょっとアレかあ……。
お姉さん、どこの教会の人? 送ってってあげる。」
ギルド自体は避難場所としては悪くはない場所だ。
然し、怖い目に遭ったばかりで、荒くれどもの集う場所に避難させるのは、流石にまずそう。
そう思えば、一番良いのは用心棒として相手を送っていくのが最適に思える。
■ダブル > 「あ……」
表情を緩めたも束の間、周囲をぐるりと伺った。
走っていたのか、見覚えのない場所まで来てしまったのかを確かめた。
少しだけ安堵したように肩を落とす。
「あの……、とおりをみっつむこうに、いったところに。
壁に、神体が。かけられているおうちが。わかりますか」
教会詰め…ではない。この区画の教会、
ともいえない場所の管理を任された、というより押し付けられたとも取れる。
その家は貧民区画のひとつにあったボロ家だ。一応は、教会扱いらしい。
やんごとない側に逆らったか、使えないと思われたか、厄介払いされた――ようで。
「そこに…」
送って行ってもらえないかと。
「お茶が、ありますから」
お礼できるのはそのくらいだと。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からダブルさんが去りました。
■エルバ > 【移動退室】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエルバさんが去りました。