2023/11/15 のログ
ご案内:「貧民地区の端」にタレイアさんが現れました。
タレイア > 貧民窟の端、区画の境ともなり人間の出入りが激しい場所。
そんな地域の薄暗い通りの一角、大きめの敷物を広げそこに腰を下ろして
露天商めいた佇まいにて、黒衣の男が煙草をくゆらせている。
体躯は180程度、格好もあって妙に体積は広く錯覚され
魔力や気配に聡い物であればこれが魔族とわかるやも知れぬが――
見た目だけであれば、それなりに人間の形をきちりととっていた。

広げられる商品はアクセサリー類や小物と、どうやら薬、素材類。
手書きの値札が引っ掛けられている程度でどれもまた、怪し気で。
マジックアイテムの部類も目利きが出来れば発掘できるかも知れぬ、が。
貧民窟での商売人にろくなものなどいないのは、皆知ってのことであろう。

「どうです、薬か呪物に興味は?」

――近く、通る人間があればのんびりとした声で、己の方に誘うだろう。

ご案内:「貧民地区の端」にサウロさんが現れました。
サウロ > (頭からすっぽりと目深にフードを被って貧民地区を歩く。
 怪しげな露店商が貧民地区に増えてきているという噂が一つ。
 その中に呪具や魔導具を扱う店もあったと言う情報を得てやってきた。
 人の出入りが激しい中に紛れて、薄暗い通りに入り、ガタイのいい黒衣の男が視界に入る。
 紫煙を燻らせて座しながら、その足元には布の上に広げられた諸々の商品。
 通り過ぎる人の波から少し外れて足を止め、フードで目元を隠しながら店主たる彼に問う。)

「────呪物も取り扱ってると? どういうものがあるか、聞いても?」

(薬、はともかく、呪物のほうは、どういうモノなのかを確かめるように。
 しかし目的としてはそれではなく、解呪できる方を求めている。
 呪うものあれば解くものもセットで置いてあるのではないか。
 呪詛を祓う道具はないか。そんな一縷の望みを持って、並べられている物を眺める。)

タレイア > 「勿論、構いませんよ。もう少しこちらへ。
 近くで見た方がきっと興味が湧くでしょうからね。」

(呪物への興味を聞けば仮面、ではあるものの口元をにこやかに。
 案外人すきのするような対応でもって、相手を招き寄せる。
 と言っても警戒して近寄らないのならそれも別に構わず。
 咥えていた煙草を灰皿に押し潰して、ふ、と残る煙を脇へと吐き捨てた。)

(一品ものが数種類、片端から紹介するのも、と暫し悩み、指をさ迷わせ。)

「例えばこちらは、肉の身代わりの指輪でございます。少々仕込みが面倒ではありますが――
 簡単に言えば、ええ、文字通りに他人を『おまもり』代わりに出来るものですね。
 結局拷問だとか趣味の悪い遊びに使われてばかりだったようですが……本来は気高い騎士の誓いに使われていたとか。」

「こちらは、呪い映しの鏡でございます。呪いを映して、移す、ことの出来る代物ですね。
 しかしこれがまあ使い勝手が悪く、双子や兄弟、血縁や子供にしか効果が無いもので……」

「さて、後は……何か、興味の向く物などは?何やらお悩みがありそうにも見受けられますから。」

当てずっぽうか、それとも何か嗅ぎ付けたか。見上げながら、薄く笑って。

サウロ > 「…………」

(場所が場所、白い仮面越しに浮かべる彼の口元の笑みを見れば自然と警戒するように身を固めたが、訊ねたのは此方。
 周囲にあまり知られたくないこともあり、二人で話すには十分な距離で、彼の前に膝をつく。
 そうしていくつか、呪物だというものの説明を受ける。
 指輪、他者を身代わりにという言葉には眉を寄せたが、騎士の誓いとして君主に捧げた逸話を、数年前に聞いたことがある。
 もう一つは呪い映し、と聞いて少しだけ身を乗り出してしまった。
 しかし移す先が血縁者や子供と聞けば、乗り出した身も戻る。
 その些細な動きだけでも、非常にわかりやすかったかもしれない。
 呪いを"かける"側ではない、誰かを貶めたり、嵌める為に求めているわけではない、と。)

「……そう、ですね。
 ────呪いにかかったものを、どうにかするものは、置いていないですか?」

(悩みがあることを当てられれば、少し間を空けて問いを重ねた。解呪の道具はないかと。
 他者に掛けられた心身に影響を及ぼす術を呪いと呼ぶのであれば、己の身は呪詛だらけで。
 魔に属するものであれば、複雑な魔力が主に下半身の方に絡みついていると察知することも出来るかもしれない。
 対話する声も口調も、実直や真面目といった雰囲気は隠せずにいる。)

タレイア > 「ふむ……無くもないですが、ねえ。
 上手くいくかについては保証できませんよ?
 なんせ私はその呪いを何も詳しく知りませんから。」

(仮面越し、見詰める彼の下半身には、成程、魔力が深く根差しており。
 おおよそこうして声をかけられた理由を察した男が悩む声を漏らす。
 そして、嘘のない返事を告げながら、鞄より一つの宝玉を取り出して見せ。
 布に包まれた半透明の直径2cm大、その内側には何か肉腫のような物が。)

「呪いを捨てるための道具、と言えば伝わりますか。
 このひび割れにあなたの体液を注いでいただいて。
 あとは魔力通してやれば、呪いがこちらの肉に移ります。
 そうしたらもうどうにでも出来ましょうね。
 捨てるなり『返す』なり、ね。」

「――ああ、金はとりますが、諸々の処置が自信なければお手伝いいたしますよ。」

(これもまた全て、嘘ではない。
 上手くいけば実際のところ身を蝕むものの一部は削り取れるだろう。
 しかしその逆、上手くいかなかった、受け止め切れなかった時には。
 呪いと魔力はその性質上、彼の体へと勢い増して返されることになる。
 それについては、聞かれねばこれはわざわざ告げない。人でなしであった。)

(また、宝玉の値段もそれなり。業物の剣一振り程度には。)

サウロ > 「────……!」

(なくもない、という言葉に顔を上げて双眸を見開き男の仮面を見る。
 透き通るような青空のような碧い瞳がフードの下から見えるだろうか。
 ここには並んでいない宝玉のようなもの、その内側にややグロテスクにも見える肉腫を見て、繭を寄せて。
 呪いを捨てる為の道具。彼の言葉通りであるなら、この身を蝕む呪いを解けるかもしれない。
 しかし上手くいくかどうかわからない、と呪具を売る店主が言うのだ。
 素人がこういうものに手を出していいのか、葛藤と迷いが覗くように視界が揺れる。)

「……こういったものを、取り扱ったことはなくて。
 もし上手くいかなかったら、どうなるのでしょうか?
 それに、これの値段も、安いものでは無いでしょう?」

(すぐに飛びつくような愚かしさは見せず、失敗した時はどうなるのかと問いを重ねる。
 また、この宝玉も決して安いものではないだろうと思える。
 自由騎士という職は、賃金は出るがけして懐が他の公務職のように豊かであるわけではない。
 サウロ自身が自由に扱える金銭も、恐らくそれを支払うだけを持ち合わせていない。
 それが分かれば、目の前にあってもあきらめざるを得ないだろう。)

タレイア > (実直さのわかる問い掛けに、また少し返事を考える。
 何もかも素直に告げてやっても良し、適当を言うも良し。
 男は大体は楽しくなりそうな方に傾きがちな生き物であった。故に――)

「――大丈夫ですよ、何も起きないでしょう。失敗というだけでは。
 それと実を言えばこれは私の手作りのようなものでして。
 実用性はありますが……まあ、処分品と言うことです。」

(ですから値段は、と告げた金額は本来よりもかなり安価で。
 男の返事と合わせて何とも全てが都合良いように思われるだろう。)

「買うも買わぬも、あなたのお好きに……
 ですが、これも何かの縁、運命やもしれませんよ?
 こんな場所でこうも都合良く出会いがあるなんて。」

サウロ > (本当に?という疑惑が過る。
 身に張り付いた呪詛を捨てる、という事が、なんのリスクもなしに叶うものなのか。
 男の言葉を全面的に信用するには、場所が場所。人が人。
 こういう所で警戒心を持たないものは喰われるのだと知っている。
 ────それでも。
 予想以上に安価な品、手作りでありながら処分品とする店主を見据え、悩み、悩み、悩んで────。

 この値段で、試すだけならば、と。
 都合の良い展開に警鐘を鳴らすものがないわけではないが。
 何かの縁、運命という言葉はともかく、これを逃せばまた堂々巡りになる予感もある。
 結果、悩み抜いて、ローブの内側で財布から十分足りる金額を出し、男の方へと渡した。
 今逃せば次に同じものが手に入るとは限らないことが、決め手となったのだろう。)

「……買います。
 ……これを使う時の注意点はありますか?」

(追加金額を出せばきっと手伝ってくれるのだろうとは予想がつくが、
 色々と複雑な呪詛は、もしかしたら"少女"になる必要がある可能性もあって、下手に手伝いを頼めない。
 どこか愉しそうな雰囲気にも感じられる店主に、無防備で無力な少女の姿を晒すわけにもいかないという自衛ではあるが。
 警戒しながらも結局は彼の言葉の通りに動いているので、上手く丸め込めてしまうだろうと。)