2023/10/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にアルマースさんが現れました。
■アルマース > 富裕地区や平民地区に比べ明かりの少ない通りを、黒いフードをかぶったローブ姿の女が彷徨っている。
ゆるくウェーブのかかった長い髪が垂れていて、気の弱い子どもが見れば『魔女だ!』と怯えそうな風体。
かつん――
かつん――
静かな路地に、随分と間を空けて響くヒールの音も怪談じみている。
実際は、
「――……店の名前……何だっけ……」
人から聞いた薬屋の店名を忘れて、看板のある建物で立ち止まってはそれらしい店を探す迷子でしかなかったのだけれど。
■アルマース > 近づきがたい格好は危険を避けるためだが、道を尋ねるには不向きだった。
目深にフードをかぶったまま、通りすがりの女性に声を掛けようとするたび逃げられること数回。
顔くらい見せて声を掛ければ良かった、と思うも後の祭り。
路地の端まで来て、諦めたように足を止め、壁に背を預けて目を瞑った。
――ここんとこ眠れないから薬に頼ろうと思ったのに……眠気、空気読んでよ……。
仕事をしていれば緊張感で眠気はやってこないが、終わった途端にコントロールが利かなくなる。
小さな判断の誤りが重なるのも寝不足が原因だ。
いや、眠気は適切に時間通りやって来る。
眠気と同時にやってくる湾曲した声たちが、眠りの邪魔をするだけで。
頭の中でぐるぐると回る、言葉の数々。
最近聞いた声から、いつ言われたのか思い出せないくらい昔のものまで――脈絡なく次から次へ鳴り響いて眠れなくなる。
静かな通りで、傍目にはただ突っ立っているとしか見えない様子で、煩い声が過ぎ去るまで耐えている。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からアルマースさんが去りました。