2023/09/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にクレイドルさんが現れました。
■クレイドル > 貧民地区。人通りの絶妙に少ない通り。
剥き出しの砂地がデコボコとした路面に広がり、周囲には粗末なあばら家が建つ。
区画内でも人が行き交いする理由が余り無い場所であり、時折に通行人を見かける程度。
そんな場所に一人のシスター服の女が佇んでいる。
「…ああ、そんな…誰か、誰か助けて下さいまし…!」
朽ち掛けている建物の壁を背中にして、追い詰められていた。
その周囲には包囲網を敷く様にして何頭かの犬が取り囲んでいる。
全て好意的とは言い難く牙を剥き出しに唸り声をくぐもらせ、全身の毛皮を逆立てて身を低くし今にも飛び出さんばかり。
じり、じり、と、距離を詰め込むかのようにその足は少しずつ輪を狭く縮めつつあった。
「このままでは食べられてしまいますわ…!何方かどうか…!どんな御礼でも必ず致しますから…!」
恐怖に怯え竦むシスターの顔色は蒼褪めて震え上がり、崩れ掛けた足の膝はガクガクと戦慄いている。
冷や汗に合流して恐ろしさの余りに涙腺からぽろぽろと零れ落ちた涙が頬を伝っており。
それは雫となって零れ落ちると、神に祈りを捧げ組み合わせている手袋をつけた両手の上に砕けて染みた。
■クレイドル > 「……両足を食み千切られ動けなくなった後に、ハフハフとわたくしのお肉を戴かれてしまいますのよ。美人薄命とはこの事ですわ~!」
どぅるん、と、身に纏っている濃紺の衣装の一部がゼリーみたいに震えながら肥大化し、自重に耐えかねるかのように落ちた。
それは地面に触れた途端に成型されて四肢を生やし、毛の一本一本まで丁寧に編み織られた一頭の獣となる。
そして、その獣はシスターを取り囲んでいる群の中に加わって唸り出していた。
「…だれかー?見目麗しいシスターが食べられてしまいましてよー?美人の損失は社会的損失でしてよー?」
ちらっちらっと周辺にへと祈りの姿勢を固持したまま振り返って顧みる仕草。
首を振る都度にウィンプルから、零れだしている金髪がさらさらと揺れる。
完全なる自作自演。獣たちも一定の距離を詰めているだけで結局の所は歯牙にかけてはいない。
間も無く一度絹裂く悲鳴を休め、思案に耽るように顎に指を当てて小首を傾げる。
「……場所?それともやっぱり少し大袈裟なのかしら…?手足の一本ぐらいは噛み付かれて血を流し、逃げられない!みたいな方が緊迫感が出て来ますでしょうか…?」
ぽんっと両足を軽く手で叩いただけで、足の一部にあたかも噛まれたかのような穴が空く。
そしてそこからはるいるいと流れる鮮血、のように見立てた体液が溢れて衣類を汚し、そして路上の地面に滴った。
獣たちはまるで映像作品でやり直しを命じられたかのようにシスターから距離を置き、定位置にへと戻り始める。
とすんと本体である女はそのままシナを作って崩れ落ちるようにその場に座り込んだ、TakeX。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からクレイドルさんが去りました。