2023/09/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリスリィさんが現れました。
リスリィ > 街を駆ける。幾つかの足音が時に遠く、時に近く。
何とか、その音を聞き逃す事がないように…同時に。時折見える影もまた、出来るだけ、見失わないように。

「こ っの…何処まで逃げるんだか――…!」

発端は。平民地区で友人達と居た際、近くで起こった、「泥棒!」との叫び。
何やら、手に持つをひったくられた女性が出たらしく。腰を抜かし、座り込んだその女性と、人混みを押し退け逃げていく、犯人の影。
こんな時、直ぐに、動く事が出来るのは。日頃の勉強と、練習と…そして。民の為国の為、それを考えるのが、役割だから。
被害者を助ける者、官憲を呼ぶ者、等クラスメート達がそれぞれ行動する中。娘は、犯人を追い掛ける中の一人となり…

が。今以て捕まえる事が出来ないのは。きっと犯人が、この手の盗みを生業とする、プロなのだろうという事と。
そのホームグラウンドなのであろう、貧民地区に、入り込まれてしまったからだ。
狭苦しい路地、荷物だらけの隙間、時には集まってくるならず者…お陰で。
いつしか娘自身が迷い、もしかすれば、更に誘い込まれている事に…まだ。気が付けていなかった。

流石に、足が動かなくなってきた。膝に手を当て、ぜぇ、と息を吐いたところで……此処は。何処だ。

リスリィ > 荒い呼吸を、整える…暇も。あまり無い。
見通しの利かない路地裏が続き、何処に相手が逃げたのか、まるで判らないし…それと同時に。
いつ、どこから、逆に娘自身が。追われる、狩られる、そちらの立場になったとしても。おかしくない。
金。女。そうした物に餓え、何時如何なる時であろうと、得物に目を光らせている…といった者達が。きっと。物陰に、屋内に、あるいは直ぐ側に…

「 ………っ、っ」

ぶるり。今更になって、身震いがきた。勢いに任せて、きっと、危ない所に来てしまった、と。後から実感してしまう。
そろそろと周囲に巡らせる視線は。それでもやはり、遮られる物が多すぎて。まるで、迷路に迷い込んだかのようで。

「…まずい。まずいんだよね、これは。けど……」

だからといって。手ぶらで帰るなんて出来ない。
唇を惹き結び、拳を握り、新ためて。逃げた犯人を捜し更に、奥へ…
その先が、どういった場所か、何が起こるのか。世間知らずの、ただ前に突っ走っただけの娘には、検討もつかないのだとしても。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリスリィさんが去りました。