2023/08/26 のログ
サタン > 次第に喧騒の音は近く、暗闇から灯りの宿す世界へと帰ってゆく足音。
仕事終りを酒場に集い酒を楽しむ声、色と快楽で男を誘う娼婦達の誘惑。
酔いに任せ些細な言い合いで殴り合う男達の喧嘩の音。
囃す群衆の声。
無数の声が混沌に混ざり合う中、男の足音もまた其処に紛れて。

ただ、その男が通り過ぎて行った後には、それらの雑踏な音の発生主達は、何故か蒼くすれ違ったなにかに得体の知れないモノを感じ
喧騒は穏やかに。


カツン、カツン、足音向かう先には、主の戻りを待つ従者が一人。

「――後は片付けておけ……俺は戻る。」


命令。
従者は一礼し、男が出てきた場所へと向かって行く。
何もない、けれど何かがあった場所。
その痕跡の全て塵の一つも残らぬ場所へと、従者は主の命を忠実に行う。
主たる男は、また一本煙草を咥えれば、指先に瞬間の火を灯し
その先に灯した火は、紫煙を吸い込むと赤く葉を燃やしながら
肺に満たした紫煙を吐き出しながら、
男は王都内の自身の屋敷へ向かい、仕事を終えた場所から姿を消していった――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサタンさんが去りました。