2023/08/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にテンドンさんが現れました。
テンドン > 貧民地区の夜道を徘徊するゾンビ。
否、深酒が過ぎて酩酊している酔っ払い。
断じて違う、それは草臥れ切っている配達人。
元気の貯蓄をすっかり使い果たした尻尾は塩をぶっかけた葉菜みたいにしおしお。
普段は健脚ではきはき腰の高さまで腿をあげて駈け回っている足が、まるで足首に鉄球でも着けてるみたいに摺り足ウォーク。

「……はああああああああ」

過積載の積み荷を降ろそうとしているかのようにがっくり吐き出す溜息は鉛入りが如くに重たい。
下げっぱなしの眉にパッシブ口元はへの字、顔色はあんまり優れず角の光沢も色あせてしまっている。
そんな感じでお月様に見下ろされながら歩行中。

テンドン > 間も無くしてその歩みは道端で深夜営業やってる露店の一つに辿り着く。
チョウチンアンコウの釣餌灯みたいな燐光のランタン一つがまだ店は開いていますよの証。
暖簾も看板も無いのに一体何のお店だというのか。
それは微温湯のような夜風に孕んでいる香しい珈琲の香りだけで解ってしまう。
何処かの粗大ごみを拾って来てリペアして何とか使っていますよとばかりの襤褸椅子の一つに跨るようにかける。

「コーヒー下さい。すっっっっっごく濃くして…後砂糖も」

ぴっと人差し指を立ててオーダー。
カウンター向こうのおじちゃんはそれに受け答えする言葉の代わり。
直ぐに煮炊き用の準備にミルで挽いたばかりの珈琲粉とシュガーポットからがばっと贅沢に放り込むほぼ未精白の赤砂糖。
それらを水の入った鍋に放り込んで火に当てだしてくれる。

テンドン > 待ち時間中にテーブルに頬杖を突くようにして待機。
普段はデカいだけでそれ以外なんも役に立たない乳房をどっしり卓上に載せる、半ば上半身を寄りかからせて自前のクッション扱い。

「…ボクがこうして頑張って仕事中でも…」

疲弊に染まり世の全てを呪う混濁した眼差しが、流石にこんな時間帯なので静かな街並みを軽く見回す。

「今頃ぐっすりお布団に潜って安眠してる人たちが居るんだろうな…」

テンドン > 「…ありがとござます……」

はちゃめちゃ疲れてる時は語彙貧困になる現象。
受け取った甘くて煮詰めたカルメラみたいに濃くなってる珈琲を啜りながら、半分夢うつつみたいな目つきに瞼が重たい。
ちょっとだけ、少しだけ、後五分…そんな気持ちがずるずるとこの場にお尻を根付かせようとする。