2025/05/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカロンさんが現れました。
■カロン > 真昼間でも何処か薄暗くて陰気な雰囲気が漂う。それが王都の貧民地区である。
大通りに立ち並ぶ店も娼館や奴隷商のもので、裏通りに行けば行くほど屯する人のガラも悪くなるし、店も胡散臭くなっていく。
そんな野蛮な場所に、けして護衛がいても足を踏み入れてくれるなと兄たちからは強く言い含められ育って来た。
人攫いにあって売られてしまうとか。
怖いお化けが棲み着いてるとか。
可愛い妹を思うが故の嘘も多分に含まれた忠告だったが、少女はそれを信じ、言いつけを守ってきたのだ。
――今日までは。
「うぅ~……。い、いいえっ! 私だってもう立派な冒険者なのです!
お使いくらい一人で出来なくては……っ!」
怖くて帰りたくなってしまう気持ちを奮い立たせ、意気込み新たに依頼人から託されたバスケットの持ち手を強く握りしめる。
今日の仕事は貧民地区の裏通りにある道具屋へ荷物を届け、リストにある薬を買って依頼人へ届けること。
駆け出しでもできる簡単なものだが、果たして世間知らずな少女がちゃんと達成出来るのか……。
地図を片手にキョロキョロと何度も辺りを見渡しながら少女は進む。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にオズワルドさんが現れました。
■オズワルド > 貧民地区。それは治安が悪い場所。
同時に非合法のやり取りが行われる場所でもある。
オレは、そんな非合法な場に足を踏み入れた愚か者の一人――、
その愚かさの代償に、衣服まではぎ取られて辛うじての慈悲。ローブ1枚だけの姿となって、貧民地区を裸足でうろついていた。
「うぅ…ひもじい…お腹すいた、喉乾いた…。」
情けないことに鼻をすんすん言わせながら、貧民地区を彷徨う。
どこかでどうにか、水の一杯でもありつけないものか。
しかし、貧民地区にそんな優しさなどありはしない。どいつもこいつも、生き馬の目を抜こうという輩ばかり。人が良さそうな人物など――
「!」
居た…!いかにも足を踏み入れるのは初めてと言わんばかりに、きょろきょろとしている人物!
「すいませんそこのお人ちょっといいですかーっ!」
勢い込んで声をかけたつもりだが、声はかっすかすで、足取りはよったよたの無様な有様であった。
■カロン > いざ行かんと、裏通りへ一歩を踏み込みかけた時だった。
後ろから呼びかける聞き覚えのない掠れ声に驚き、ビクッと小さく跳ねる。
「――はっ、はぃ! え、えっと……」
振り返って見れば、こちらへ頼りない足取りで近付いてくる少年――いや、青年がいた。
呼ばれてるのは自分で良いのかと、一応ぐるりと辺りを見渡してみたが、それらしい人は見当たらず。
近付いてきた青年を見上げては、やっぱり見覚えは無いなと確信を持ち。
ローブ一枚の寒々しい姿に戸惑い、足元に視線を向ければ更に不憫な有様に眉が下がる。
「あ、あの、どうされましたか? ……大丈夫、ですか?」
貧民地区の人たちはあまり裕福ではないことは聞いていたし、実際に数分街の様子を見ただけでも理解は出来た。
ボロを纏う人。食うに困っている人。色々いる中で、青年は確かに不憫な装いで弱っても見えたが、漂う雰囲気は平民地区の人と同じ感じがした。
何があったのだろう? と、こちらからも歩み寄り尋ねる。