2025/04/06 のログ
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ご案内:「貧民地区・小さな娼婦街」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 貧民街の一区画
とても小さな娼婦街だ。 大通りからかなり離れているせいでここに娼婦街があることもあまり知られてない。
本来はマフィアの巣窟で良いように娼婦が搾取サれていた場所で評判も最悪だった。 この区画の夜鷹の相手はするな、と

それが数ヶ月前から噂がたった
貧民区に穴場があるらしい。 粗末だが衣服も清潔で臭いもきたならしくない。身体もちゃんと拭かれている。
サービスもそれなり、なによりボッタクリや騙しがない

貧民区の娼婦といえばサービスも器量も最悪、最悪騙されるし後ろに怖いお兄さんたちがいる。 金にもならない貧民区ゆえに商館は勿論王国の救済もない。
故に貧民区の娼婦といえばマフィアに頼らざるをえないしマフィアにくいものにされるし――当然客もその割を喰うものだ
しかし、どうやらここの『元締め』はちょっとちがうようで

「みまわりっ♪ みまわりっ♪ ぱとぱとぱとろーるっ♪」

ぶんぶんと娼婦街を大手を振って歩く少年。大手を振る、というより大手をふってアピールするかのような行進だ。
背丈も小さい幼いというほどの子供。 白い貫頭衣にふわふわの赤髪まじりの栗色の髪。 女の子、と見まごうような容姿
貧民区のしかも娼婦街をこんな時間に歩いているような感じの子供ではない

「あ、おねーちゃん! お仕事頑張ってね♪」

娼婦の一人と目が合うと元気よく挨拶。娼婦も小さな小さな少年と目が合うと目を優しく細めて手を振っている

――ええ、今日も見回りごくろうさま。『ボス』

ボス、とよばれた少年は鼻をふんすふんす鳴らして自慢げだ。
兵士が行進するように元気よく大股に娼婦街を歩く。 宿屋の店主や他の娼婦も、少年と目が合うとにこやかに声をかけてくれる。
背伸びしたい子供からしたら、ボス、としたってくれるのが誇らしくてしょうがないのだ。 だから元気よく歩いて声をかけてもらおうとしてる

シャルティア > ――娼婦の女の髪を引っ張ってる男がいた

それを少年が見たのがきっかけだった。 実際は借金を重ねた娼婦が客も取れず逃げようとしたところを捕まったという娼婦も娼婦で問題のある話だったのだが……
しかし少年が見た光景は「お姉さんの髪をひっぱる悪い男」という構図でしかない。 この地区を縄張りにしてたマフィアの一人を『めっ』してこらしめて――その根城に飛び込み『悪者たいじ』
『悪者たいじ』といえば子供が好きそうなヒーロー、英雄譚の話だが、実際は根城の屋敷に飛び込んだ子供が一方的に暴れまわり武器を持った男たちをちっちゃな拳と足だけでノして周り――最後に超巨大な剣を持ち出して屋敷を壊して回った
構成員も根城もメンツもすべて粉砕された小さなマフィアから開放された娼婦街は、そこに活きるしか無い娼婦と元娼婦のおばばさまなどで再生の道を歩んでいる。

『ボス』ことこの娼婦街の用心棒となった少年はこうして毎日のように「ぱとろーる」をするわけだ。 少年は賢いわけでもなくすぐに騙されるが――うでっぷしならこれ以上なく強い。
腕力、剣を振り回すだけの勝負ならそんじょそこらのマフィアなら文字通り束になっても全員吹き飛ばすだろう。
やっかいで暴力に訴える客などが来たとしても少年がいるならば解決もする。
娼婦街は少年にみかじめ料を払おうともしたが、その代わりに娼婦が毎日入れる浴場と火を炊ける場所をつくってもらった。
お風呂に皆ではいれば楽しい♪ぐらいの感覚だ
そんなこんなで清潔でボッタクリもなく、娼婦たちも病気や医者などきちんと行く貧民地区にしてはやたら安全な娼婦街になっている

少年はただただ「王様ごっこ」のような気分でここを歩くと皆が『ボス』と呼んでくれるのが嬉しいし楽しいのだ。
最初は少年に怪しみや恐怖を感じていた娼婦達も、今では可愛らしい『ボス』に手をふったり、時々飴玉をあげたり、街にいるマスコット扱いである

シャルティア > 歩くのに飽きたのか疲れたのか
近くの木箱に向かい、ひょいっと座る。
浮いた足をプラプラさせつつ、客引きをしてる娼婦を見てる。
男のお客をじーっとみたり、娼婦とお話してる時に邪魔をしてはいけない――娼婦たちからそう教わったから遠目にみてるだけだ。
娼婦街とはいえ陰鬱な雰囲気もなく活気よくお客を呼び込む娼婦たちが多い

シャルティア > 少年のそばに老婆が近寄ってくる
このあたりで一番大きな宿の持ち主。 この一体のヌシといってもいい。 老婆はしわくちゃの顔を歪めて笑い、少年の手に小さな飴玉を渡す

――いつもありがとうね

飴玉を美味しそうにたべつつ、おばあちゃんありがとう♪と挨拶。ここの人たちは皆優しいし大好きだ。
いつもいつも褒めてくれる、頭をなでてくれる。 手を振ってくれる。 それが嬉しくてしょうがない

シャルティア > 本当はもっとこう――『ほらほら見て見てちゃんと見回りしてるよ』と娼婦たちにもアピールしたいしなんなら声をかけたい。
でも、お仕事中のお姉ちゃんたちの邪魔はしてはいけないのだ
むぅぅぅと難しい顔をしつつも、ひょいっと木の箱から降りて、娼婦街を歩く。 見回る、というよりただの散歩だ。
もしここの人たちを困らせる何がが現れれば少年は立ち向かうだろうが、今やっていることはあくまで「ボスごっこ」である。

シャルティア > 男つれの娼婦がニコニコと男の腕を抱いて宿屋に向かう。 男も貧民区に来る割にはそこそこ身なりが良い。
良い客捕まえたわ、というように横目で少年に投げキッス
がんばってねー!と少年は嬉しそうに手をふってあげて、貧民街をあるく
ちっちゃな「ボス」はこうして娼婦街をみまわって一日を終えるのだ

ご案内:「貧民地区・小さな娼婦街」からシャルティアさんが去りました。