2025/01/30 のログ
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ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリコッタさんが現れました。
リコッタ > 「はぁ、はぁ、はぁ──」

夜の裏路地を小さな影が息を切らしながら駆けて行く。
狭く複雑な道を、乱雑に積まれた荷物やゴミを飛び越えて、奥へ奥へと。
やがて壁と壁の間の狭い隙間にするりと身を滑り込ませた。

『いたか?』『いないな……』
『見間違いか』『いや、確かにミレーの耳があったぞ』

すぐ傍をガシャガシャと鎧を鳴らしながら数人の衛兵が通り過ぎて行く。
夜の散歩にも慣れて来て、つい油断してフードの下の耳を見られてしまった。
暗かったので顔は見られていないはずだが……見つかってしまえば大事になる。
どうか気付かないでと祈りながら、少女は息を殺して物陰に潜む。