2025/01/05 のログ
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ニュア > 男の言葉に是とも否とも告げぬかわり、

「仕事以外で仲良しゴッコするのがメンドイ。ソレだけ。」

ざっくりと素っ気なく返す。遠慮も脚色も無い、嫌味ですらない、真っ正直な意見だ。
別に目の前の男だから、ミレーだからというワケじゃない。
至極単純明快に、こういう性格なものだから。故に。
初っ端に己を「嬢ちゃん」と呼んできた男に、この娘が警戒を抱かぬ筈が無い。
更に重ねてこの金貨である。
金に飛びついたが最後、面妖を買うようなものだろう。…奢られたい気持ちが全く無いといえば嘘になるけども。
男からの相槌が届く。次いで、席を立つ、スツールの脚を僅か引き摺る音。

「――――――…?」

此方へ歩み寄る男に、今度は一体何の用だと言わんばかりに胡乱に見仰ぐその双眸が、
一瞬にして、瞠目した。男の発した剣呑な気配に、咄嗟、

「ッ!?!??」

反射的に頭を避けさせる。
獣人の俊敏に辛うじて追い付いたのは、用心に仕込んであった何らかの簡易術式を護身に働かせたのもあったのかも。
布が腕に引っ掛かりフードが外れ、黒絹の如き髪がしゃらと乱れ。
立ち上がった拍子、椅子が倒れ、ついでに酒瓶が思いきり床に割れ散ったけども――そんなことよりも、だ。

「ッ――…最ッッッ悪。」

血の気も底冷えする、その一言に尽きるだろう。
唐突に向けられたゾッとする害意に、娘の眼差しが殺意めいた敵意を閃かせ。
低く吐き捨てるのと、荷を引っ掴み踵を返すのが同時。その姿は酒場から逃げて失せることだろう。
酒代は金貨の一枚から奢って貰っても罰はあたるまい、と――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区「術符の酒場」」からニュアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区「術符の酒場」」からクロスさんが去りました。