2024/12/30 のログ
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ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 歳の終わりが押し迫っている一夜。
顔の広さが生業の出来に直結している商家が、己の塒でぬくぬくとしてはいられまい。
斯様な事情によって、こんな時でも王都を飛び回っているのはいつものこと。
それにしたって、富裕地区でもなく平民地区でさえないここに居るのは、酔狂の類か。
大口注文に直結しそうな貴族だの豪商だのが居を構える界隈に顔を出した方が、
どう考えても効率的なのだから。

「嗚呼、嗚呼、分かっておったが徒歩じゃと冷え込みをモロに喰ろうてしまうのぅ。

それはそれで風流…………な訳あるまい。
やせ我慢にそれらしい理由を後付けしただけじゃろう。」

等と、ずんぐりしたシルエットのちんまいのが、もこもこ襟巻の内側でもごもご。
元よりちんちくりんな背丈の妖仙が、防寒の為にあれもこれもと着込んだら、着膨れもふもふ生命体になるのは避けられまい。
吐き出した息が、もわぁ…っと夜気に広がることは無く、獣の毛で作られていると思しき白い襟巻をほんのり湿らせる程度。
毒づいている割に、自身の周囲に断熱の呪を仕込んでいない辺り、不条理だと言いながら不条理に甘んじる捻くれ者だ。

「王国の寓話では燐寸がどうのこうのというものがあるというが…

燐寸一本より、熱燗の一本の方が恋しゅうなるのぅ。」

貧民地区の裏路地から、表通りに向かう途上。
縁のある孤児院で年末の挨拶を終え、私的時間員突入した途端、このザマ。
良さげな酒場、良さげな酒場…等と、少しづつ人通りが増えていく夜の街で、ちょこちょこと。
圧倒的に浮いている毛並みの良いお子様が、トラブルに巻き込まれないで済むものやら。