2024/10/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラヴィニアさんが現れました。
ラヴィニア > 大事な要件があって王都に足を運んだはずなのに、
王都に入り込むために力を自ら削いだ結果、記憶まで削げて何で此処にいる理由を忘れた少年がいる。

王都マグメール貧民地区。
時間帯は夜、天気は晴れとは言い難い。
人間であれば少し肌寒く感じる気温にひんやりした夜風。
ボロボロの服装で小柄な人影が歩いていたら、少しは違和感を感じるかもしれない。

元々体温が低いので寒さには強いのだが、ぼろぼろの継ぎ接ぎだらけ穴だらけの服装に入り込んでくる夜風は少々堪えるので、今は空き家の軒下に捨てられてた樽を運んできて椅子代わりにして座っている。

自分の背丈よりは流石に高さの低い樽であるが、腰を掛けてみれば足先は地面に届かず、仕方なく足先をぶらぶらとさせながら、これからどうするべきか?を動かない頭で考えていた。

頭の中には『…ん……しゃ……ル……ド』と辿りつかなければならない場所らしき単語が浮かぶのだが、時間がたつにつれて、その単語も虫食いのおぼろげな状態になっている。

――…そこにさえ辿り着けば、解決する、筈。
そんな確信はあるのだけれど………。

ラヴィニア > 深く、深く、深く……。
思考を記憶の海へと伸ばすと、途中で真っ白い霧がかかる。
真っ白い霧がかかると思考は本能に塗りつぶされて、それ以上深く考えるという事を忘却の彼方へ落されてしまう。

今はそう今は深く考えた所為で本能が何を考えていたかを塗りつぶすように、――とても、とてもお腹がすいた。

ぐぅー…………

小柄な体からは想像つかないほど、大きくお腹が鳴り。
頭の中は『タベル』事でいっぱいに埋め尽くされていく。
今、何か食べるものはあったかと、空腹に無意識にぼろぼろのズボンのポケットに小さな手を伸ばすも、中にあったのは硬貨一枚だけ。

ん、と一度頷くと、鋭く小さな牙が並ぶ小さな口を大きく開けて、その硬貨を口の中に放り込む、放り込んですぐに咀嚼を始めた。

バキッ、ガリガリ、ガリガリ、メキメキ

貧民地区の路地には金属がひしゃげて砕ける音が響く。
音の発生源は無表情のまま、何度も何度も硬貨をかみ砕く。
飲み込むのがもったいないのでよくかんでたべる

ラヴィニア > ――…暫くは思考と空腹を繰り返す。
口の中に硬貨がある間だけ、空腹が少し収まる間だけ。
でも口の中がほとんど液体になり、最後にそれをごくんと飲み込めば、樽から重い腰をあげてどこかへと走り去るのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラヴィニアさんが去りました。